「ユーズド・イン・ジャパン」タイで大ブーム 国内外で人気過熱…争奪戦の現場に密着【Jの追跡】【スーパーJチャンネル】(2024年7月20日)

番組では先日、日本の中古品がタイで争奪戦となっている様子をお伝えしました。「ユーズド・イン・ジャパン」と呼ばれ、日本の中古品がタイで大ブームとなっています。さらに追跡すると、争奪戦の先に驚きの展開がありました。

■父の「思い出の品」 タイへ渡る

追跡取材班はこの日、北海道札幌市内の古い一軒家に向かいました。

ルーツ・オブ・ジャパン
湊源道さん(48)
「(Q.どういう依頼なんですか?)『解体する前に家の中を空にしてください』ということで。宝の山ですね」

北海道でリユース会社を経営する湊さん。この日は、タイに輸出する家具などの仕入れです。すると2階の物置に、早速お宝がありました。

湊さん
「あ!いいのあった!これ買い取りですね。レトロ扇風機。なぜ売れるのか僕らも分からないんですけど、3000円から高い時で4万円くらいで売れるんですよね」

依頼は「一軒家の遺品整理」。高齢の親が亡くなり、「実家を解体したい」という遺族から「遺品を買い取って欲しい」と頼まれました。

湊さん
「75%が(タイで)売れる物ですね」
「例えばテーブルの上に置いてあるこんな物でも。売れる、売れる、売れる、売れる。(残りが)売れない物です」
「ペンのクオリティーが良いとか、ホッチキス一つとっても日本の物ってすごくクオリティーが良い」

さらにこの日は、もう一軒の遺品整理へ。タイで売れそうな物を次々と買い取って行きます。

リビングにあった3人がけのソファーは450円で買い取り。壁掛け時計は150円。古いレコードは20枚合わせて250円です。

遺品整理を依頼した遺族(60)
「これ出てきたんですけど、こんなのどうですか?父の工具箱で」

湊さん
「いいですねー」

遺品整理を依頼した遺族
「これも使わないので(買い取りで)」

湊さん
「全部、タイで売れますよ」

工具は全部で500円。生前、父親が使っていた思い出の品はタイへ渡ることになりました。

遺品整理を依頼した遺族
「捨てないといけないと思っていたので、どなたかに使ってもらえるのはすごくうれしいです」

中古品の中でも、そのままの状態で使う事ができるものは“リユース品”と呼ばれ、タイで大ブーム。コンテナに乗せられ、5000キロ離れた微笑みの国へと送られます。そして、必要としている人の手に渡るのです。

■ズラリと並ぶ日本製の“たぬき”

来店客
「日本の古いギターは音が最高だよ!」

ギターの値段は、およそ1万円です。

来店客
「日本の古着は可愛いし、糸がほつれにくいんだよ」

古着は計り売りで、100グラムおよそ200円。そして、特に人気が高いというのが、日本の工具です。

来店客
「日本の枝切りバサミはとにかくよく切れるんだよ」

日本では置く家庭も少なくなってきた仏壇も、タイでは大人気だといいます。どのように使っているのか見てみました。

イベント会社を経営するジさん(43)。熱心な仏教徒のジさんですが、大切な仏像を置くのに、職人が作った日本の仏壇は最適だといいます。

ジさん
「これは大日如来の仏像だよ」

ジさんの家で目を引いたのが、ズラリと並ぶ日本製のたぬきの剥製(はくせい)。長年かけこつこつと集めたといいますが、一体なぜ?

ジさん
「タイでたぬきは、縁起の良い動物なんだよ。実際に2年前、このたぬきがやって来たとたんに、たくさんの仕事が決まったんだ」

そして最近、高値で売れているというのが、日本の看板やレトログッズです。

湊さん
「(大きな青い看板は)2万5000バーツ(約10万円)」

その人気のヒミツとは?

■レコードが“宝の山”に 憧れのスポーツカーも購入

向かったのは、バンコク市内の和食レストラン。するとそこには、ちょっと不思議な“ニッポン・ワールド”がありました。

アニメのオブジェ?そして、日本の道路標識。横断歩道の信号もあります。

「平和」と書かれた鳥居をくぐり店内に入ると、だるまや日本人形など、日本を感じさせる、数々の置物。実は、今タイでは日本食ブームで和食店が急増。インテリアとして使える日本のリユース品がひっぱりだこだといいます。 

和食レストラン「林治(りんじ)」
ジョーさん(39)
「縁起物の大阪のビリケン様をこの前やっと、タイの店で見つけたんだよ」

日本の古いスポーツカーで表れたのは、「日本のリユース品で人生が変わった」というジョッブさん(55)です。

自宅兼、店舗の中に入ると、CDやレコードがなんと数万枚。ほとんどが昭和のポップスですが、すべて趣味でコツコツと集めた物だといいます。

きっかけは30年前、ある歌手との出会いでした。

ジョッブさん
「山下達郎だね。日本語は分からなかったけど、初めて歌とリズムを聴いた時、彼が天才だと分かったよ」

実は、コロナ禍で突然仕事を失った際、やむなくレコードを販売。すると、タイでの日本ブームもあり客が殺到。趣味のレコードは“宝の山”になっていたのです。

ジョッブさん
「今、タイでは80年代の日本のシティポップが大流行しているんだよ」  

生活を立て直し、憧れのスポーツカー・セリカGTも手に入れることができるほどに。山下達郎さんとの出会いがあるからこそ、今があるといいます。

ジョッブさん
「山下さん、タイに来たらぜひ僕の店に寄ってください」

■「あればあるだけ売れる」 ライブ配信販売も

日本のリユース品ブームを受け、タイの業者も続々と本格的に参入しています。

この日、バンコク市内のリユース品店には、日本からコンテナが到着。日本の業者から仕入れたコンテナ1台分の値段はおよそ260万円。中に、高値で売れるリユース品が入っていますようにと、オーナーのティーさん(52)が神に祈りを捧げます。

ティーさん
「『商売が繁盛するものをお願いします』と毎回、神に祈るのさ」

祈りが通じたのか、コンテナの中からは今、タイで大人気の商品・日本のピアノがありました。経済成長が続くタイでは、子どもにピアノを習わせる家庭が急増。届いたばかりの9台のピアノはすべて、1台5万円ほどで即日完売しました。

さらに人気なのは、日本の自転車。中には、駅前などで撤去されたらしき物もあります。

リユース品店の店長
タイトルさん(39)
「例えばこの自転車なら1万円くらい。日本の自転車はとにかく丈夫なんだ」

広い店内の一角で、オーナーの妻・グンさん(46)が行っていたのは…。

グンさん
「きょうは日本からテレビ局が来ているからお願い!みんな買ってよ!」

実は、これライブ配信での販売。グンさんの絶妙なトークが人気で毎回、数百人が視聴。飛ぶように雑貨が売れていきます。

コンテナは週に1回日本から届きますが、全く足らない状態だといいます。

タイトルさん
「もっともっと日本のリユース品が欲しいよ。あればあるだけ売れるんだから」

■「コンテナ月30本」 全国各地に拠点が

タイ国内で過熱するリユース品争奪戦。タイ人が経営し。6店舗を展開する大型店を訪れました。数百万点にも及ぶ商品をどのように仕入れているのでしょうか?

その前線基地が日本にありました。

神奈川県のとある倉庫。中には、高く積まれた多くのリユース品があります。実は直接仕入れを行うため日本国内に拠点を作っていたのです。

ショークシャイさん(57)は、専属スタッフとして日本に常駐しています。

ショークシャイさん
「これはブランド品。こっちは普通のお皿、こっちはカバン」

こうした拠点は、全国各地にあるといいます。

ショークシャイさん
「栃木・東京にも仲間がいる。(タイの)リユース品店に1カ月に(コンテナを)30本送るから全国で中古品を買う」

では、どこでどのようにリユース品を買い付けているのでしょうか?

■世界からバイヤー続々! リアルタイムネットオークションも

到着したのは、神奈川県藤沢市にある日本のリユース品専門の市場「湘南オークション」です。

ショークシャイさん
「(Q.きょうはどんな物を狙っている?)何でも。たぬきはタイで大人気」
「(Q.きょうはいくら使う?)だいたい50万円以上」

市場には、リサイクルショップや遺品整理などで集められた様々な品々がありました。関係者しか入ることができない会場には、多くの外国人の姿も見られました。 

イランから来た人
「(Q.どちらから?)イランから。(中古の)カメラをメインで買っている」

湘南オークション
大小原徹社長
「(外国人の)密度が濃くなっているのが、ここ3~4年。アフリカ系の方も増えている」

他には、インドや中東など訪れる外国人は10カ国以上に上ります。

そしていよいよ、競りが始まりました。ショークシャイさんも次々と競り落として行きます。

ショークシャイさん
「これ買った。子ども用のベッド。きれい」

そして、狙っていたたぬきの置物もゲット!ちなみに、セットで5000円です。

ショークシャイさん
「きょうはちょっと(競り値が)高い」

この日競り落としたのは総額60万円。2週間後にはタイの店に並びます。

海外人気の過熱ぶりを受け、日本の別の業者が打ち出した次の一手が…!

Grand Trading
大澤恭祐社長(26)
「贈答品から行きましょう。1万円からで。ローゼンタールのカップ&ソーサーですね」
「ノリタケのお皿が入ってまして」

これは、世界中に向けての、リアルタイムのネットオークション。多い時には5カ国から200人以上のバイヤーが参加します。

その中には、あのタイからも…。自宅のプールサイドでオークションに参加しているのは、フィギュア専門店を経営しているジャックさん(45)です。

この日、ジャックさんが狙っていたのは、日本の人気アニメのグッズ100点セットです。

大澤社長
「1万8000円、10番さんです」

ジャックさん
「買いました!」

見事、ジャックさんが競り落としました!

世界が注目する日本のリユース品、不要となったものも、必要とする人のもとへ。過熱する人気はまだまだ続きそうです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

50 Comments

  1. この30年でタイと日本の国民の所得が逆転してきたということだろう。理想・憧れの国からの物と人気が続くか否かは、今後の日本の国がどのような状況になるかによるだろう。

  2. ただの中古品ならいいんだけど、ビンテージというか歴史的価値あるものも大量に流出してる。もはや日本人が外国人の入札に対抗できない。

  3. 親がリサイクルショップやってるけど、小さな飲食店レベルでも経費とか差し引いて、親父が年収1000万円で俺が500万円あります。 朝から冷房きいた店でネトフリ見てるだけの仕事です。

  4. 日本人と外国が平和な状態で経済的に繋がるのは大変いいことだと思います。
    円安ならではのことだと思います。円安の悪いことだけを報道しがちだけどメリットでデメリットがある。

  5. 黄金の国ジパングを真実にした民族
    (かつての?)日本製が高品質高耐久なせいで日本国内で消費し切れなくて海外に渡っていくのおもろすぎる

  6. どおりで最近頻繁に不用品の買い取り電話が多いわけだ。頼むとただ同然みたいな値段で買い取って行く。業者は儲かって笑いが止まらないだろう。(笑)この前なんて50万円以上もしたコンポーネントステレオをDVDレコーダーやカセットデッキなどと合わせてたった8千円で買い取っていったよ。(笑)今でも似たような業者からしょっちゅう電話がかかって来て鬱陶しくてしょうがない。

  7. 確かにバンコク近郊にもこういう日本の中古品のお店はかなり見られます。ですが並んでいる品じなを良く見ると、'あ、これあの時流行った'とか昔祖父母の家にもあったというようなものも結構見受けられます。独特のあの時の匂いもする。これらはだいたいみな遺品だと思うと、いろいろな思いがしてきて、、すぐお店を出てしまう。

  8. タイは重さで価格を決めるからナイスアイディア!
    バンコク行った時彫刻とか仏像を買ってる若者いて実感

    直して長く愛用するタイ人に向いてるのですね

  9. ン❗アタシの遺品も、タイに行くよ。日本じゃガラクタかもだが、タイになら高級品に成るからね❗マア、何方かが使ってくれたら宜しゅうおマス❗

  10. タイは今景気が良いんじゃないかな?物価も上がっているし
    元の値段が分からない状態の良い中古品をぼったくり価格で売るんだと思う笑

  11. イギリスのドラマでも例えば屋根裏から昔の
    イギリスのロックバンドのレコード盤などが
    見つかると「日本盤ならお宝だよ。」などと
    言います。同じバンドで音が違うんですね。
    米盤は明るめ、英盤は暗め、日盤はその中間。
    自分も日英米3種類買って気分で変えてました。
    勿論盤質は日本が最高のようです。

  12. なるほどねー。安い新品の中国製より、少し高くても日本の中古というわけでしょうね。

  13. 安く買い叩かれる日本と揶揄する向きもあるが、こういう日本ブランドの価値を高めてきた先人に恥じぬようにしないとな

  14. お仏壇がタイで人気になるのは凄くわかる。日本人は他人の仏壇は買わないし、仏壇は手の込んだ作りだから仏教国の外国人にとってはとてもお買い得品だよね。

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