睡眠用朗読をご視聴いただき、ありがとうございます。
今回は、眠くなる話「優しいお話」の総集編です。
お気に入りのお話が、見つかりましたら幸いです。
睡眠用BGMのように、ぐっすり眠れるような読み聞かせが出来ていたら嬉しいです。
睡眠導入として、ぜひご活用ください。

<今回のお話>
00:53 落とした一銭銅貨
05:52 犬と人と花
16:53 山に雪光る
27:37 こまどりと酒
54:20 母の心
01:04:30 黒んぼ会
01:13:42 地球儀
01:38:42 神は弱いものを助けた
01:47:49 狐物語
02:10:49 ねことおしるこ
02:20:05 車
02:38:00 のら犬
02:57:35 畑のへり
03:09:22 蜜柑
03:27:15 博多人形
03:36:43 狸のお祭り
04:05:37 父親と自転車
04:14:25 きれいなきれいな町
04:29:38 風
04:35:58 里の春、山の春
04:40:41 玩具の汽缶車
04:52:58 かわいそうな粉ひきの若いものと小猫
05:14:58 朝の公園
05:26:34 狼森と笊森、盗森

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冬に聞きたいお話総集編。

不思議なお話の総集編。


優しいお話の総集編もございます。

日本昔話の総集編。

切ないお話集。

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聴くだけで眠くなるような、睡眠導入動画を投稿しております。
寝付きの悪さ、お子様の寝かし付けに悩まれてる方へ、
大人にも、お子様にも、安眠して頂ければ幸いです。
今後も、眠くなる読み聞かせを投稿していきますので、
チャンネル登録して頂けたら、とても励みになります。
一緒に睡眠を改善していきましょう。

◆チャンネル登録はこちら↓
https://www.youtube.com/channel/UCPXy96HvZVmyjqux3QBCxQg?sub_confirmation=1

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※全ての朗読の台本は、聞きやすいように自ら監修して作成しています。
原文に忠実ではない場合がありますが、ご了承ください。

※素材はこちら様からお借りしております、ありがとうございます。
<アイコン> momochy 様
       ILLUSTBOX 様
<BGM>   スタジオ共創曲 様
<映像>   pixabay 様

#睡眠 #朗読 #眠くなる話 #絵本読み聞かせ #眠くなる声 #童話

今日も1日お疲れ様でし た動画をご覧いただきありがとうござい ますこのチャンネルは睡眠用朗読 チャンネル です今回は優しい気持ちになれるお話を 集めまし た優しく穏やかな気持ちでゆったりとお 過ごし くださいこの他にも睡眠用の眠れる朗読を 投稿しておりますの でよろしければチャンネル登録や高評価を お願いし ますそれではおやすみ なさい落とした一戦ど か スズメが一戦どかを拾いまし たスズメは嬉しくて嬉しくてたまりませ ん他の鈴を見ると僕お金を持っているよと 言って加えていた一線どかを砂の上に置い て見せてやりました さて日暮れになりまし た少し暗くなってきまし たわ遊びすぎちゃったこれは大変 だとスズメは一戦どかを加えて大急ぎで 水車小屋の方へ飛んでいきまし たこのスズメは水車小屋の屋根に住んでい たのでありまし たまだ水車小屋につかない前畑の上を飛ん でいた時あまり慌てたのでスズメはどうか を落としてしまいまし たあこれはしまっ たけれどあたりはもう暗くてスズメの目は よく見ることができなくなっていたの で明日の朝探しに 来ようと言ってそのまま水車小屋の巣へ 帰りまし たその夜は大変寒かったのでスズメは風を 引いてしまいまし たそれもそのはず雪がどっさり降ったので ありまし た鈴は風がなかなか治らないので毎日わの 中にくるまって落とした一戦どかのことを 思っていまし たやがてスズメは良くなりまし たそこで一戦どかを探しに行きまし たまだ雪は畑の上に積もっていまし た僕の一戦どかこの下にいるのか いとスズメは雪の上から聞きまし たすると雪の下 からいえいえ ここにはありませんと誰かが答えまし たスズメはまた別のところへ行っ て僕の一戦どうかこの下にいるのかいと 聞きまし たするとまた雪の下

からいえいえここにはありませ んと答えまし たスズメはあちらこちらと尋ねて歩きまし たすると とうとうはいはいここにありますよ雪が 溶けたらおいで なさいと答えまし た スズメは雪の溶けた日にまた畑へやって いきまし たどうかはちゃんとありまし た見ると畑にはいっぱい吹きの塔が出てい まし たどうかのあるところをスズメに教えたの はこの吹きの塔だったの でしょう お しまい犬と人と 花 ある街外れの寂しい寺に尚様と1匹の 大きな赤犬とが住んでいまし たその他には誰もいなかったのであり ますお尚様は毎日お寺に行ってお経をあげ られていました 昼も夜もありは火の消えたようにひっそり として静かでありまし た犬もだいぶ年を取っていまし た大人しい聞き分けのある犬で尚様の言う ことは何でもわかりまし たただは言えないばかりでありまし た赤犬は毎日お寺の入り口に大人しく 腹ばいになってお尚様のあげるお経を熱心 に聞いていたのであり ます尚様はどんな日でもお勤めを怠られた ことはありませ ん赤犬もお経のあげられる時にはちゃんと 来ていつものごとくまぶを細くして経の声 を聞いていまし たお寺の兄弟にはいくたか春が来たりまた 去りまし たけれど尚様と犬の生活には変わりが なかっのであり ます尚様はある日赤犬に向かっ てお前も年を取っ たやがて極楽へ行くであろうが私はいつも 仏様に向かって今度の世にはお前が得の ある人間に生まれ変わってくるようにとお 願い申して いるよく心で仏様にお前もお願い申して おくれ よおそらく 30年の後にはお前はまたこの世に出て くる だろうと言われまし た赤犬は尚様の話を聞いてさもよく分かる

ようにうれて2つの目から涙をこぼしてい まし た数年の後に保尚様も犬もついにこの世 去ってしまいまし た30年経ち50年経ち 70年と経ちまし たこの世の中もだいぶ変わりまし たある村に1人のおじいさんがおりまし た目の下に小さなほがあってまんまると よく太っていまし た歩く時はちょうど豚の歩くように よちよちと歩きまし たおじいさんはかつて怒ったことがなく いつもニコニコと笑って太い着せでタバコ を吸っていまし たその上おじいさんは体が太っていて働け ないせいもありますが怠け者で何にもし なかったけれど決して食べることに困る ようなことはありませんでし たおじいさん今年は豆がよくできたから 持ってきましたどうか食べて くださいおじいさん芋を持ってきました どうか食べてください おじいさん何か不自由なことがあったら どうか言って ください何でもしてあげます から色々に村の人々はおじいさんのとろに 行ってきまし たそうしておじいさんがもらってくれるの を大変に喜びましたほどおじいさんは みんなから慕われていまし た村で若いものが喧嘩をするとおじいさん は太いキセルを加えてよちよちと出かけて 行きまし たみんなはおじいさんの目の下のほのある 笑顔を見るとどんなに腹が立っていても急 に柔らいでしまってその笑顔に吊り込みれ て自分まで笑うのでし たまた村の人々はどんなに働いて疲れて いる時でもおじいさんがそこを通りかかっ ていいお天気でござい ますよくせいが出る のと声をかけられると 人々は急に晴れ晴れした気持ちになって また仕事に取りかかったのであり ますおじいさんはこの村ではなくてはなら ぬ人になりまし たおじいさんさえいれば村は平和が続いた のであり ますおじいさんは若者のにもなればまた 子供らの相手となりまし たけれどおじいさんは別に豊かではあり ませんでし た食べることに困らなかったというまでで あり

ますそうして貧しい人や旅人の困るものに は何でもものは分けてありまし たある時のこと です村人は畑から取れたものを持ってお じいさんの庭先へやってまいりまし たおじいさんこれを食べて くださいと言いまし た いつものごとくニコニコとしてタバコを 吸っていたおじいさんはその日に限って いつもよりは元気 なくもう私は何にもいらない からと答えて軽く頭を振りまし た村人はどうしたことかと心配でなりませ んでし たその あくる日おじいさんは気分が悪くなって床 に着くとすやすやと眠るようになくなって しまいまし たいいおじいさんをなくして村人は悲しみ まし たそうして丁寧におじいさんを葬って みんなで報じを営みまし た本当に誰からでも慕われた得のあるお じいさんだっ たと人々は噂をいたしまし たまた20年経ち30年経ちました おじいさんの墓のそばに植えた桜の木は 大きくなって毎年の来る春にはいつも雪の 降ったように花が咲いたのであり ますある年の春ののどかな日の こと花の下に雨売が屋台を下ろしていまし た 屋台に結んだ風船玉は空に 漂いまた立てた旗が風に吹かれていまし たそこへ5つ6つの子供が34人集まって 雨を買っていまし た頭の上には花が散ってヒラヒラと 風に待っていまし たお しまい 山に雪 光る色々の店に混じって一軒の船屋があり まし たおじいさんが店先に座って太い筆や細い 筆を作っていまし た出来上がった筆は他へ売りに売るものも あればまた自分の店においてお客へ売る ものもありまし た昔と違いこの頃は鉛筆や万年質を使う ことが多く筆を使うことは少なかったの ですしかし大きな字を書いたりお集字をし たりする時は筆を使うのでし た竹夫はよくおじいさんのところへ遊びに 来てお仕事をなさるそばでおじいさんから

お話を聞くのを楽しみとしまし たおじいさんあの字は誰が描いた のと頭の上にかかっている額をさしまし た あああれはここへ見える初夏の方がおかき なされたの だうまくかけてる の皆さんがお褒め なさる皆さんからこのまれ長く語り継が れる だろおじいさんに書いてくださった のそうだここにあるこの筆でおかきになっ たの だ私の作った筆が体操良いと喜ばれてな1 枚くださったのだ よおじいさんは箱の中から1本太い筆を 取り出して言いまし たそれは白い毛の筆でありまし た僕がお集字の時使う筆とよく似ている なと竹夫は目を丸くしまし たたぼのも良い筆だがこれとは違って いるとおじいさんは笑われまし た僕のも白いねこの筆の毛はやはり 羊そう羊の毛 だ竹夫は筆を使った後で金に水を入れて 洗うと黙々とちょうど記者の煙のように 真っ黒い煙を筆から吐き出し ますそしてその後の毛は清らかな水を含ん で美しい緑色に見えるのでし たおじいさんどの毛で作った筆が1番良い のです かと竹夫は聞きまし た一概には言えぬが細筆などはたぬきの毛 だろう などうやってたぬきを捕まえる のたぬき かおとし穴や罠で捕まえたり また子にして育てたりするの だ山へ行けばたくさん動物が住んでいるの だ ねと竹夫が言いまし た昔はこの辺りでさえいちが出たもの だおじいさんも 子供の頃から町で育って野生の動物を見る 機会は少なかったの ですもう日に火の欲しいある日のことでし た竹夫がおじいさんのとへ行くと秋の 薬売りが学の字を見ながらおじいさんと話 をしていまし たいつしか字の話から山の話になった らしいの です何しろ中央山脈の中でも黒姫は険しい 山と言われまして67月頃まで雪があり ますやっと草や木の目が出始めると薬に なるのばかり100種類ほど積んで

練り合わせたのがこのお薬ですから腹痛や 食当たりなどによく聞き ますこれを置いてまり ましょう薬売りは袋に入ったものをおじい さんの前へ置きまし たおじいさんはその服を手に取ってさも 懐かしそうに眺め ながらそれからさっきの話の筆草というの を今度来なさる時忘れずに見せてもらえ まいかなと言いまし た来年の夏は各地の山へ参り ます私が見つけなければ出会った地元の人 に頼んでどうにかして手に入れてまり ます不思議ですな自然にそんな草があると は天狗や山にこもる人がそれで字を描いた と言い ます私はこの年でもう高い山へ登れない から楽しみに待っています よとおじいさんは頼んでいまし た薬屋はこも面の大きな風呂敷で四角な箱 を包みそれを背中へ背負い足に布を巻き わきの姿で立ち去りまし た 竹夫はしばらくその後ろ姿を見送ってい まし た筆草って草がある の高い山へ薬草を探しに行くとまだ人の 知らない不思議な草があるという話 だあの薬屋さんはこれからどこへ行く のまだ各地を歩いて年の暮れに山国の町へ 帰ると言ってい た竹夫はその日の夕暮れがいつもより 美しく寂しく感じられまし た 秋から冬へかけ空は青々と晴れていまし た町の外れへ出て向こうを見ると野や森を 越えてはるかに山々の影が薄く浮き上がっ ていまし たその中の高い板にはすでに雪が鋼のよう に光ってい ます竹夫は毎日ここへ来て山を眺めてい まし たそして正月のかきぞめには山に雪光ると 書きまし たよくできたと学校の先生からもお父さん からも褒められまし たまた筆屋のおじいさんは地に魂が入って いると大変褒めてくれまし たお しまい こりと 酒夜遅くまでおじいさんは仕事をしてい まし た寒い冬のことで外には雪がチラチラと 降っていまし

た風に煽られてその旅にさらさらと音を 立てて窓の生子に当たるのが聞こえまし た家の中にランプの火は薄暗くとってい まし たそしておじいさんが木槌でわを叩く音が 寂しい辺りにおりおり響いたのであり ますこのおじいさんは体操酒が好きでした が貧しくて毎晩のようにそれを飲むことが できませんでし たそれで夜中にこうしてわらじをを作って これを町に売りに行き帰りに酒を買って くるのを楽しみにしていたのであり ます野原も村も山ももう雪で真っ白であり まし たおじいさんは毎晩根気よく仕事を続けて いたのであります こう雪が降っては隣の人も話にやってくる には難儀でし たおじいさんはしとした外の気配に耳を 傾け ながらまただいぶ雪が積もったと 見えると独り言を言いまし たそしてまた仕事をしていたのであり ますこの時何か窓の生じに来て突き当たっ たものがおり ます雪のかかる音にしてはあまりに 大きかったのでおじいさんは何だろうと 思いまし たしかしこうした の時はよく小鳥が迷って明りを見てやって くることがあるものだとおじいさんは知っ ていまし たこれはきっとスズメか山柄が迷って飛ん できたの だろうこう思っておじいさんは承子を開け てみますと暗い外から1話の小鳥が部屋の 中に飛び込んできまし た小鳥はランプの周りを回っておじいさん が仕事をしていたわの上に降りてすんで しまいまし たまあかわいそう にこの寒さではいくら取りでも困る だろうとおじいさんは小鳥に近づいてよく その鳥を見ますとそれは 美しいこの辺りではめったに見られない こりでありまし た おおこれはいいこり だお前はどこから逃げてきたの だとおじいさんは言いました こりは野にいるよりは大抵人に変われて いるように思われたから ですちょうど開いているかがありましたの でおじいさんはそれを出してきて口を開い て小鳥のそばにやるとかごに慣れていると

見えてこりはすぐにかの中へ入りまし たおじいさんは小鳥が好きで以前には色々 な鳥を飼った経験がありますので雪の下 から青菜を取ってきたり川魚の焼いたのを 吸ったりしてこりに餌を作ってやりまし たこりはすぐにおじさんに慣れてしまい まし たおじいさんは自分の寂しさを慰めて くれるいいこりがうちに入ってきたものだ と喜んでいまし たある日からおじいさんはこりに餌を作っ てやったり水をやったりすることが楽しみ になりました そして太陽がたまたま雲間から出て温かな 顔つきで晴ればれしくこの真っ白い世の中 を眺めます時はおじいさんはこりの入って いるかを日向に出してやりまし たこりは不思議そうに雪のかかった外の 景色を頭を傾けて眺めていまし たそして日が暮れてまた辺りが物寂しく 暗くなった時はおじいさんはこりの入って いるかを家の中に入れて自分の仕事場の そばの柱にかけておきまし た23日するとはいい声で泣き始めたの ですそれは本当に響きの高いいい声であり まし たおそらく誰でもこの声を聞いたものは 思わず足をとめずにはいられなかった でしょうおじいさんもかつてこんないい こりの声を聞いたことがありませんでし たある日のこと酒屋の小僧がおじいさんの 家の前を通りかかりますとこりの泣声を 聞いてびっくりしまし たそれは主人が大事に大事にしていたあの こりの声そっくりであったからです 主人のこりは雪の降る朝子供が籠の音を 開けて逃したのでし たこんなにいい声のこりはめったに ないと主人はいつも自慢をしていまし たその鳥がいなくなってから主人はどんな に楽をしたことであり ましょうあの鳥はどこへ行っ たろうと主人は朝晩行っているのでし た小僧は思いがけなくこのこりの鳴き声を 道を通りすがりに聞きましたので早速お じいさんのうへやってきます オタクのこりは前からお会いになっている のでございます かと小僧は尋ねまし た仕事をしていたおじいさんは頭を振っ て いやこのこりは雪の降る寒い晩にどこから か窓の明りを見て飛んできたの だきっとどこかで変われていたものが逃げ てきたと思われる

が小僧さんに何か心当たりがあります かとおじいさんは言いまし た小僧はこれを聞い てそれなら私のうちのこりですと彼は雪の 降る日に子供が逃した こと主人が体操を悲しがって毎日嘆いて いることなどを話しまし たおじいさんは柱にかかっているこりのか を外してきまし たこのこりに見覚えがあるか と小僧に尋ねまし た小僧は自分が朝晩餌をやったり水を変え てやったこともあるのでよくその鳥を覚え ていましたからそのこりに違いないか調べ てみまし たするとその毛といい様子といい全く同じ 鳥でありましたの でおじいさんこの鳥に間違いありませ んと言いまし たそれなら早くこの鳥を持って帰って主人 を喜ばせてあげた方が いいとおじいさんは言いまし た小僧は正直な優しいおじいさんに関心し まし たお礼を言ってこりをもらってうから 出かけますと外の柱に酒とっくりがかかっ ていまし たそれは空のとっくりでありまし た ああおじいさんは酒が好きと見える どれ主人に話をして礼に酒を持ってきて あげ ましょうと言って小僧はその殻のとっくり も一緒にうへ持って帰りまし た主人は一切の話を小僧から聞いてどんな に喜んだかしれません おじいさんにこれから毎日とっくりにお酒 を入れて持っていくよう にと小僧に言いつけまし た小僧はとっくりの中へ酒を入れておじい さんのところへ持ってまりまし たおじいさん柱にかかっていたとっくりに 酒を入れてきまし たどうか召し上がって くださいと言いまし たおじいさんは喜びましたがそんなことを してもらっては困るから と私は町へわらじを持って行って帰りに酒 を買おうと思ってとっくりを柱にかけて おいたのだ とおじいさんは言いまし た小僧は主人の言いつけだからと言って酒 の入っているとっくりをまた柱にかけ ておじいさん酒がなくなったらまたこの柱 に空のとっくりをかけておいて

くださいと言いました おじいさんは酒が好きでしたからせっかく 持ってきたものをと思って早速とっくりを 取ってすぐに飲み始めたのであり ます酒を飲むとおじいさんは本当にいい 気持ちになりまし たいくら家の外で寒い風が吹いても雪が 降ってもおじいさんは火の傍で酒を飲んで いると温かであったの です酒さえあればおじいさんは寒い夜に 夜鍋までしてわらじを作ることもしなくて よかったのでそれから夜も早くからそこに 入って眠ることにししまし たおじいさんは眠りながら吹雪が窓に来て さらさらと当たる音を聞いていたのであり ます明る朝おじいさんは目を覚ましてから 戸口に出て柱を見ますと昨日からの とっくりをかけておいたのににいつの間に かそのとっくりの中には酒がいっぱい入っ ていまし たこんなにしてもらっては気の毒 だとおじいさんは初めのうちは思いました がいつしか毎日酒の来るのを待つように なって仕事は早く片付け てとは火の傍でちびりちびりと酒を飲む ことを楽しみにしたのであり ますある日のことおじいさんは柱のところ に行ってみますと空のとっくりがかかって いまし たこれはきっと小僧さんが忘れたのだろう と思いまし たしかしその翌日もその翌日もそこには殻 のとっくりがかかっていまし た ああきっと長い間酒をくれたのだがもう くれなくなったの だろうとおじいさんは思いまし たおじいさんはまた自分から働いて酒を 買わなければならなくなりまし たそこで夜は遅くまで夜鍋をすることに なりまし た何でも他人の力を当てにしてはならぬ 自分で働いて自分で飲むのが一番 うまいとおじいさんは知ったのであり ますしばらく経つと酒屋の小僧がやってき まし た実はまたこりがどこかへ逃げてしまった の ですここへやってきてはいませんか と言いまし たおじいさんはそれで初めてもう酒を持っ てきてくれないことが分かったような気が しまし たどうして大事なこりを2度も逃したの です

かとおじいさんは怪しみまし た 今度は主人がぼんやりかの戸を開けたまま 脇見をしているうちに外へ逃げてしまった の ですと小僧は答えまし たそれがもしお前さんが逃したのなら大変 だったとおじいさんは笑ってどんな人間に も誤ちというもがあるもの だと言いまし たおじいさんは毎晩夜遅くまで仕事をした のであり ますまたおりおりひどい吹きもしたのでし たおじいさんはふぐらいランプの下でわを 叩いていまし た 吹雪がさらさらと窓に当たる音が聞こえ ます ああ今夜のような晩であった なこりが風吹の中を明りを目当てに 飛び込んできたの はとおじいさんは独り言を言いまし たその時窓の生子にぶつかってきたものが おり ますババサ バサおじいさんはその切なすぐに小鳥だ こりだと思いまし たそして急いで生子を開けますと窓の中へ 小鳥が飛び込んできてランプの周りを 飛び回りいつかのようにわの上に降りて 止まりまし たこりだとおじいさんは思わず叫んだの ですおじいさんはこの前にしたようにまた 開いたかを持ってきてその中にこりを移し まし たそれから雪を掘って青菜を取りまた川魚 の焼いたのを吸ったりしてこりのために餌 を作ってやりまし たおじいさんはそのこりはいつかのこりで あることを知りまし た そしてそれを酒屋の小僧に渡してやったら 主人がどんなに喜ぶだろうと思いまし たそればかりではありませ んおじいさんはこのこりをさへやったら 先方はまた大いに喜んで今までのように 毎日自分の好きな酒を持ってきてくれるに 違い ないと思いまし たおじいさんはどうしたらいいものだろう かと考えまし たごりはおじいさんのとへ来たのを嬉し がるように見えまし たそしてそのある日からいい声を出して 泣いたのであり

おじいさんはこのこりの鳴き声を聞きつけ たら今にも酒屋の小僧が飛んでくるだろう と思いまし た寒い寂しかった長い冬ももうやがてすぎ 行こうとしていたのであり ますたえ吹雪はしても空には春らしい雲が 晩型などに見られることがありまし たもう時に春になるのだとおじいさんは 思いまし た山から色々なこりが里に出てくるように なりまし た日の光は1日増しに強くなって 空に高く輝いてきまし たおじいさんはこりのかを日向に出して やるとさも広々とした大空の色を懐かしむ ようにこりは首を傾けて止まり木に止まっ てじっとしていまし た ああもう春 だこれからはそう大した吹もない だろう昔は広い大空を飛んでいたものを 一生こんな狭いかの中に入れておくのは かわいそう だお前はかごから外へ出たい かとおじいさんはこりに向かって言いまし た こりはしきりに外の世界に憧れていまし たそしてスズメや他の小鳥が木の枝に来て 止まっているのを見て羨ましがっている ような様子に見えまし たおじいさんは酒屋へ行ってかの中に住む のとまた広い野原に帰って風や雨の中を 自由に飛んで済むのとどちらが幸福で あろうかと子鳥について考えずにはいられ ませんでし たまた酒の好きなおじいさんはこのこりを 酒屋に持って行ってやればこれから毎日 自分は夜鍋をせずに酒が飲めるのだという ことも思わずにはいられませんでし たしかしおじいさんはついにこりに向かっ てさあ早く逃げて ゆけそして人間につまらないように山の方 へ遠く 行けよと言って かの戸を開けてやりまし たもう気候も温かくなったのでこりはいん で夕暮れ型の空を日の落ちる方に向かって 飛んで行きまし たその後吹雪の夜はありました けれどこりはそれっ帰っては来ませんでし たお しまい 母の 心この前の戦争で父親は戦死して後は母と この2人で暮らしていまし

た良吉は小学校を卒業すると都へ出て働い たのであり ますただ1人故郷へ残してきた母親のこと を思うといつでも暑い涙が目頭に湧くの でし た今頃母さんはどうなさっている だろう仕事をしていても心ではっきりと あの寂しい松波木の続く田舎道が見えるの でした 橋を渡り村からずっと離れた山の麓に自分 の家はあるの です稀には1日中人と顔を合わさぬことも あり ます急に母親が病気となっても村へ知ら せるものがないと思うと良吉は遠くにいて も気がきでないのでした 母親もまた同じように子供を思っていたの です身よりのない旅へ出てきっと不自由を する だろうどうか達者で働いてくれればいいが とあけくれ仏様を拝んでいまし たそれで両吉は自分が達者でいることを 知らせるために毎日読んだ新聞を故郷へ 送ることにしまし た お母さん手紙でなくても新聞が届いたら私 が無事でいると思って くださいと母親に伝えまし たするとその後母親 から毎日お前から送ってくる新聞を ありがたく思ってい ますと喜びの返事が届きまし た親思いの良吉には母親の喜びが何より 大きい自分の喜びだったの です 彼は仕事を終えると毎日新聞をポストへ 入れに行きまし たいてつくような冴える星空を眺め て故郷は雪かもしれ ない寒い晩だがお母さんはもうお休みに なっただろう かと思ったのでし た 両吉の出した新聞は翌々日の朝へたった町 の郵便局から配達されまし たいつもそれは昼少し前の時刻に決まって い ます母親は戸口に立ってもう新聞の来る頃 だとあちらを眺めているとこちらへ急いで やってくる配達人の姿が見え ます脇見をせずにせっせとやってき ます 郵便と言って息子から来た新聞を手渡すと またせっせと来た道を村の方へ戻っていく のでし

たその年頃はちょうど亮吉と同じくらいの 少年でありまし た母親は両吉が描いたアテナの文字を じっと眺めてすぐにそれを破ろうとはし ませんでし た2日目ではやこうして 届く遠いと言ってもも便利な世の中 じゃと母親はまだ記者のなかった時のこと を考えていまし た秋の末ながらお天気の日は黄色くなった 田んぼや丘に日が当たってなんとなく のどかな感じがしましたがみぞれが 振り出すと 少年の配達員は雨具を濡らして入ってき まし た郵便屋さん少し休んでお茶でも飲んで いって くださいと母親は言いまし た時間までに帰らなければなりません からと少年は新聞を置くと急いで行って しまったの ですある日亮吉のところへ母親から手紙が 参りまし たあお母さんからだと言って亮吉は手紙に 感謝をしつつふを開けまし た寒くなりましたが代わりはありません か私も無事に日を送っていますから安心し て くださいお前から毎日新聞を送ってもらっ てありがたいがこの頃私の目が悪くなって 続けて読めないしそれにこちらは毎日 みぞれや雪まじりの風が厳しく吹いてい ますその中を新聞1つでわざわざ遠くから 来てくださる配達員さんにお気ですので どうか10日に1回ぐらい送ってくだされ ば結構 ですただお前の安否が分かればいいので これからは 毎日送ることは見合わせて くださいと書いてありまし た優しいお母さん だそれなら同日に1度ぐらいに絵の雑誌で も送って あげようと母親の気持ちをよく知っている 良吉は毎日新聞を送ることをよしたのでし た 毎日来る新聞が来なくなってから母親は なんとなく寂しい気がしましたがこれで 配達員の少年がいくらか助かるだろうと 思うとまた嬉しい気がしまし たしばらくすると郵便を持ってきた少年 がおばあさんこの頃どうして息子さんの とろから新聞が来ないのです かと聞きまし た母親は笑いながらありのままを話す

とそんなご心配ならしてくださらなくて いいのです と少年の目には涙が光ったのでし た他の子供に対しても変わらざる優しい 母親の愛に感激したから ですお しまい クロンボ 会男の子たちはみんな体中真っ黒にしたい と思いまし た色の生白い男の子なんかはこの漁師の村 では馬鹿にされまし たそれに夏休みが住んで9月になると村の 小学校ではクロンボ会があるのでし た今年は誰が一等賞になるん だろうクロンボ会は学校中で1番日にやけ た男の子だけ3人選んで黒いふんどしの 商品をくれるのでしたがそれにはクロンボ 会のマークがついているのでみんな欲し がったの ですチ症今年は僕がもらうんだ ぞ君なんぞだめだふんどしの下が白いじゃ ないか じゃあ君だってだめだい足の裏が白いじゃ ない か足の裏はいいんだ ぞいいやダメなんだい去年から徴兵の検査 みたいにお尻も足の裏も見るんだ から休みの終わり頃になると男の子たちは 一層色を黒くしようとして黒いふんどしの 下や足の裏まで日に焼くのでし たみんなクロンボ会を大変楽しみにして 待ちましたが郵便局のせいちゃんだけは ただ1人ビクビクして恐れていました せいちゃんは小学2年生ですが去年の クロンボ会には一番体が白くてみんなから 白売というあだ名をもらいまし たそれは体の弱いお母さんと一緒に涼しい 山へ秘書に行っていたので村の漁師の子供 たちのように1日中裸で海に使っていられ なかったから ですせいちゃんは白売りと言われたことが とても辛かったので今年はどこへも行かず に暇さえあれば船を借りて近所のおじい さんと釣りに出たり浮輪を持って泳い だりまたセミ取りをして日に焼けまし たけれどいつも靴を履いているので裸に なると足だけ白っぽいのでし た困ったな足まで見るんだっ てせいちゃんがお尻や足の裏まで見られる ことを聞いてきて話すとお母さんは目を 丸くされまし た変なかい ねそんなんだったらその日だけお休み よ丈夫でさえあれば色なんか白くたって

いいんです からだっ てせいちゃんはその日だけ休むときっと また何か言われるに決まっているのでその 日までにどうにかして白い自分の足を黒く したいと思うのでし た9月の1番初めの土曜日 がそのクロンボ会の日でし たは朝から大騒ぎで男の子は大抵運動会の 日のようにシャツとパンツだけで中には わざと黒いふんどしだけの裸の子もいまし たお昼ご飯を済ますと女の子たちは早く家 へ帰り男の子たちだけ列を作って 1年生から順々に行動へ入りまし た靴を脱ぎ裸になったせいちゃんは ブルブル震えながら気をつけの姿勢をして いまし たせいちゃんの足は体と同じように真っ黒 でし た分からなければいいけど 受け持ちの先生と体操の先生とそれから 校長先生とが順々にみんなの黒い体や足を 見てこられ ますせいちゃんはハラハラし ながらでもずんとすましていまし た分からなければいいけど でもやっと助かりまし たせいちゃんたちの2年生からは3人の クロンボさんが前へ出されまし たこの3人が他のクラスのクロンボさんと 一緒にされてその中から学校でのクロンボ さんが3人だけ選び出すれて商品をもらう ことになるの です助かっ た行動を出ていく時せいちゃんはほっとし て今まで自分の立っていた場所をそっと 横目で見まし たそしてドキッとしまし たそこにはせいちゃんの黒い足跡が影の ようにくっついいたから ですせいちゃんは大急ぎで飛び出して汗を 流しながら靴を吐くと見向きもせずお家へ 帰ってきまし たそして井戸端へ来て黒い足に水をかける とたわしでゴシゴシとこすりまし た そこへお母さんが出てこられまし たあら誰かと思った わ会はもう終わった のあなたどうだっ た僕ねあれなの上等の方なの足だって 黒かった しだけどね靴をを塗ってたので行動に足跡 を残してきちゃっ た2人とも笑いまし

た笑いながらお母さんは石鹸を出してきて せいちゃんの足の靴をすっかり洗い落とし てくださいまし た お しまい地球 儀祖父の17年の奉じがあるから 帰れという母からの手紙で私は2月ぶり ぐらいで小田原の家に帰っ たこの頃はどうな の私は父のことを尋ね ただんだん悪くなるばか 母は押入れを片付けながら言っ た続けてそんな気分を振りしてよう にこっちの家は本当に狭くてこんな時には 全く困って しまう第一どこにしまってあるんだか少し もわから などと呟いてい た僕のことを怒っています か [音楽] カンカン母はめんどくさそうに言っ た ふんこれからもうお金なんて1問もるん じゃないて私まで怒られ た ちェと私はせせら笑っ たきっとそう来るだろうとは思っていた ものの明らかに言われてみるとドキッとし たせせら笑ってみたところで私自身も母も 私自身の無能とから元気とかって見にくく 感じるばかり だもうお父さんのことは当てにならない よあの年になってのことだ ものこれは父が遊びほけていることを意味 するのだっ た 勝手にするがいい さ私は怒ったような口調でつぶやくと いかにも腹にはゆない確かな自信がある ような顔をし たこんなものの言い方やこんな態度は私が この頃になって初めて発見した母に対する する1つの媚の売り方だっ ただが私が用いるのはいつもこの手段の他 はなくそうしてその場限りで何の効果も ないので今ではもう母の方でもう聞き飽き たよという顔をするのだっ た もう家はお しまい私は覚悟して いると母は言っ た私は母が言うこの主の言葉は全て母が 感情に走って言うのだという風にばかり

こさに解釈しようと務め た だけどまあどうにかなるでしょう ね私は何の意味もなくただ自分を慰める ようにわけなく見せかけ たこんな私の楽天的な態度にもすっかり母 は愛そをつかしてい た母はちょっと笑いを浮かべたまま黙って 着せるなどのタバコの道具を箱から出して は1つ1つ吹いてい た私も話だけでも父のことに触れるのは嫌 になっ た明日はおじさんたちもみんな来る でしょうみんなが来ると言ってい たまた父のことが口に出そうになっ たツツがよく咲いて いると私は言っ たお前でも花などに気がつくことがある のそりゃありますとも と私は笑っ た母も笑っ たただでさえ狭いのにこれが邪魔でしょう が ないまさか捨てるわけにも行か ず母は押入れの隅にかばっている90cm ほどもも高さのある地球儀の箱を指さし た私はちょっと胸を疲れた思いがしてかじ て苦笑いをこらえ たそうし て邪魔らしいです ねと慌てていっ たなぜなら私はこの間その地球儀を 思い出して1つの短編を書きかけたから だっ たそれはこんな風に極めて干渉的に 書き出し た祖父は庭にある池の隅の灯ろに火を入れ てくると再び自分1人用の黒く塗った 小さなテーブルの前にあを描いて1人で酒 を飲んでい た同じ部屋の丸い窓の下で虫の穴が所々 開いている机に向かって彼は母から英語を 習ってい たしぼ エンドゼ ガールと母は静かに朗読し た竹ずの置ランプが母の横顔を赤く照らし たスピアトップスピア トップスピンスピン スピン回れよこまよよ 回れと彼の母は続け た勉強が済んだらこっちへ来ないかだいぶ 暗くなっ たと祖父が言っ た母はランプを祖父のテーブルのそばに

運ん だ彼は縁側へ出て記者を走らせてい た順一夜お部屋へ行って地球玉を持ってき てくれない かと祖父が言っ た彼は両手で掲げて持ってき た祖はテーブルを片付けさせて地球儀を膝 の前に据え た祖母も母も呼ばれてそれを囲ん だ彼は母の背中に寄りかかって肩越しに玉 を覗い たどうしても俺にはこの世が丸いなどとは 思われない が不思議だ な祖父はいつもの通りそんなことを言い ながら23べぐるぐると撫で回し た えっとどこだったか ねもう分からなくなってしまっ たおいちょっと探してくれ こう言われると母は得意気な手つきで軽く 玉を回してすぐに指で押さえ た フェーヤ フェアち何度聞いてもだめだすぐに 忘れるヘヤ ヘブンと母たちは 立ちどまらの父の顔を知らなかっ た日本は赤いからすぐ わかる祖父は両方の人差し指で北米の一点 と日本の一点とを抑え てどうしても俺には本当だと思われ ないと言っ た祖父が地球儀を買ってきてから毎晩の ようにこんな団欒が家の中を満たし た地球が丸いということ米国が日本の反対 側にある こと長男が海を超えた地球上の一点に呼吸 している ことそれらの意識をいく分でも具体的に するためにそれを祖父は買ってきたのだっ たどこまでも穴を掘っていったらしまには アメリカへ突き抜けてしまうわけだ ねこんなことを言って祖父はみんなを笑わ せたり自分も寂しげに笑ったりし た順一は少しは英語を覚えたか ね覚えた よと彼は自慢し た大学を出たらお前もアメリカへ行くのか ね行く さもしお父さんが帰ってきてしまっ たらそれでも行く よそんな気はしなかったが間が悪かっので 彼はそう言っ た彼はこの年の春から小学1年生になる

はずだっ たいよいよ 小田原にも電話が引けることになっ たある晩祖父はこんなことを言って一同を 驚かせた そうすれば東京の吉郎とも話ができるん だアメリカと は彼は聞い たフがあってはだめだろう ね祖父は真面目な顔で彼の母を帰り見 た 彼は誰もいないところでよく地球儀を持て あん だぐるぐるとできるだけ早く回転させるの が面白かっ たそして夢中になっ て早く回れ早く 回れスピンスピン スピンなどと口走っ たするといつの間にか彼の心持ちは早く 帰れ早く 帰れという風になってくるのだっ たそこまで書いて私は退屈になって短編を 書くことをやめたのだっ たいつか心持ちに余裕ができた時に話にで も書き直すと思っているがそれも今まで 忘れていたのだっ た玉だけ取り外してよく江川という曲芸士 の玉のりの真似などをし てそんなことをするとバチが当たるぞ などと祖父から叱られたりしたことを 思い出し た古い地球儀です ね引っ越しの時から邪魔だっ たそれからまた父のことがうっかり話題に なってしまっ た私はもうお父さんのことは諦めた よ家は私1人でやっていく よと母は固く決心をしたらしくきっぱりと 言っ た僕の胸は正体のないものでいっぱいに なっ たそうして悔しさの あまりその方がいいとも帰らなくたって いい や帰るな帰ってくる なと蒸気を出した妙な声で口走ったが ちょうど話のことを思い出したところだっ たので突然照れ臭くなって慌てて母のそば を離れ た 翌日の昼には遠い親戚の人たちまでみんな 集まっ たせめて順一がもう少し家のこと をそういうことなら親父でも何でも

やり込めるぐらいな気がない と本当に内弁慶 でそのくこの頃はお酒を飲むと無茶なこと を喋って帰って起らせてしまうんです よ酒消しかららんやっぱり系統なの か 叔父と母とがそんなことを言っているのを 私は襖越しでいこたちと陽気な話をし ながら耳にし た私のことを話しているの でこの間もひどくよって外国へ行って しまうなんて言い出し て順一がバカ な無論あの臆病にそんなことができるはず はありませんが ねと母は笑っ た気の小さいところだけは親父と違うんだ ね客がみんな席に揃うと私は父の代わりと して下座に座らせられ た座っただけでも顔が赤くなった気がし た今日はわざわざご遠路のところをお運び くださいまし て実はそのまに恐縮なこと でその実は父が45日前からやむ負えない 幼児 え病む負えない用事で実はその関西の方へ 出かけまして今日は帰るはずなのでござい ますが まだそれで私が えっと どうぞご ゆるり私はこれだけの挨拶をし たちゃんと母から教わった挨拶でもっと 長く喋らなければならなかったのだがこれ だけ言うのに3つも4つもペコペコとじぎ ばかりしてごまかしてしまっ た そしてこの挨拶のシドロモドロを取り直す つもりで胸を張ってできるだけ最もらしい 顔付きをして正座し ただが脇の下には本当に汗が滲んでい たこれが本家の長男の順位 です父方の叔父がまだ私の知らない新しい 親戚の人に私を紹介し たそして私の喋り足りないところを叔父が 変わって述べ立て ただいぶ酒が回ってきて祖父の話がみんな の口に盛に登っていた時 私は隣に座っている叔父 に僕の親父はなぜあんなに長く外国などへ 行っていたんでしょうねと聞い た今更尋ねるほどのことでもなかったの にやっぱり そのつまりこのおじいさんとだね色々な突 もあった

し やっぱりと言った叔父の言葉に私は こだわっ たぼ衝突したと言っ たって今これでお前が外国に行けば ちょうど親父の2代目になるわけ さ まさかと私も叔父に合わせて笑ったが笑い が消えないうちに憂鬱な気に閉ざされ た翌日道具を片付ける時になると母はまた 押入れの前で地球儀の箱邪魔にし始め た見る度にじれったく なるそんなことを言ったってしょうがない じゃありません かと私は言っ たどうすることもでき ない大して邪魔というほどでもないですよ だってこんなものこうしておいたって何に もなりはし ない いそ母は顔をしかめて小言を言ってい た今に永一がおもちゃにするかもしれ ない私はもう少しでそういうところだった が突然またあの話を思い出すと自分で自分 をくすぐるような思いがしてそのまま言葉 を飲み込んでしまっ た永一というのは去年の春生まれた私の 長男で ある お しまい神は弱いものを助け た あるところに極めて仲の悪い100勝が おりまし たこの仲の悪いおじいさんとおばあさんは なんとかしておじいさんはおばあさんをお ばあさんはおじいさんをうんとひどい目に 合わせてやりたいと思っていました けれどなかなかそんな機会は来なかったの であり ますある年の夏の日のことでありまし たいく日もいく日も天気ばかりが続いて雨 というものが少しも降りませんでし たそして口の水が枯れてしまって井戸の水 までが日日に少なくなるのでありまし たおじいさんの家の井戸は深くて容易に水 の尽きることはありませんでしたけれどお ばあさんの家の井は浅くてもう水が尽きる のに間もありませんでし たおじいさんはそのことを知ると大変に 喜びまし たおばあさんの やめ水がなくなってしまったらどうする だろう水を飲まずに生きていられ まいそうすればきっとこの村からどこかへ

逃げて行くか俺のとへ頭を下げてお願いに に来るに違い ないと思いまし たおばあさんはだんだん井戸の水が少なく なるので気がきでありませんでし たもしこの水がなくなってしまったらどう しようと思いまし た仕方がないからどこかの清水の脇出る ところを探さなければならないと思ってお ばあさんはその日から毎日近所の山の麓の 心当たりを尋ねて歩きまし た12km行った谷間に1つの清水があり まし たそれがこのひりにもつきずコンコンとし て湧き出ていました これはいい清水を見つけたものだこれさえ あればもう大丈夫だと思っておばあさんは 喜んで家へ帰りまし たおじいさんはやはりその清水のある ところを知っていまし たどうかしておばあさんにわからなければ いいがと思っていましたのがどうやらお ばあさんは知ったらしい様子なので がっかりしまし たおじいさんはどうかしてその水を飲め なくしてやろうと悩んでおりまし たそのうち1つの考えが浮かびまし たおじさんは馬を引いて町へ出かけて行き まし たおじいさんは街でたくさんの油を買い まし たそれを馬に積んで帰ってきまし たおじいさんは金持ちでありましたから もし金の力でおばあさんをいじめることが できたらいくらでも金を使う考えであった の ですおじいさんが馬に油Underをいく つも積んで帰ってくる姿をおばあさんは林 の影で眺めていまし たはてあんなにたくさんの油だをなんで おじさんさは仕入れてきたの だろうとおばあさんは考えまし たおばあさんはそれとなく悟りましたから すぐに家に帰って桶を担いで清水へ行き まし たそして日が暮れるまでせっせといく10 回も我が家へ水を組んで運びまし た そして樽の中へ水をいっぱい入れまし たおじいさんは日のくれるのを待ってい まし た日が暮れると馬を引いて清水のほりへ 行きまし たそして樽の中の油をすっかり清水の付近 へ流してしまいまし

たおじいさんは家へ帰ると世間へ聞こえる ような大きな声で言いまし た馬が滑って転んだものだから買ってきた 油をみんな流してしまっ たととても惜しそうに言いました おばあさんはあくる日清水へ行ってみると まるで油が湧き出ているようで飲める ところではありませ んそして自分の思った通りであったと頷い て家へ帰って水を大事に使っていまし た おじいさんは 毎日もうおばあさんの家の井水は好きた頃 だがどうしている だろうと様子を伺っていましたがおばあ さんの家では特に困っているような様子が 見えませんでし たもっとひれもっと ひれとおじいさんは空を見て言いまし たどうか神様雨の降るように願い ますとおばあさんは祈っていまし たするとおばあさんの蓄えておいた水が 突きかかった頃にわかに空が曇って 大雨が降ってきまし たそして一気に井戸には水が出て草が蘇り まし たそればかりでなく清水に巻いた油は みんな田んぼの中に流れ出て清水はまた元 のように綺麗に住みまし たその年はいにない方策であったという こと ですお しまい キツ 物語四国のある山の中に面白い狐が住んで いまし たいつも1人で歩くことが好きでしたが ある雨の日いつものように餌を漁って ボツボツ歩いていますと男の子が45人 ガヤガヤ話しながら山を下っていまし た狐は時々人間を見たことがありましたが 人間は2本の足で立って歩いているので狐 は珍しくて仕方がないの です キツのお母さん は人間のところへ行くとひどい目に合う から人間のとへ絶対に近づいてはいけませ ん よといつも言うのですけれど狐は人間の姿 がおかしくて仕方がありませんでしたし第 ヒョロヒョロと立って歩いているのが おかしくて仕方がないの です狐は子供たちの後ろからそっとついて いきまし たこの辺は六米狐の出るところだ

ぞ1人の子供が言いまし た 昼間から出ることはない だろうまた1人の子供が言いまし た昼間でも雨が降っているから出るかも しれ んまたもう1人の子供が言いまし た時々遠くで雷が鳴って ます子供たちはなんとなく気味が悪くなっ たの でしょう歩いていた子供たちはふっ足を 止めて耳を そてつと1人の子供が不意に後ろを 振り返って狐を見ました あ狐がおった ぞ子供たちはびっくりしてまるで豆がはぜ たような凄まじい勢いで走って山を下り 始めまし たキもびっくりしまし たどうしてあんなに子供たちがさっと走っ ていったのだろうと思いまし た雨の降る中を狐も濡れながら子供たちの 跡を追いかけて行きまし た細い山道を何度も曲がってやっと人間の 通るらしい道の近くへきますと山の畑沿い のところで大きい牛がももと泣いていまし た狐は自分たちよりも大きい動物を見て しばらく呆れて眺めていまし たなんて大きいの だろうお尻は箱のように四角くて骨ばって おり垂れ下がった腹や足が泥だらけ ですそして面白いことには大きい鼻の穴に 丸い輪っかをつけて太い紐がついていまし た狐はおずおず牛の前へ行って丁寧に頭を 下げまし た牛はびっくりして狐を見まし たあなたは一体どなた様です かと狐が聞きまし た牛は正直もでした から私をはクさんの家の牛で赤兵衛という ものだと答えまし た狐は王様のようだと関心しまし たそうです か私は山の中から来た六米という狐ですが この先へは行かれますか と訪れてみまし たええ行かれます とも道はどこまでも続いていて賑やかな 加工まで続いています よと教えてくれまし た狐は丁寧に挨拶をして雨の中を歩きまし たしばらく行くと小さい村がありまし た村に入って最初に見えた家では鶏が3匹 ほど遊んでいまし た

狐は何もかも珍しくて仕方がありませ んこれは何というものだろうと思いまし たそれでまた丁寧に頭を下げますと3匹の 慌てもの鶏はけたたましく泣きたてて 鶏小屋の屋根へ飛び上がって行きまし たすると家の中から恐ろしく背の高いお じいさんが棒を持って出てきまし たこれキツネのやつ めお前うちの鳥を食うつもりだ なキツはびっくりしました 鶏なんか1度も食べたことがないのにこの 人間は妙なことを 言うと思ってぼんやりしていますとこーん と硬い音を立て て狐は額を嫌というほど殴られてしまい まし た思わずしりもちをついているところを狐 はとうとう人間に捕まってしまって木箱の 中へ入れられてしまいまし たその晩人間たちはこんなことを話し合っ ていまし た六米狐というのはひどいやで御作さんの 家から帰る 時俺はお飯しを土産にもらっていたんだが 家へ帰る途中とうとう兵にばかされてお飯 を盗まれてひでえ目にあった よ俺もこの六米にはひどい目に覆たぞ 寺の層に化けて俺から財布を取り上げ て挙句の果てに川の中へ突き落とされて しまったもの な六米ぎは箱の中でこんな話を聞いて びっくりしまし た人間というものは何という嘘つきなの だろうと思いまし た六米狐は今までにまだ1度も里へ降りた ことはありませんでしたし第一人間のよう な賢い動物をばかしたりなどしたことは 1度もなかったの です 人間はおかしなことを言うものだと思い まし た昼間頭を殴られたところに大きなコブが できてそれが痛くて仕方がありませ ん山の中へ早く帰りたいと思いまし たこんな嘘つきのとろにいると何をされる かわからないので狐はだんだん怖くなって しまいまし た俺のところでは鶏をもう2度も6米に 食われちまったんだから なキツぐらい動物のうちで悪い奴はいない のあれは魔物だから な雨の降る晩は必ず山に火をつけて からかうしろなことをせん ぞ23日六米を日干しにして綺麗に干し ていぺキツ汁にでもしてみんなで食おう

じゃない か ああたぬき汁はうめえそうだが俺はキツ汁 というのは初めて だキツはびっくりしまし た急にお母さんが懐かしくなり涙を いっぱい溜めて息を殺していまし た キツは一生懸命に箱の蓋を持ち上げてみ まし た石でも乗っかっていると見えて箱を 持ち上げる度ゴロ ゴロと岩が少しずつ動いている様子です 狐は根気よく蓋を持ち上げてとうと長い ことかかって箱の蓋をずらすことができ まし たそっと首を出しますと辺りは薄暗いの ですかすかに生子の破れから月の光がさし ている様子なので狐はやっとの思いでどま へ吐いだすことができまし た人間はとても恐ろしい動物だとお母さん が言っていたけれど本当だと思いまし ただから自分たちの仲間は車は穴の中に 引っ込んでいて人間に見つからないように しているのだなと思いまし たキツはどまへ出て円の下から外へ出る ことができまし たまん丸いお月様が高く登って山の方で 懐かしい不の泣く声がしてい ます山々がこんもりとしていて六兵衛よ お母さんがとても心配しているから早く 帰ってお いでと言っているようにも見えまし た狐は急にが減ってきましたし頭のコブは 椎茸みたいに大きく盛り上がっていて とても熱を持っていまし たよろよろと歩いていますとある家の ところ で もう もう もうと牛がていまし た ああ桑さんのうちの赤兵衛さんだ なと狐が牛小屋の前へ来 て こんばんはと声をかけまし たすると眠れないでいたと見えて赤部は口 を潜り潜りと動かし ながら ああ こんばんはどうしまし た加工まで行ってみたのか ねと優しく牛は尋ねるの です狐はひどい目にあって今まで箱の中に

いた話をしますと それは気の毒でした ね人間というものは何とも勝手なもので わしらのようなものまで尻をひっぱたくの だから嫌になるの さわしだってたまには体のだるい時もある のだが何にしても1日も無駄には休ませて くれないで ね無理な仕事をする時わしは時々泣くこと もあるの さいくらこんな生まれあわせだと言っても これも神様のお干し飯でこんなものに 生まれてきているのだ ものだってわしは悪いこともしたことは ないのにしりをびしり びしりと鞭で殴られる時はつづく泣きたく なってしまう よ生まれあわせで仕方がない けれどお前さんのように身軽に山の中で 自由に住めるが羨ましい さと牛は言いまし た狐もなんだか牛がかわいそうで仕方が ありませんでし た本当に赤部さんそうです ね私たちだって人間だってそう長くは生き られないのだから嘘なんか言わないで平和 に世の中を生きられたらそれが一番いい です ねあなたはさっきから口をもぐもぐしてい ますが何を食べているんです か別に何も食べてはいないのです よ 夕方食べたわを今食べなしていから戻して いるん です今夜はいい月よです ね ええ私は夜が一番楽しみ です人間が寝てしまうともう私は1人で何 を考えてもいいのですから ね尻をひっぱたく人もいないし一番楽々と し ます狐はほろりとしまし たこんなに王様のような体をしていても 自分たちより辛いことがたくさんあるのだ なと道場しまし た私はこのまま山へ帰ってしまえばもう 2度と里へ降りては来ませんけれど元気で いて くださいその代わり夜中に山の上で私は 時々歌を歌ってあげ ましょうあの時の六名狐は元気だと思って くださいほらかかにふが泣いている でしょあの木のそばに私の巣があるの ですきっと聞いて ください米ぎは気のいい正直者の牛と別れ

て寂しい山道をいいと登っていきまし た ああ助かってよかっ たなんと言っても自分のクラス世界が1番 いいお母さんはどんなに喜んでくれる だろう 六兵衛はお腹の空いたのも忘れてまるで 飛ぶようにして山へ帰りまし た昼間の雨はからりと晴れてまるで昼の ように明るいお月様が山や森を照らしてい ます それから 毎晩キツは里に近い岩の上に出て赤兵衛に 聞こえるよう にこーん コンコンコーン コンコンと泣きまし た晴れた夜は村に米の泣く声がよく響いて 聞こえたそう ですお しまい 猫とおし 子お姉ちゃんお姉ちゃん 大変と枕を並べているしちゃんが夜中に お姉さんを起こしまし たよく眠いたお姉さんは何事かと思って 驚いて目を覚まし てどうしたのし ちゃんと今にも立ち上がろうとなさいまし たあれ大変じゃない かとしちゃんは大きな目を開けて耳を 済ましていまし た なに何が大変な の あおんあおんと言っている だろうあれは黒いドネだ よ そしてにゃあにゃあと言っているのはミケ なんだ よしちゃんは猫の喧嘩でで目を覚ましたの でし た小さいミケが大きな黒猫にいじめられて いるので大変だと思ったの です猫の喧嘩 でしょうそんなことで人を起こすものが ありますかびっくりするじゃありません かとお姉さんはしちゃんを叱りまし たしちゃんは布団の中でしばらく黒猫と ミケ猫の喧嘩を聞いていましたが我慢がし きれなくなっ てしと怒鳴りまし たそのうちに猫の鳴き声がしなくなりまし た悪いどら猫だな今度見つけたら石を投げ てやる

からそう言ってしちゃんは眠りましたが お姉さんはなかなか眠れませんでし たある日の朝みんながテーブルの前に座っ た 時あんなことで起こすものじゃなくって よとしちゃんはお姉さんに叱られまし たところがその日の午後でありまし たお姉さんが学校から帰ってくると通りで 遊んでいたしちゃんは遠くから見つけて かけてき てお姉ちゃん と呼びまし たこれを見たお姉さんは思わずにっこり なさいまし たしちゃんはやっとお姉さんに近づく とお姉ちゃんお子がある よだけどたった1 杯と大きな声で言いました 歩いている人がこれを聞いて笑って行き まし たお姉さんも決まりが悪くなりまし たお家へ帰るとお姉さん はなぜあんなみともないことを言うの人が 笑っていくじゃありませんか と言ってしちゃんを叱りまし た本当だからいい だろう僕おしこ食べたい なとしちゃんは言いまし た いいえもうあんたは行けませ んとお母さんがおっしゃいました しちゃんは外へ遊びに行きまし たそれからだいぶ時間が経ちまし たそのうちに日が限って風が寒くなりまし たさっきしちゃんは太を脱いだの よ寒くなったから呼んできて着せてお やり風を引くといけ ないこうお母さんがおっしゃったので お姉さんはしちゃんを探しに行きまし たしかしどこにもその姿が見つかりません でし た いませんの よとお姉さんは帰ってきまし た赤土の原っぱに も ええ原っぱにも神社の兄弟に もしちゃんはよくその原っぱや神社の兄弟 でお友達と色々なことをして遊ぶの ですどこへ行ったの でしょうこんなに遅くまで遊んでいること なんてなかったの にとお母さんはおっしゃいまし た私心配だからもう一度見てくる わとお姉さんは目に涙を貯めてお家を出

まし た昨日からいろんなことでしちゃんを叱っ たのを思い出して悪いことをしたと後悔し まし たなぜならそれはしちゃんが子供らしく 無邪気であっただけだから です猫の喧嘩もおのこと もとお姉さんは歩きながら考えまし たその時あちらから子供たちの声がして みるとわあわあ行って歩いている中にし ちゃんもいたの ですお姉さんはやっと安心してそのそばに 参りました しちゃんどこへ行っていた のとお姉さんは聞きまし た本屋の2階で学校ごっこをやっていたの さ僕は算数が7点で国語が8点で上から3 番目だ偉い だろうとしちゃんは言いまし ただめよもっといい点を取らなけれ ばとお姉さんは叱ってからはっとしていつ も弟に子という悪い癖に気がついて顔を 赤くしまし た お しまい 車ハーシはかを頭に乗っけて午前中街角に 立っていましたがどういうわけか1つも 仕事がありませんでし た呆れてかを下ろして腰をかけ弁当を食べ 始めましたら1人の赤髭の男がせわしそう にやってきまし た おい大急ぎ だ建物の工事に足りなくなったテレピン油 を工場から買ってきて くれそらあそこにある車を引いてね4巻 だけ 頼むこの名刺を持っていくん だどこへ行くの ですハーシは弁当をしまって立ち上がり ながら聞きまし たそいつを今言う よいいかその橋を渡って柳の並木に出る だろう1kmばかり行くと白い食いが右側 に立って いるそこから右に入るん だするとキノコの形をした松林市がある からねそいつに入っていけばいいん だ林の裏側に工場が あるさあ 早くハーシは大きな名刺を受け取りまし た赤髭の男はぐいぐいハーシの手をを 引っ張って1台のよぼよぼの車のところ まで連れていきまし

たさあ 早く今日中に塗っちまわなけりゃいけない んだ からハーシは車を引っ張りまし たまもなくハーシは柳なきの白い食いの 立っているところまで来まし たおやキノコの形の林だ なんてこんなキノコがあるもん かあの男は来たことがないんだ なハーシはそっちの方へ道を曲がりながら もらってきた大きな名刺を見まし た土木建設設計工作等受けおい虹に 払う ふんテレビユの工場なんて見るのは初めて だ ぞハーシは車を引いて青い松林市のすぐ そばまで来まし た清々しい松屋の匂いがして鳥もツンツン 鳴きまし た道はやっと車が通るぐらい大箱が2列に 道の中に生えていて何べも日が照ったり かったりしてその黄色の道の土は明るく なったり暗くなったりしまし たふハーシはちれゲの可いらしい子供が 水色の水平服を着て空気銃を持ってバラの やのこっち側に立っ てしげしげとハーシが車をを引いてくるの を見ているのに気がつきまし たあんまりこっちを見ているのでハーシは 笑いまし たすると子供は少し機嫌の悪い顔をしてい ましたがハーシがすぐそばまで行くと にわかに子供が叫びまし た 僕を車へ乗せてって おくれハーシは止まりまし たこの車はガタガタします よようござんすか坊っ ちゃんガタガタしたって僕ちっとも怖く ない子供が大いりで言いまし たそんならお乗り なさい よっそらしっかり捕まっておいで なさい鉄砲は前へ置い て空ら動きます よハーシは後ろを見ながら車をそろそろと 引っ張り始めまし た子供は思ったよりも車がガタガタするの で唇を曲げてやっぱり少し怖いようでし たそれでも一生懸命捕まっていまし たハーシはずんずん車を引っ張りまし た道がだんだん狭くなって車輪は度々道の 縁の草の上を通りまし たその旅に車はガタッと揺れまし た子供は一生懸命車にしがみついていまし

た 道はだんだん狭くなって真ん中だけが へこんできまし たハーシは車を止めて子供を振り返ってみ まし たスズメを取って おくれ子供が言いまし た今に向こうへ着いたら取ってあげます よそれとも坊っちゃんもうおります かハーシは松林市の向こうの水色に光る空 を見ながら言いまし た降り ない子供がしっかり捕まりながら答えまし た ハーシはまた車を引っ張りまし たところがそのうちにハーシはあんまり車 がガタガタするように思いましたので 振り返ってみましたら車輪が両方下の方で 内側に集まって逆さの形になっていまし た道の真ん中がへこんでいるため だそれにどこか壊れた なハーシは思いながら止まって静かに家事 を下ろし黙って車を調べてみましたら車輪 の楔が1本抜けていました 坊っちゃんもう降りて ください車が壊れたんですよ危ないです から嫌だ よ仕方ない なハーシはつぶやきながらあたりを見回し まし たこのまま放置でももしていたら車輪は すっかり抜けてしまうのでし たぽっちゃんでは少し待っていてください ね今縄を探します からハーシはすぐ前の左の方へ入っていく 小さな道を見つけて言いました そしてその道は一軒の100勝の家へ入る らしいのでし たハーシはその道を急いで行きまし た束ねられた麦がずっとかかっ てその向こうに小さな赤い屋根の家と井戸 と柳の木が明るく日光に照っているのを見 まし たハーシはその麦の束の下に1本の縄が 落ちているのを見まし たハーシはかがで拾おうとしましたら いきなり 後ろから高い女の声がしまし た何する持っていくな人の ものハーシはびっくりして振り返ってみ ましたら顔の赤い背の高い百勝の女将さん でし たハーシはドギマギして言いまし た車が壊れまして ね後で何かお礼をしますからどうか譲って

やって くださいいけない人が一生懸命作ったもの を黙って持っていく街のものはみんなこう だ ハーシはしげて縄を底に置いて車の方に 戻りまし た100章の女将さんは後ろでまだ ブツブツ言っていまし たあの縄を作るのに1時間はかかったん だろう仕方ない怒るは最も だハーシは目をつってそう思いまし た楔がどこかに落ちているかも探せばいい ん だハーシは車のところに戻ってそれから また来た方へ戻って楔を探しまし た 早くお いでよ子供が足を長くして車の上に座り ながら言いまし たくびはすぐそこの大箱の中に落ちてい まし たああったなんでも ないハーシは楔を車輪にはめようとしまし たまだはめない方がいいよすぐ川がある から子供が言いまし たハーシは笑いながら楔をはめて油で黒く なった手を草になすりまし た さあ行きます よ車がまた動きまし たところが子供の言ったようにすぐ小さな 川があったの です2本の松の木が橋になっていまし た ははこの子供が楔をはめない方がいいと 言ったのは先ほどのように車輪が下の方で 内側に寄っていればこの狭い端を通れた からなのだ なハーシは1人で考えて笑いまし た川の深さは6cmぐらいしかありません でしたからハーシは車を引いて川を渡り まし た砂利がガリガリ言い子供はいよいよ一生 懸命にしがみついていまし たそして松林市の外れに小さなテレの工場 が見えてきまし た松屋の匂いが死として青い煙は上がり 日光はサンサと降っていまし たその戸口にハーシは車を止めて叫びまし たテレピユを取りに来ました 義師長が笑って顔を出しまし たすみません今お届けしようと思ってい ましたが手が開きませんで ねいいえ私はただ頼まれてきたん ですそうですかすすぐあげ

ますおいどこへ行ってたん だ義姉長は子供に言いまし たどうも車が遅くて ねそれはいかん な義姉長が笑いまし たハーシュも笑いまし た 本当に面白かっ たこんなに遊びながら仕事になるんなら 今日午前中仕事がなくて嫌な思いをした ことの埋め合わせには十分だとハシは思い まし たお しまい 野良犬常念ごぼう男はが何よりも好きでし た隣村の友人の家へ法事で呼ばれてお 昼過ぎから以後を打ち続け日が限ってきた のでびっくりして腰をあげまし たまあいいじゃありません かこれからでは途中で夜になっしまい ます今夜は止まっていらっしゃいます よと引き止められまし たでも小僧が1人で寂しがります から幸いに風もございませんの でとおまじの包みをもらってていきまし た常念 ごぼうながらも以後のことばかり考え続け ていまし たさっきの1番最後のあそこのあの手は まずかっ た向こうがあき たそこであそこをパチンと押えた それからこう来たからこう逃げたがあれは やっぱりこっちのところへこう渡るべき だったなどと夢中になって歩いていまし たそのうちにその村の外れに近い帽子を 作る家の前まで来ますともう冬の日も とっぷりくれかけてきまし たしばらくして何の気もなくふと後ろを 振り返ってみます とすぐ後ろに犬が1匹ついてきてい ます狐色の毛をした耳のピンとつったった 肋の間のやせぼだ 不気味なよろよろ犬 ですどうかここいらの飼犬だろうと思い ながらまた以後のことを考えながら歩き まし た200mほど行ってまた振り向いてみ ますとさっきの野犬がまだとぼとぼ跡を 追ってきてい ます薄ぐらい通りの真ん中で23人の子供 がコを回してい ますおい 坊この犬はどこの犬だ い子供たちはコマを足で止めてぼの顔と犬

とを見比べ ながらら知ら ねえおいらも知ら ねえと言いまし た常念ごぼは村を出まし た左右は麦畑の低い丘でひっこ1人おり ません 後ろを見ると犬がまだついてきてい ますシッと言って睨みつけましたが 逃げようともしませ ん足を上げて追うと数10cm引き下がっ てじっと顔を見てい ます 全く気味の悪いやだ な常念ごぼは舌打ちをして歩き出しまし た辺りはだんだんに暗くなってきまし た後ろには犬がのそのそついてきているの が見なくても分かります すっかり夜になってから峠の下の茶屋の ところまで来まし た真っ暗い峠を足探りで歩くのは危ないの で茶屋のおばあさんに超人を借りていこう と思いまし たおばあさんは風呂を炊いていまし た常人だけ借りるのも変なので常念坊 はおいおばあさん団子はもうないか なと聞きまし たたった極残っています がそれでいい包んで おくれはい はいとおばあさんは団子を竹の川に包み ますすまないがわしにちちを貸しておくれ ん か明日小僧に持ってこさせるで な とても破れ長人でございます よいい とおばあさんは団子を渡すと上へ上がって フル長人の誇りを拭いて持ってきまし た常念坊はちに明りをつつけると辺りを見 おやもうどっかへ行った なと独り言を言いまし たお疲れ様ですか ね いやどこかの犬がのこのこついてきて離れ なかったんだ よ狐じゃありません かあなたの通っていらっしゃったあの先の やのところによく狐が出て人をばかすと 言います よ面白くもないことを言いなさん なほらお金をここへ置く よ常念坊は片手におまじの包みとちちを 下げ片手に団子の包みを持って峠にかかり まし

たその峠を降りて田んぼ道を1kmばかり 行くと自分の寺 ですもうあの嫌な犬もついてこないので 安心してテクテク上がっていきます とやがて後ろの方でクンクンという声がし ます おやまたあの犬が来た なと常年坊は思いまし たわずどんどん行きましたがふと考えまし た後ろから来るのは犬ではなくておばあ さんが言ったあの狐がつけてきたのでは なかろう かこう思うと自分の後ろにはずるい狐の目 が闇の中にランランと光っているような気 がしし ます木の小さな常念棒はぶるっと身震いを しまし たでも後ろを振り向くのも怖いので不気味 と思いながらぐんぐん歩きまし たなんだか後ろでは狐がいつの間にか女に 化けてい て今にもキャッと言って飛びついてきそう な気がし ます常念坊はその狐のことを忘れよう 忘れようとするように超人の明りを見つめ て歩きまし た やっとのこと村へ行きまし た村へ入ると少しほっとしまし た村ではどこのうちも夜には通しめて しまうのでどこもシとしてい ますその中でどこかのうで木槌を打つ音が 遠くに聞こえ ますその時ふと気がついてみますと左手に 持っていた団子の竹の皮包みがいつの間に かなくなってい ますおしまったうっかりして落としたかな それとも狐のやがそっと盗みとって逃げた か な常念 ごぼうしそうにおまじの包みとしちとを 両手に持ち分て後ろを向いていまし たもう何もおりませ ん やがて寺の門の前に来まし た立ち止まってもういぺ後ろをよく見ます と狐らしいものがのこのこつけてきてい ます常念棒が門を入る と 小僧 小僧と台所の方へ向かって怒鳴りまし た はいと返事が聞こえて小僧がごそごそ金を 吊るしてある部屋から出てきまし たおいキツだキネだほ気を持ってこい気を

本気で 追い払え小僧は飛んでいって放棄を持って 門の方へ駆けつけまし た おや狐が何か加えています よ ああ団子だ取り上げ はいこら下へ 置け団子は取り返しましたが狐は座った きり逃げませ んだから本気で追い払えというの にチし2元かし ししと小僧は放棄で追いかけ回しまし たほらチし こらと小僧はそっちこっち追いかけて とうと外へ逃してしまいまし た 逃げた か逃げまし た 小僧 はいなんでお前は今頃金の部屋なんぞへ 上がっていたの だ寂しかった からそこへ上がっていれば寂しくなくなる のか 金を原告で叩く とおオン オンとお尚さんの声みたいな音がするん です何を言い おるおしさんは衣を脱いでいりのそばの 食卓に座って ザブザブとお茶漬けを流し込み始めまし た小僧はお土産の団子を広げまし たおしさんあのキツはどこからついてきた の です隣村からしっこく後をつけてきたのだ よどうしてです かどうしてだか知らない よ馬鹿者しませんでした か俺がキネなんぞにばかされてたまるか いキツでしょうかあれは ああ犬みたいでした ねその証拠に私はそばへ寄ってもちっとも 怖くはありませんでし た常念ごぼは橋を置いて考え込んでいまし た アドの明りがそのくるくる頭へ赤く刺して い ますしばらくして常念ごぼ は 小僧と少し決まり悪そうに言いまし たその長人を つけよう はいわしはちょっと言って探してくるで

なお前は本道の縁の下へわをどっさり入れ といて くれ何を探しに行くのです かあの犬を連れてくるのだ キツではないのですかあれ はかわいそうに犬なら野良犬 だ食い物もろにくわんと見えてひどく 痩せこけてい たはるばる隣村からわしについてきたのだ からあったかくして止めやろう よと言っ てそれにわしの落とした団子までちゃんと 加えてきてくれたんだもの俺が悪い よとこれだけは心の中で言って常念 ごぼう持って出ていきまし た お しまい畑の 減り 朝が駆られましたので畑の減りに1列に 植えられていたトウモロコシは大変立派に 目立ってきまし た小さなアダの別行色の透き通ったハムだ のみんな変わるがる来て挨拶していくの でし た トウモロコシにはもう頂上にヒラヒラした ほがたち大きな縮れた歯の付け根には尖っ た青いさやができていまし たそして風にざわざわなりまし た1匹のカエルが勝った畑の向こうまで 飛んできていきなりこのトウモロコシの列 を見てびっくりして言いまし た変な動物が立っている ぞ体は痩せてヒョロヒョロだがちゃんと列 を組んで いるひょっとするとこれはカジ国の兵隊だ ぞどれよく見て やろうそこでカエルは上等な遠メガを出し て目に当てまし たそして大きくなったトウモロコシの形を ちらっと見るやカエルはギャーと叫んで遠 メガも何も放り出して一目さんに逃げ出し まし たカエルがちょうど500ばかはねた時 もう1匹のカエルがびっくりしてこっちを 見ているのに会いまし たおいどうしたんだい一体誰に睨まれたん だどうしてどうして全くもう大変 だカジ国の兵隊がとうとうやってきた みんな2匹か3匹ぐらい幽霊を脇に抱えて いるその幽霊は歯が70枚ある ぞあの幽霊にかじられたらもうとても たまら ないかわいそうに朝はもうみんな食われて

しまっ たみんな真っすぐないい若いもだったのに なバリバリ骨までかじられたとは本当に 人言とも思われない ななんだい兵隊が幽霊を連れてきたのかい そんなに怖い幽霊か いどうしてどうしてまあ見るがいい どの幽霊も青白い髪の毛がバシャバシャで 歯が70 枚おまけに足から頭の方へ青いマントを6 枚も着て いる今どこにいるん だお前の眼鏡で見るがいいあそこだよ麻畑 の向こう側は さ俺は眼鏡も何も捨ててきた よ新しいカエルは遠メガを出してみまし たなんだあれは幽霊でも何でもない ぜあれはとこというやつだ僕は去年から 知っているよそんなに人が悪く ない脇にいるのは幽霊では ないみんな立派な娘さんだ よ娘さんたちはみんな緑色のマントを着て いる よ緑色のマントは着ている さしかしあんなマントの着方が一体あるも もんかな足から頭の方へ逆さまに来ている ん だそれにマト6枚も重ねてきるなんて聞い たことも見たこともない贅沢だおりの頂上 だ ははしかし世の中は様々だ ぜ例えばうさぎなんていうものは耳が天 まで届いて いるその先は細くなって見えないくらい だ豚なんというものは鼻がらっぱになって いる口の中にはトボのような透き通った羽 が10枚ある よまた人というものは頭の上の方に16本 の手がついて いるそんなこともあるん だそれにトウモロコシの娘さんたちの長い つやつやした髪の毛は評判なもん だよして くれよ70枚の白い歯からつやつやした 長い髪の毛がすぐ生えている なんて考えただけでも胸が悪く なるそんなことは ないまあもっとそばまで行って見て みよう おや誰か言った ぞおいおいあれがたった今言った人だ人だ よ あいつは本当に怖いもん だ何をするかここへ隠れてみて いよそらちょっと遠メガを貸す

から ああおよく 見えるなんだ手が16本あ るって俺には本ばかりしか見えない よああの幽霊を捕まえてる よどれ貸して ごらん ああ取ってる取ってるみんなガリガリ取っ てる ねトウモロコシは怖がってみんな歯を ザーザー動かしているよ 娘さんたちは髪の毛を振って泣いて いる僕ならちゃんと16本の手が見える ねほら貸し てなるほど 16本かね4本は大変小さい なあ後からまた1人来たあれは女の子 だろう ねどれ ちょっと ああそうだよあれは女の子だ よ ほう今ねあの女の子がトウモロコシの娘 さんの髪の毛をむってね口へ入れて空へ 吹いて よするとそれがパッと青白い日になって 燃え上がった よこっちへ来ると怖い な来ないよ あもう行ってしまった よ何か叫んでいるようだ ね 歌ってるん だけれども僕たちよりは下手だ ね下手だ僕少し歌って聞かせてやろうか な僕が歌ったらきっとびっくりしてこっち を向くだろう ね歌って ごらんこっちへ来たら その歯の影に隠れよう いいかい歌う よギュッ ギュッこっちを向かないよもう少し高く 歌って ごらんどうも疲れて声が出ない よ ギュッはあもう よそうよすか ね あ言ってしまった残念だ な僕は遠メガを取って くるじゃ さよなら さよなら2匹のカエルは別れました トウモロコシはさやをなくして大変寂しく

なりました がやっぱり頬をヒラヒラ空に動かしてい まし たお しまい みかある曇った冬のひれで ある私は横須賀発登り2等客車の隅に腰を 下ろしてぼんやり発射の笛を待ってい た当に伝統のついた客車の中には珍しく私 の他に1人も乗客はいなかっ た外を覗くと薄暗いプラットフォームにも 今日は珍しく見送りの人影さえ後を立って ただ折りに入れられた子犬が1匹時々悲し そうに吠えたててい たこれらはその時の私の心持ちと不思議な くらい似つかわしい景色だっ た私の頭の中には言いよのない疲労と健体 とがまるで雪曇りの空のようなどんよりと した影を落としてい た私は上着のポケットへじっと両手を 突っ込んだままそこに入っている夕間を 出して見ようという元気さえ起こらなかっ た がやがて発射の笛が鳴っ た私はかかな心のくつろぎを感じながら 後ろの窓枠へ頭を持たせて目の前の停車場 がずるずると後ずさりを始めるのを待つと もなく待ち構えてい たところがそれよりもも先にけたたましい ひげの音が改札口の方から聞こえ出したか と思うと間もなく車掌の何か言いののしる 声とともに私の乗っている二等質の戸が がらりと開いて134の小娘が1人 慌ただしく中へ入ってき たと同時に1つずしりと揺れてむに記者は 動き出し た1本ずつ目を区切っていく プラットフォームの 柱置き忘れたような汽車へ水を補給する 車それから車内の誰かにチップの霊を言っ ている 赤坊そういう全ては窓へ吹きつける煙の中 に未練がましく後ろへ倒れていっ た私はようやくほっとした心持ちになって 巻きタバコに火をつけ ながら初めてなんとなく憂鬱なまぶをあげ て前の席に腰を下ろしていた小娘の顔を 一別 それは油気のない髪を無増さな胃腸返しに ゆって横の後のある日々だらけの 両方気持ちの悪いほど赤くほてらせた いかにも田舎者らしい娘だっ たしかも赤みた萌木色の毛糸の襟巻が だらりと垂れ下がった膝の上には大きな 風色包みがあっ

たそのまた包みを抱いた霜焼けの手の中に は三頭の赤切符が大事そうにしっかり握ら れてい た私はこの小娘の下品な顔立ちを好まなか それから彼女の服装が不潔なのもやはり 不快だっ た最後にその2刀と3等との区別さえも わきまえない愚鈍な心が腹たしか ただから巻きタバコに火をつけた私は1つ にはこの小娘の存在を忘れたいという 心持ちがあって今度はポケットの夕間を 漫然と膝の上へ広げてみ たするとその時夕間の地面に落ちていた 外光が突然伝統の光に変わってすりの悪い いくつかの活が意外なくらい鮮やかにの目 の前へ浮かんでき た言うまでもなく記者は今横須賀線に多い トンネルの最初のそれに入ったので あるしかしその伝統の光に照らされた夕刊 の四面を見渡してもやはり私の憂鬱を 晴らすべく 世間はあまりに平凡な出来事ばかりで持ち 切ってい た戦争 問題神父 信郎汚職 事件死亡 広告私はトンネルへ入った瞬間記者の走っ ている方向が逆になったような錯覚を感じ ながらそれらの冷やかな記事から記事へ ほとんど機械的に目を通し たがその間ももちろんあの小娘があかも 低俗な現実を人間にしたような持ちで私の 前に座っていることを絶えず意識せずには いられなかっ たこのトンネルの中の記者とこの田舎者の 小娘とそうしてまたこの平凡な記事に うまっている勇敢 とこれが象徴でなくてなんで あろう不可解な過当な退屈な人生の象徴で なくて何で あろう私は一切がくだらなくなって 読みかけた夕間を放り出すとまた窓枠に頭 を持たせながら死んだように目をつぶって うつらうつらし始め たそれからいく分か過ぎた後であっ たふと何かに脅かされたよう心持ちがして 思わず辺りを見回すといつの間にか霊の 小娘が向こう側から席を私の隣に移して 仕切りに窓を開けようとして いるが重いガラス戸はなかなか思うように は上がらない らしいあの日々だらけの方はいよいよ赤く なって時々鼻をすり込む音が小さな息の 切れる声と一緒にせわしなく耳へ入って

くるこれはもちろん私にも幾分ながら道場 を引くに足るものには違いなかっ たしかし記者が今まさにトンネルの口へ さしかかるとしていることは夕暮れの景色 の中に枯れ草ばかり明るい両側の山の中腹 が間近く窓際に迫ってきたことでもすぐに 打点の行くことであっ たにもかわらずこの小娘はわざわざ閉めて ある窓の戸を下ろそうと するその理由が私には飲み込めなかっ たいやそれが私には単にこの小娘の 気まぐれだとしか考えられなかっ ただから私は腹の底に依然として険しい 感情を蓄えながらあのしもやけの手が ガラス戸をもたげようとして悪戦苦闘する 様子をまるでそれが永久に成功しないこと でも祈るような冷酷な目で眺めてい たすると間もなく凄まじい音をはためかせ て記者がトンネルへなだれ込むと同時に 小娘の開けようとしたガラス戸はとうと ばたりと下え落ち たそうしてその四角な穴の中からススを 溶かしたようなどす黒い空気がにわかに 息苦しい煙になってももと車内へみなり 出し たもも喉を害していた私は繁華を顔に 当てる暇さえなくこの煙を満面に浴びせ られたおかげでほとんど息もつけないほど 咳き込むなければならなかっ たが小娘は私を気にかける様子も見せず窓 から外へ首を伸ばして闇を吹く風に胃腸 返しの髪をそがせながらじっと汽車の進む 方向を見合っている その姿を煙と伝統の光との中で眺めた 時もう窓の外がみるみる明るくなってそこ から土の匂いや枯れ草の匂いや水の匂いが 冷やかに流れ込んでこなかった ならようやく咳あんだ私はこの見知らない 小娘を頭ごなしに叱りつけてでもまた元の 通り窓の戸を閉めさせたにいなかったので あるしかし記者はその時にはもう安々と トンネルを滑りのけて枯草の山と山との間 に挟まれたある貧しい街外れの踏切りに 通りかかっていた 踏切りの近くにはいずれも見すらしい屋根 や河屋根がゴミゴミと狭苦しい立て込んで 踏み切り晩が降るのであろうただ人流れの 薄白い旗が憂鬱草に夕暮れの景色をゆすっ てい たやっとトンネルを出たと思うその時その 物寂しい踏切りの柵の向こうに私は頬の 赤い3人の男の子が目しに並んで立って いるのを見 た彼らはみんなこの論点に押し進められた かと思うほど揃って背が低かっ

たそうしてまたこの街外れの暗く むごたらしい風物と同じような色の着物を 着てい たそれが記者の通るのを仰気味ながら一斉 に手をあげるが早いか痛な喉を高くそらせ て何とも意味のわからない完成を一生懸命 にほばしらせた するとその瞬間で ある窓から半身を乗り出していた霊の娘が あのしもやけの手を急に伸ばして勢いよく 左右に降ったと思うと立ちまち心を踊らす ばかりの温かな日の色に染まっているみか がおよそ5つ6つ記者を見送った子供たち の上へバラバラと空から降ってき た私は思わず息を飲ん だそうして切なに一切を理解し た小娘はおそらくはこれから武行先へ赴 こうとしている小娘はその懐にしまってい たいくつかのみかを窓から投げてわざわざ 踏切りまで見送りに来た弟たちの老に報い たので ある夕暮れの景色を帯びた街外れの踏切り と小鳥のように声をあげた3人の子供たち とそうしてその上に乱れ落ちる鮮やかな みかの色 と全ては記者の窓の外にまたたく暇もなく 通りすぎ たが私の心の上には切ないほどはっきりと この光景が焼きつけられ たそうしてそこからあるのしれない朗らか な心持ちが湧き上がってくるのを意識し た私は誇らしげに堂々と頭をあげてまるで 別人を見るかのようにあの小娘を注視し た小娘はいつかもう私の前の席に帰って相 変わらず日々だらけの方を萌木色の毛糸の 襟巻きに埋めながら大きな風呂敷包みを 抱えた手にしっかりと三頭切符を握って いる私はこの時初めて言いよのない疲労と 検体とそうしてまた不可解な過当な退屈な 人生をわずかに忘れることができたので あるお しまい 博多 人形おそは可愛い博多人形を持っていまし たその人形は黒い目とバラ色の方を持った それはそれは可愛らしい人形でありました からお磯はどの人形よりも可いがってい まし たどこへ行く時にもそばを話しませんでし た寝る時でさえそっとそばへ寝かしてやる ほどでし た ある日磯は牧場へつを積みに行きまし たやはりいつものように右の手には お気に入りの人形が抱っこされていまし

たつば つば一枝を手は帯にさし二枝おっては紙に さしつが両手いっぱいになった時おは人形 に言うのでし たあなたはいい子 ね私はお手てがこんなにいっぱいなの ですほらだからここへねんねして待ってて ちょうだい な母さんすぐ来ますから ねいい ことおは人形を草の上に寝かせまし た柔らかい青い草は本当に気持ちの良い 寝床でし た三枝が先に日が暮れて髪の醤屋が 止まろうか中の醤屋で止まろうか下の正屋 へ止まっ たらおはそう歌いながらつを積んでいる うちにいつか太陽が落ち その辺りが薄暗くなってきまし たお磯はびっくりして人形を寝かしておい たところへ来ましたがどこもかしこも草 だらけでどこへ人形を置いたやら探しても 見つかりませ ん私の坊や どこにいる のいくら呼んでも返事がありませ んそのうちに太陽はずんずんお山の向こう へ帰ってしまいまし たまあここにいたのいそ ちゃんさあ帰り ましょう お家から姉ちゃんが呼びに来たのでし ただって私のお人形さんが見えないんです ものおいはそう言って姉ちゃんと一緒に 探しました けれどやはり人形は見つかりませんでし た 明日また姉ちゃんと探しに来ましょう ねそしたらお日様が手伝って探して くださる わ ねお姉さんにそう言われてお磯も諦めてお 家の方へ帰りまし たもし人形が悪い人に連れて行かれたら どうし ましょうそれともお化けが出てきて食べ ない かしらおいはそれが心配でし たけれど悪い人もお化けも連れて行きませ んでし た長い草はそよ風に吹かれながらも人形を 誰からも見えないように上手に隠してくれ まし ただから人形は日が暮れてもじっとそこに 寝ていまし

た日が暮れると1番に出る青い星が森の上 へ出てピカピカ光りまし たお星さんお星 さん一つ星で出ぬもんじゃせもまも出る もん じゃ遠くの方で男の子の歌う声がしまし た人形ははもしや私を連れに来るかと目を ぱっちり開けていましたが歌の声も遠くへ 行ってしまいまし たどうなること だろう人形はもう泣き出しそうになりまし たリーリーリー 近くの草の中で鈴虫が泣きだしまし た人形は大喜び で鈴虫さん私をお嬢さんのところへ連れて いってちょうだい なと頼みまし たおやお人形 さんあなた 置いてけぼりになった のでも私お嬢さんのお家を知りません よリーリーリー と言ってどこかへ飛んでいきまし たクララ クララ川の縁でカエルが泣きました 人形はまたカエルを呼びまし たカエルさんまだ世は開けない のおいらは知らないねお日様が出たら聞い てみ なくら くらカエルはつっけんどんにそう言って ズボンと川の中へ飛び込みまし た人形は泣きながら寂しい夜が開けるのを 待っていまし たやっと夜が開けて近くでチキンチキンと ハサミの音がしまし たそれは牧場の主人が草を借りに来たの でし たおじ さん私のお人形を見なかっ たそう言っているの は たぬきのお 祭り 昔ある片田舎の村外れに8万様の神社が ありまし て神社の周りは小さな森になっていまし た 秋の大変月のいい番でし たその8万様の前を鉄砲を持った2人の男 が通りかかりまし たジシにコハという村の漁師でおりまし てその日遠くまで両に行って帰りが遅く なったのでし たどういうものかその日は1匹も獲物が

おりませんでしたから2人はがっかりして 口も聞かずに急ぎ足で8万様の前を通り すぎようとしまし た丸い月が空にかかって昼間のように 明るい夜でございまし たすると先に歩いていたジシがふと 立ち止まって八幡様の横にある大きなムの 木を見上げまし たコハも立ち止まって同じく無垢の木を 見上げました そして2人はしばらくぼんやり眺めてい まし たそれも最も です無垢の木の高い枝に1匹のたぬきが 上がってお腹をポンポン打っているでは ありません か秋も末のことですから ムの木の葉はわずかしか残っておりません でし たその寂しそうな裸の枝を明るい月の光が くっきりと照らし出していまし たそして1本の大きな枝の上にたぬきが ちょこんと後ろ足で座って 丸いお月様を眺めながら大きなお腹を前足 で叩いているの ですポンポコポンポコポンポコポン ポンポコポンポコポンポコポン ジシとゴロははあけに取られ てしばらくたぬきのお腹の音を聞いてい まし たそれから初めて我に帰る とコハはジシの肩を叩いて言いまし た手ぶらで戻るのも腹立たしいからあの たぬきでも打ってやろうか そうだ ねとジシも答えまし たたぬきの川は高いからかわいそうだが 打ち取って やろうそして2人は鉄砲に玉を込め始め まし たととがその話が聞こえたの でしょうたぬきはお腹を叩くのをやめて じろりと2人の方を見下ろしまし たそしておかしな手つき をいやたぬきですから足つきというの でしょうがそれをしますと急にたぬきのの 姿が見えなくなって後にはむくの木の頑丈 な枝が月の明るい空に黒く浮き出している 霧でし たジシとゴははまたあけに取られて夢でも 見たような気がしまし たそれから腹立たしに下打ちをして玉の こもった鉄砲を担いで帰りかけまし た八幡様の森を出て村の中に入ろうとする とこれはまた意外

です道の真ん中にさっきのたぬきが後ろ足 で立ってこちらを手招きしながら踊って いるではありません かジシとゴはとは黙って合図をして鉄砲で そのたぬきを 狙い 1223という掛け声ととに2人一緒に 引き金を引きまし たズドーン と大きな音がし てたぬきはバタリと倒れまし た2人は時を映さず駆けつけてみますと これはまたどう でしょう大きな石が玉に当たって2つに 割れて転がっているの です2人はバカバカしいやら悔しいやらで 自だだを踏んで怒りまし たきっとたぬきにばかされたに違いないと そう思いまし たそして是非ともたぬきを退治してやろう と相談しまし た 翌日2人は八幡様の小さな森に出かけて たぬきの巣をくなく探しまし たしかしどこにもそれらしいのは見当たり ませんでし たけれども万理はまた出てくるかもしれ ないと思って月が出るのを待って再び行っ てみまし た月は前の番と同じように綺麗に輝いてい まし た昼間のように遠くまで見渡せまし た2人は八幡様の前へ行って 霊の無垢の木を見上げまし たするとたぬきはいませんでしたが たくさんのむりがその枝に止まっていまし たあいつでも打って やれと2人は言いまし たそして 2人一緒に鉄砲の狙いをつけて打ち放し まし た庭のむがヒラヒラと落ちてきまし た2人はそれを拾い上げまし たそれからまた見上げると他のむは逃げも しないで ちゃんと元の枝に止まっているではあり ません かバだから目が見えないのか なと白しが言いまし たきっと眠っているん だろうとゴロはが言いまし た それから2人はむを片っ端から打ち落とし まし た二重はあまりもいたむりをすっかり打っ

てしまいまし たそれを2人で分けて喜んで帰って行き まし た ジシは勢いよく家に飛び込んでたぬきはい なかったがこんなものを取ってき たと言いながらむりを畳の上に放り出し まし たその顔を女さんはじっと見ていました が思わずぷっと吹き出してしまいました 何を笑うんだ いとジシは尋ねまし ただっておかしいじゃありません かむくどりだなんて言っ て見るとむりだと思ったのはみんな無垢の 派だったの ですそこへコロハがやってきまし たぷんぷん怒っていまし たゴロはの方でもむくどりだと思ったのは 家へ帰ると無垢の派だったの ですどこまでも 人を馬鹿にし てると2人は怒鳴りまし たこうなるとなおさら放ってはおけませ ん2人は欲張も8万様の森江でかけまし たそしてむの木を見上げる とまたたくさんのむくどりが止まってい ます小をかしげて2人の方を見下ろし ながら羽ばたきまでしてい ます2人は半ばやけになってそのむりを 打ち始めまし たところが今度はどうしてもたまが当たり ませ んむくどりはぴょいと身をかわして玉を みんなそらしてしまい ます2人は何十発となく打ちましたが1話 も打ち落とすことができませんでし たしまには力が抜けて砲を杖にして佇み まし たそしてよくよく見ると今までむくどりが 止まっていると思った枝には散りのった わずかな無垢の歯が明るい月の光を受けて あけるようにキラキラ光っていまし た 2人はまたばかされたのでし たこんな風ではいつまでもたぬきに 打ち勝つことはできませ んもうご引居に相談する他はないと2人は 考えまし たご居というのは村1番の学者で何でも 知っている老人でしたがみんなが大変尊敬 し てご引きご委 きと呼んでいるのでし たジシとゴはは翌日早くその家へ行きまし

たそそして前からのことをすっかり話した 後なんとかそのたぬきをやっつける方法は あるまいかと尋ねまし たご委居は2人の話をニコニコして聞いて いましたがやがてこう言いまし たそれはなかなか 白いたぬきだ な面白いどころではありませ んと2人は言いまし た着に触ってたまらないん ですじゃあ1つわしがそれをいけ取って あげようその 代わり本当に生けることができたら手荒な ことをしないで万事わしに任せてくれるか ね2人は承知しまし たその晩月が出るのを待って3人は8万様 へ出かけました ジシとゴはとは縄を持ち老人は南天の木の 枝を杖についていまし たむの木のところへ行って見上げるとむも 何も止まっておらずただわずかな歯が寂し そうについているきりでし た ちくし今晩は出ないのか なまあ待っていなさい今に面白いことに なる からと老人は言いまし たやがて老人はじっと向の木を見上げ ながら大きな声で言いまし たそれこの葉が小鳥になっ たするとその言葉通りに向の葉がみんな むくどりになってしまいまし た老人はしばらくしてまた言いました それたぬきが姿を表し たするとその通りに向の枝に登っている たぬきの姿が見えてきまし た老人はまた言いまし たそれたぬきがお腹を叩き出し たたぬきは月に向かってお腹を叩き出し まし たジシとゴロはは今度はご陰居にばかされ てるような気持ちになってお腹を叩いて いるたぬきとニコニコ笑っている老人と 変るがる見比べていまし た老人はその2人の耳にこんなことを囁き まし たたぬきは何でも人の言う通りになると 聞いていたがなるほど 本当だ なお前さんたちは安子に向こうの言う通り になるからばかされるの だまあ見てい なさい今にたぬきが死んだふりをして落ち てくる からそうしたら縄で縛り上げるが

良いしばらくして老人は南天の杖を 振り上げて非常に大きな声で叫びまし たそれたぬきが死んでおっこち たすると今までお腹を叩いていたたぬきは にわかに死んだ真似をしてむの木から落ち てきまし た父とゴロははすぐに駆け寄って縄で 縛り上げてしまいまし たたぬきは老人の前に引かれて頭を ぴょこぴょこ下げまし た老人は言いまし たお前は人間をばかして不都合なやつだ だが今度だけは助けてやっても いいまあなんでこの2人をばかしたかその 訳を言って ごらんそのままでは人間の言葉が喋れない だろうから人間に化けて言うが いい老人はたぬきの縄を解いてやりまし たたぬきは1つお辞儀をしてとんぼ帰りを したかと思うと立派なおばあさんの姿に なってしまいまし たそして申しまし たどうも悪うございまし たけれども元はこの人たちが行けないの です私が月に浮かれてお腹を叩いて鳴らし ているといきなり鉄砲で打とうとしました からついバカ好きになりまし たでもあまりしつこくばかしたのはすみ ませ んどうか助けてくださいます お前がそう言うならこの2人と仲直りをさ せてやっても いいけれどもそれには何かいいことをし なければなら ない3日の間猶予を上げるからそのうちに 良いことして私の家へ来 なさいそしたらこの2人と仲直りをさせて あげようもし約束を破れば村中のもので たぬきがりをするからよく覚えておき なさいたぬきのおばあさんは大変ありがた がって熱くお礼を言い ながら3日のうちに良いことをしてくると 約束して森の中に入ってしまいまし た老人はまだ夢のような心地でいるジシと ゴロはとを促して村へ帰って行きまし た その翌日から不思議なことが8万様に 起こりまし た今まで荒れはてていた神社の中が綺麗に 掃除されまし た屋根はくわれ柱や床は水で吹かれ色々な 道具は磨き上げられていまし た神社の周りの森も草が抜かれカレー田が 折られ立派な道までできて公園のように なりまし

た朝と晩には神社の前に供え物が置かれ まし たしかも誰がそれをしたのかさらに分かり ませんでし た村の人たちは非常に不思議がりまし たただ村のご委居ばかりがニコニコ笑い ながらその話を聞いていまし た3日目の 夕方1人の立派なおばあさんが五陰居の家 を尋ねてきまし たコイ居はそのおばあさんを座敷へ通して 大変喜びながら言いまし たあなたはたぬきさんです ね約束を守って本当に良いことをして くださいまし た村の神社が綺麗なのは何よりも気持ちの いいもの ですこれから長く村の人たちと親しくして ください老人はすぐに村中のものを集め まし たそして たぬきのおばあさんをみんなに紹介して 一部四十のことを 話し8万様を綺麗にしたのもこの人だと 言って聞かせまし た村の人たちは初めはびっくりし次には 大喜びをしてやがて打ち解けてしまいまし た それからは八幡様が村人の遊び場所となり 昼間みんなが田んぼに出ますとその間たが 子供たちの面倒を見てくれまし たもしたぬきを襲うような獣が来ますと ジシとゴロはとが鉄砲で打ち取りまし た毎年1回秋の月のいい晩に村中の人が 8万様に集まりまして坂森を開きまし たそれをたぬきのお祭りと言いまし た男も女も子供も大勢の子だきや孫だきと 一緒に踊りしぎまし たコイ居がいろんな歌を歌いますとそれに 合わせて大きなたぬきがお腹を叩きならし まし たポンポコポン ポコポコ ポコポンポンポコポンポコポコポコ [音楽] ポンお しまい 父親と自転 車よぼは父親に自転車を買ってくれるよう にと頼みまし たそんなものに乗らなくたっていくらでも 遊べるじゃない か他の子供を怪我させてみ 大変だ ぞもう少し大きくなってから買って

やると父親は頭を振りまし たきよちゃんも特ちゃんもみんな自転車を 持っているのに僕だけ持っていないんだ ものつまんない なとよぼはいくら頼んでも無駄なことを 悟るとため息をつきまし たそのく父親は金があればすぐに酒を飲ん でしまうことを知っていたの です吉坊は外へ出ると友達が自転車に乗っ て床そうに走っているのを羨ましそうに 眺めていまし た あんなに風を切って走ったらどんなに 面白い だろうときよちゃんが頭の髪をなびかせて 走っているのを見て思いまし たよぼは両手を頭の上に乗せてきよちゃん がちらへ行けばその方を見送りこちらへ くればまた目を離さずに迎え ましきよちゃんはよぼがこちらを見ている ことを知っていまし たしかも今日学校の帰りに東府屋の息子の 長子に自分がいじめられているのを吉坊が 助けてくれたことを決して忘れませんでし た 今がぼんやり立ってさも乗りたそうに自分 が走るのを見ていることに気がつくと自転 車を止め てよっちゃん僕の後ろに一緒にお乗り よと言いまし たよぼはきよちゃんがそう言ってくれたの でどんなにありがたかった でしょういいのきよちゃん僕を後ろに乗せ て くれるとよぼはきよちゃんの言ったことを 疑いでもするように念を押してそれから その後ろに乗せてもらいまし たよぼはきよちゃんの肩に捕まりまし たきよちゃんはハンドルを握っていました 2人は今まで行かなかったような遠方まで 一息に走って行くことができまし たきよちゃんこんな遠いところまで何度も 来たことがある の来たことないよ今日はよっちゃんが一緒 だからここまで来たんだ よときよちゃんは言いまし たきよちゃんにとってもよぼの存在が 心強かったの ですそして滅多に通らない道を回り回って また懐かしい自分の家の前まで帰ってくる となんだか大変に遠い旅行でもしてきた ように愉快がしたの です ありがとうとよぼはお礼を言いまし たよっちゃんも今度お父さんに自転車を

買ってもらいな よときよちゃんが言いまし たよぼはただ黙ってかそうな顔つきをして いまし たそうしたらとくちゃんと3人で走りっこ しようときよちゃんはよぼの心なんか わからず朗らかでありまし たよぼは学校で走りっこすると選手にも そんなに負けないので知ることにかけては 自信を持っていまし た自転車さえなければいいんだけど なとよぼは考えていまし たけれど家に帰るとやはりきよちゃんや とくちゃんたちが自転車に乗って遊んでい まし たきよちゃん自転車の走りっこしよう かととくちゃんが言いまし た2人は同じような型の赤い自転車に乗っ ていまし た ああ通りのあっちの曲がり角まで走りっこ しようときよちゃんが答えまし た そばにいたよぼは1人取り残されるのが 悲しくなっ て僕は足が早いんだ よだから僕も一緒に走りっこ しようと言いまし たそして2人が自転車で走る後からよぼは 真っ赤な顔をして自転車を追いかけたので あり ますちょうどこの有り様を外から戻ってき た吉坊の父親が見たのでし た彼はこのいじらしい様子が腹立たしくも ありまし たそして睨みつけたの です しかし夢中で走っているよぼには分から ないのでし た ああ俺が悪かっ たと父親は心のうちで泣いたの です自転車の後を追いかける なんて23日したら自転車を買ってやるぞ とその夜父親は吉坊の頭を撫でながら言い まし たしばらく酒を立った父親はどこからか 子供の乗る古い自転車を探してきたので ありまし た お しまい綺麗な綺麗な 街 あるとろにかわいそうな子供がおりまし た金子さんと言って生まれた時からよく目

が見えなかったのでお母さんは体操不便に 思っていらっしゃいまし たあちらにいい目のお医者様がいるといえ ばそこへ連れて行き またどこそこにいい目のお医者様がいると 聞けばそこへ連れて行きまし たけれどどのお医者様もはっきり治ると 受け合いた人はなかったの です お母さん私は目が見えなくても次郎さんが 遊に来てくださるからちっとも悲しくは ありませ んと金子さんは言いまし た本当に次郎さんは優しいいいお子さん です ねあんなに親切なお子さんはおりません よとお母さんもお喜びになりまし た毎日次郎さんは遊びに来てくれまし た金子さん僕面白いご本を持ってきたんだ よ今読んであげるから聞いていて ごらんそう言って次郎さんは浦島太郎のお 話を読んで聞かせまし た金子さん 面白い面白い わ太郎は助けた亀を逃してやったの でしょうそうすると亀がお礼にやってきた んだ よどうか私の背中に乗って ください竜宮にお連れ申し ますと言ったの さと言って次郎さんは5本の綺麗な絵を 眺めていまし たわあ綺麗だ な青や赤で塗ったもんがあってリグって こんな綺麗なところなのかか なと次郎さんは関心していまし たけれど金子さんにはその絵が分かりませ んでし た次郎さんどんな綺麗な絵が書いてある のと涙軍で聞きまし た 次郎さんは金子さんが目の見えないのに気 がつく とあ悪かった ね羨ましがらせるようなことを言わなけれ ばよかっ たと後悔をしまし たそしてどうしたら金子さんの目が良く なるだろうと思いました ねえ金子さん泣くのはお よし僕が悪かった許して おくれいいえ次郎さんが悪いのではござい ませ ん私の目は治らないってお母さんが おっしゃったので悲しいのよ

僕どうかして見えるようにしてあげるから ねと次郎さんが言いまし た浦島太郎は亀を助けたために竜宮へ行っ てお姫様に出会ったのだから僕もこれから 生き物を大切にしようと次郎さんは思い まし たあっちから来たのはゆうちゃんらしい な次郎さんは通りに立ち止まって見てい まし たやはりゆうちゃんでし た虫取り網を持ち 片手にトンボのかをぶら下げていまし たゆうちゃんトンボが取れたと次郎さんは 聞きまし た麦笑トンボが2匹とヤンマを取った よとゆうちゃんは得意になって答えました ヤンマを取った の次郎さんは羨ましそうにかの中を覗くと 大きなヤンマがいまし たどこでヤンマを取った のあっちの梅の木に止まっていたんだ よ 黒い目のくるくるした黄色い筋のあるいい ヤンマでし た次郎さんは懐から浦島太郎のご本を出し てゆうちゃんはこんな絵本を見たことが あると聞きまし たゆうちゃんは綺麗な本だと思いまし た見たことがない面白いか いこれは面白いよ見せてあげるからゆう ちゃんトボみんな逃がしておやり よと次郎さんが言いまし たゆうちゃんはびっくりし て嫌だ僕せっかく取ったんだ ものと目を見張りまし た次郎さんはどうしたらトボを助けること ができるだろうかと考えまし た君は浦島太郎が竜宮へ行った話を知っ てる知っている よだけどあれは話 だろう嘘のことは本に書いてあるわけない よこれは浦島太郎の絵本だ よこれとトボと取りかこしよ よと次郎さんが頼みまし たこの大きなヤンマは惜しい なゆうちゃんはヤンマを眺めまし たゆうちゃんいい だろじゃあ取りかっこして あげよう2人は絵本とトボと取り替えこし まし た次郎さんはトボを持って原っぱの方へ 走っていきまし たさあみんな逃げて けもう決して子供たちに捕まるな よと浦島太郎が亀を逃した時のように言い

まし た次郎さんは金子さんに術玉を取って あげようと思って原っぱへ3輪者に乗って やってくるとやはり3輪者に乗った子が 1人で遊んで言いまし た君はどこの子だ いと次郎さんが聞きまし た僕の町はこっちだ よそして僕の名はとんぼ僧というのだ よとその子は言いまし た 面白い名前だ ね君と僕と三輪者の競争をしよう よととんぼ像が言いまし た僕は手玉を取ろうと思ってここへ来たん だ よと次郎さんは答えました するととんぼ僧 は手玉は女の子が持つものだ ぜと言って笑いまし たそうさ僕は金子さんという目の悪い かわいそうな女の子のために取りに来たん だよ と次郎さんが言う と目が悪いのそんならいいお薬がある よととんぼ僧が言いまし たあるのどこ に僕の町に一緒にお いでよととんぼ小僧が先になって走りまし た次郎さんはその町がどこかと思って続い て走りまし た赤い夕焼の空を見ながら2人が行くと 綺麗な綺麗な町に来まし たたくさん超人がついていて賑やかでし たお祭りがある のと次郎さんが聞きまし たおはぐトボのお姉さんがお嫁に行くんだ よととんぼ小蔵が言いまし たここはトボの街な のと次郎さんは驚きまし たトボの町だ よめったに人の来られぬところ さ君はいい子だから僕が連れてきたんだ よととんぼ僧が言いまし たどこに薬がある の あそこととんぼ像が指をさしまし た行ってみると紫色の瓶が並んでいまし たよく聞くかいと次郎さんが聞く とととんぼの目をご覧よみんないい目をし ている だろうととんぼ小僧が答えまし たどうぞこの街を忘れませんよう にと次郎さんは行くたびも神様に願いまし た

そうして帰りには親切なとんぼ像に原っぱ まで送ってもらいまし たお しまい 風風が山の方から吹いてきまし た学校の先生がお通りになると町で遊んで いた生徒たちがみんなお辞儀をするように 風が通ると林に立っている若い小も野の草 もみんな辞儀をするのでし た風は町の方へも吹いてきまし たそれは体操面白そうでし た教会の十字島を吹いたり煙突の口で鳴っ たり街の角を回る時トンボ帰りをしたり する様子はとても面白そう でちょうど子供たち が鬼ごっこするもんよっとい でと言うよう にダンスをするもんよっとい でと言いながら風の遊び仲間を集めるの でし た風が面白そうな歌を歌いながらダンスを して踊りまるので物干台のエプロンや子供 の着物もダンスを始め ますすると小葉も枝の橋で踊り 出す 町に落ちていたタバコの吸殻も紙屑も空に 舞い上がって踊るのでし たその時町を歩いていた高太郎という子供 の帽子が浮かれ出していつの間にか孝太郎 の頭から飛び降りてダンスをしながら街を 駆け出しまし たその帽子には長いリボンがついていた から遠くから見るとまるで鳥のように飛ぶ のでし た孝太郎は驚い て 止まれと言いましたが帽子は聞こえない ふりをして風とふざけながらどんどん 大通りの方まで飛んでいき ます一生懸命に孝太郎は 追いかけやっとのことで追いついて帽子の リボンを抑えようとするとまたどっと風が 吹いてきたの で今度はまるで輪のようにくるくると回り ながら駆け出しました 坊っちゃんなかなか捕まりません よ帽子がかけながら言うの ですすると今度は大通りから脇道の方へ風 が吹き回したの で高太郎の帽子も風と一緒に脇道へ曲がっ てしまいまし たそしてそこにあったビールタルの影隠れ まし た孝太郎は大急ぎで脇道の角まで来ました が帽子は見つかりませ

ん僕の帽子が ない孝太郎はもう泣きだしそうになって 言いまし た帽子を連れていった風も孝太郎を気の毒 に思っ て坊っちゃん私が見つけてあげ ましょうそう言ってビールタルの影の帽子 の尻尾をヒラヒラと吹いて見せまし た 孝太郎はすぐ帽子のあるところを見つけ まし たよかっ たこ太郎は帽子の尻尾を掴んで叫びまし た風合いもう取られない ぞ孝太郎は帽子の唾を両手でしっかり握っ て言いまし た ほうほう風はそう言いながら飛んでいき まし たエプロンも小葉も紙くずもまたダンスを していた けれど高太郎の帽子はもうダンスをしませ んでし た お しまい里の春山の 春野原にはもう春が来ていまし た桜が咲小鳥は泣いておりまし たけれども山にはまだ春は来ていません でし た山のいきには雪も白く残っていまし た山の奥には親子の鹿が住んでいまし た坊野の鹿は生まれてまだ1年にならない のでハトはどんなものか知りませんでし たお父ちゃん春ってどんな もの 春には花が咲くの さお母ちゃん 花ってどんな もの花ってね綺麗なもの よ [音楽] ふーんけれど坊野の鹿は花を見たことも ないので花とはどんなもの ハとはどんなものだかよくわかりません でし たある日坊野の鹿は1人で山の中を遊んで 歩き回りまし たすると遠くの方から ボーンと柔らかな音が聞こえてきました 何の音 だろうすると また [音楽] ボーン坊野の鹿はピンと耳を立てて聞いて

いまし たやがてその音に誘われてどんどん山を 降りて行きまし た山の下には野原が広がっていまし た野原には桜の花が咲いていて良い香りが していまし た1本の桜の木の根元に優しいおじいさん がいまし た小鹿を見るとおじいさんは桜を人へだっ てその小さいに結びつけてやりまし た さあかざしをあげたから日の暮れないうち に山へお 帰り小は喜んで山に帰りまし た坊やの鹿から話を聞くとお父さんじと お母さんじは口を揃え てボーンという音はお寺の金だ よお前の角についているのが花だ よその花がいっぱい咲いていて気持ちの 良い匂いのしていたところが春だったの さと教えてやりまし た それからしばらくすると山の奥へも春が やってきていろんな花が咲き始めまし たお しまい おもちゃの機関 車お庭のこの葉が赤やすみれに染まったか と思っていたら1枚じり2枚落ちていって お庭の木はみんな裸になった子供のように 寒そうに手を広げてつったっていまし た綴れさせさせはさむなる にあの歌ももう聞かれなくなりまし た北の山の方から吹いてくる風が子供部屋 の小さい窓ガラスをカタカタ言わせたり畑 のトウモロコシのカハをざわざわゆすっ たり身だけが真っ黒くなって竹垣に 寄りかかって立っているひまわり草を びっくりさせ て垣根の竹の頭でピューピューと笛を 鳴らしたりしまし た もう冬が来る ぞい花子のおばあさんはそう言ってまたの 入った袖なしを膝の上に重ねて背中を丸く しまし たおばあさん冬はどこから来る の花子が訪れまし た 冬は北の方の山から来るわ ねガンが先触れをして黒い車に乗ってくる とい の そうおばあさん冬はなぜ寒い の冬は北風に乗って銀のを投げて通るから

の そうおばあさんは冬がお 好きされば の好きでもないし嫌いでもないわ のただ寒いのは困る のそう 花子は南の方の海に近い町に住んでいまし たから冬になると北の方の山国から住や薪 を取り寄せて火鉢に火を入れたりストーブ を炊かねばならぬことを知っていまし たおばあさんのために冬の用意をせねば ならぬと花子は考えまし たそこで花子は薪と炭のとこへ当てて手紙 を書きまし た北山新た様 へ今年もまた冬が近くなりまし たおばあさんが寒がります どうぞ早く来てください ね 花子北山新たは花子の手紙を受け取りまし たそうだそうだもう冬だ なはぐさんに雪が降りたからな 花子さんのとろへそろそろ行かねばなる まい北山新たはそう言っ て山の炭焼き小屋の前で背伸びをしまし たどれちょっくら行って機関者の都合を 聞いてこよう か北山たは停車場へ出かけまし たそこには素晴らしく大きな機関車が黙々 と黒い煙を吐いているのを見かけまし た機関車 さん1つおらを乗っけて花子さんの町まで 行ってくれない か北山したがそう言いまし たいけねえいけねえ今日はおめえ知事様を 乗っけて東京さえ行くだ よそんな汚ねえ炭なんか乗っけたらバチが 当たる よ機関者はそう言って景気よくブツブツと 出ていってしまいまし たするとそこに10くらいの大きさの機関 車が1つおりまし た北山新たはそばへ寄っていっ て こんにちは君1つ花子さんの町まで行って もらえないか ね花子さんはおいらを毎日待って いらっしゃるん だと言います と今まで昼寝をしていた機関者は目を 覚まして真面目そうに言うのでし たどうせ遊んでいるんだから言ってやって もいいが何かい連中は大勢か い そうさ

ね炭が 450kmに薪がひったば だそいつはいけねえそんな重いものを 引っ張っていったら足も手も折れてしまう わせっかくだがお断りする よそんなことを言わないで言って れよ花子さんが待っているんだ からうるせえ な昼寝をしている方がよっぽど楽だから なそう言ってぐーぐー眠ってしまいまし たその時北山新たの前へ小さい小さい おもちゃの機関車が出てきまし たした さんさっきからお話を聞いていると気の毒 です ね僕が1つやってみましょう かそう呼びかけられて見るととても小さい 機関車です 実際困っているんだが言ってくれます かだけど見かけたところ君は随分小さい ねこれだけのものを引っ張って行けるか ね僕も分からない けどなに一生懸命やってみせるよ じゃあ1つやってもらおう か俺たちもせいぜい軽く乗っかるから ねおもちゃの機関車は450kmの炭と 百束の巻きとを引っ張って停車場を出発し まし た 停車場の近所の平地を走る時は楽でしたが 国境の山へかかると道は急になって おもちゃの機関車は汗をだらだら流して うんうん言ってい ますなんださかこんな坂なんだ坂こんな 坂 元気の良い掛け声ばかりで機関車は なかなか進めないの ですおもちゃの機関車はもう一生懸命 ですどうかして早く花子さんのとこへ炭と 巻を送りたいという一心 ですななんださかこんな さか機関者さん気の毒だね重たく てなにもう少しです よなんだ さかこんな さかそれでもやっとこさ峠の上まで小さな 機関車がたくさんの炭と巻を引き上げまし たやれやれ骨が折れました ねこれからは楽ですよ下り坂ですから ね今度はもうまるでラクラクと走って行き まし た そしてすぐに花子さんのとへ着きまし たさあ花子さん来ました よ早く来られたわ

ねそこで花子さんもおばあさんも冬の用意 ができました お しまいそうな粉引きの若いものと 子猫ある水車小屋に粉引きのおじいさんが 住んでいまし たおじいさんのとこには女将さんもおらず 子供もなく若いものが3人使えているだけ でし たこの3人がここに何年かいてからのこと ある日おじいさんが若いもの に私も年を取ってなストーブの後ろへ座り たくなった よお前たち旅に出 なさいそれでなその土産に一番いい馬を 持ってきたものに この粉引き所を あげようその代わりこの小屋をもらった ものは私を死ぬまで養うのだ ぞと言いまし たところがこの若いもののうちで3番目の ものは下っぱの雑用がかりで名前はハンス と言います 後の2人からは分から扱いにされていて これにこな引き小屋をせしめられるのは 2人とも関心しませ ん最もこの男の方でも別に小屋を欲しいと も思っていないの ですとにかく3人揃って旅に出たものです が村を出ると兄弟子2人はわからのハンス にお前はここにいる方がいい だろうお前なんざ一生かかったってダバ1 つ手に入りゃしない よと言いまし たそう言われてもハンスはくっついていき まし た 夜になって3人はほら穴にたどり着いたの でその中へ入ってごねをしまし た知恵のある2人はハンスがぐっすりと 眠るのを待って自分たちだけ上へ上がると ハンスを追いてき彫りにしてどこかへ行っ てしまいまし た これで2人はうまくしてやったと思ったの ですがだめだめそううまくいくものでは ありませ んお日様が登って目を覚ましてみると ハンスはどこかの深いほら穴の中に転がっ ていまし たハンスはそこら中キョロキョロを見回し てこりゃ弱ったどこにいるん だと大きな声を出しまし たそれから起き上がると手足をちょこまか 動かしながらほら穴を吐いやがって森へ

入って考えまし た俺と来たらこんなとこで本当の 独りぼっち 誰も相手にされやしないどうしたら馬が手 に入るの やらこう考え込んでとぼとぼ歩いている ところへ出会ったのは小さなミケ猫 ですミケ猫はいかにも対等な態度 でハンスさんどこへ行く のと声をまし たなん だ話したってお前さんにゃどうもできやし ない やおじさんのお望みがどんなことかぐらい ちゃんと分かってます よと子猫が言いまし たおじさんはいい馬がい欲しいのね私に つい てらっしゃいそうして私の召使いになって 7年だけどんな時でも働き なさいそうしたら馬を1等あげること よおじさんが生まれてから1度も見たこと ないような立派なの ね はて奇妙な猫だ ぞとハンスは考えまし ただが1つ試してみるか なこいつの言うことが本当だかどうだか ね相談がまとまって猫はハンスを魔法の かかっている自分の小さなお城へ連れて 行きまし たここにいるのは猫ばかりでそれがみんな ミケ猫のごケなの です猫どは階段を身軽に飛び上がったり 飛び降りたりそれはそれは容気でいい機嫌 でし た 日が暮れてみんなが食卓に着くと3匹だけ は音楽をやらされまし た1匹はチェロを引き1匹はバイオリンを 引き3匹目のはラッパを口に当てがって 一生懸命にほっぺたを膨らませまし たご飯がおしまいになると食卓が片付け られまし たニね はさあおいでハンス私の踊り相手におなり よというの です嫌だとハンスが返事をしまし たにゃーにゃーのお嬢ちゃんと踊るのは ごめんだそんそんなことまだやったことが ないそんならこの人を寝床へ連れとい でと美猫が子猫どに言いつけまし たそうすると1匹が明りを持ってハンスを 寝床に連れて 行く1匹が靴を脱が

せる1匹が靴下を脱がせる そして1番おしまいに1匹が明りを 吹き消しまし た明る朝になるとまた子猫どがやってきて ハンスが寝床から出るのを手伝いまし た1匹はハンスに靴下を履か せる1匹は靴下止めを結んで やる1匹は靴を持って くる1匹が顔を洗ってやれば1匹は濡れて いる顔を自分の尻尾で拭いてやりまし たこりゃ本当に肌触りがいい ぞとハンスは言ったものです こんなにしてもらいましたが自分はまた ミケ猫に使えて毎日巻を割らなければなり ませんでし たこの仕事をするのにハンスは銀の斧を 受け取りまし た銀の楔と銀ののこぎりを受け取りまし たそれから土はどうでし たハンスは薪をこなしたり家の中にいれば 美味しいものを食べたり美味しいものを 飲んだりしているのですが顔を合わせる ものはミケ猫とミケの召使いばかり ですある時ミケはハンス に外へ出て私の牧場を勝ってね刈り取った 草を干して おくれと言って銀の大きな草がと金の吐を 1つ渡してこれは残らずちゃんと返して おくのだよと言いつけまし たハンスは外へ出て言いつけられた通りの ことをしまし た仕事を終えてしまうとハンスはカとと石 と星草をうへ持ち帰ってまだお礼をもらう わけにはいかないかと聞いてみまし ただめと猫が言いまし たその前にもう1つやってもらうことが ある のあそこに銀の木材があり ますそれから斧でも針金でも必要なものは 何でもみんな銀で揃っているからあれで まず小さな家を1件立てて おくれ ハンスはせっせと小さい家を1軒立てまし たそしてすることはもうみんなしてしまっ たのに馬だけはまだもらえずにいるがと 言いまし たこの時はちょうど7年経っていたのです がそれが半年ぐらいにしか思われません でし た私の馬が見たいのと猫が尋ねまし た見たいよとハンスが言いまし たするとミケは小さな家を開けまし た戸を開けると馬が12とずらりと並んで い ますもう驚いたのなんの頭を高くあげて

いる様子のその立派な ことケはまるで鏡のようにピカピカしてい てその美しさにハンスの心は陰ながら ニコニコ顔 です猫はハンスに飲み食いをさせて からうちへお 帰り馬は今連れて行かないで3日経ったら 私が自分でお前のとこへ届けてあげる よと言いまし たこんなわけでハンスは旅立ちまし たミケは粉引き小屋へ帰る道を教えてやり ましたが新しい着物をこえてやらず初め から来ていた古いボロボロの上着1枚で 通したのでこれも7年が経つうちにあっち もこっちもツンツルテンになっていまし たハンスがへ帰った時には後の2人の若い ものも戻っていまし た2人とも馬を連れてきたには来たのです が1人のは目が見えなくてもう1人のは足 を引きずっていまし た2人はハンスお前の馬はどこに いると尋ねまし た3日経つと後からやってくるん だこれを聞くと2人とも笑い出しまし たどうだいハンスはハンスだ なお前馬をどこから連れてくるつもりだい さぞ立派なやつなんだろうな ハンスはお部屋へ入りまし たすると粉引きの親方 がお前は食卓についてはいけない着物が ボロボロだから な誰か人が来でもしたら飛んだ恥を書か なくちゃなら ないと言いました それでハンスの食べるものはちっとばかり 外へ出してやりまし たそれからバになって寝に行きましたら後 の2人はなんと言ってもハンスに寝床を やらないのでハンスは仕方なしにとうとう 長の部屋へ潜り込んでほんの少しばかり ある硬いわの上に転がりまし た朝になって目が覚めたらもう3日という 日が経っていて六等立ちの馬車がやってき まし たその馬の輝くケやこれこそ本当に見物 する打がある見事見事というわけ ですそれにごケが1人別に7投目の馬を 引いていまし たこれはこのかわいそうな粉引きの若い ものがもらう馬なの です馬車からはきらびやかな王女が降りた で粉引き小屋へ入りまし たこの王女というのは霊の小さいミ猫で ハンスはこの王女に7年の間使われていた の

です王女は粉引きに粉引きの下働きだと いう若いものはどこにいます かと尋ねまし 親方はあれはこの小屋へ入れるわけにはき ませんでし た何分おぼろでございましてガチ小屋に 寝そべっており ますと言いまし たすると王女は今すぐにそのものを連れて きてもらいたいと言いまし たそれでみんなしてハンスを連れ出してき ましたが当人はちちくりな上着の前を書き あわせて裸身を隠しまし たそれを見てかりのごけは積んでいた箱の 止金を外して立派な着物を 取り出し無理やりハンスに体を表せてそれ を着せまし たそしてこうして支度がすっかり 出来上がってみるとその美しい ことどこの王様もかうまいと思われるほど でし たそれから王女は他の粉引きの若いもの がつ出てきた馬を見せてもらい たいと言いまし たそこへ出てきたのは一等は目が見えなく て一等は足を引きずっていまし た王女はご嫌に言いつけて7頭目の馬を 連れてこさせまし たこはこれを見てこんな素晴らしい馬は これまでここへ来たことがないと言いまし たこれが3番目の若い週にあげる馬なのだ よと王女が言いまし たではあれがこの小屋の持ち主になるので ございます とこな引きが言いまし た王女は約束の馬はここにいる水車小屋も そのままおじさんのものにしておくが 良いと言い捨てて自分はどんな時でも働い てくれたハンスを馬車に乗せ共に行って しまいました 2人は真っ先にハンスが銀の道具を使って 建てた小さな家の方へ馬車を走らせまし た行ってみるとその家は大きなお城で中に あるものは何もかも銀と金ばかり です ここで王女はハンスとご婚礼をしまし たハンスはお金持ちになりまし た生涯困ることのないくらいのお金持ち でし たそれですからねわからずはろなものにな れっこない なんて決してそんなことを言うもではあり ません よお しまい

朝の 公園それは寒い寒い朝のことでし たお手伝いさんのお春は赤いマントを着た 小さいお嬢さんを連れて近くの公園へ遊び にきまし た そこはもう朝日が温かく照っていたから です公園にはブランコがあり滑り台もあり まし たもう子供たちが集まって笑ったりかけ たりしていまし た小さなお嬢さんは1人で遊んでいまし たお春はベンチに腰をかけて持ってきた 少女雑誌を読んでいまし た田舎にいる時から本を読むのが好きで ありましたのでこちらへ来てからも毎月の お小遣いの中から雑誌を買ってお仕事の 終わった後や暇の時には取り出して読むの を楽しみにしていたのであり ます今お春はその雑誌に乗っている少女 小説を夢中になって読んでいまし た哀れな家があって関心な少女が病の母親 と弟を助けて働く話が書いてありまし たしばらく雑誌に目を落として考え込んで いると不に泣き叫ぶお嬢さんの声が聞こえ まし たお春ははっとして立ち上がりまし た見るととお嬢さんは滑り台から落ちたの か泣いているの ですまあどうなさったのですかと驚いて 飛んでいきまし たがお春が飛んでいくよりも先に みすぼらしい反転を着た男が駆け寄ってお 嬢さんを抱きよこしてくれたのでし たいい子いい 子と言ってその男はなめていまし たありがとうございまし たとお春はお礼を言ってお嬢さん転んだの ですかどこかいたくって と聞きますとちょっと驚いただけのようで 別に怪我はなかった様子 ですお春は安心しまし たそしてさっきの男の人を見ると向こうの ベンチに戻って夕べからこうしてじっとし ているらしく 両腕を組んで俯いているのでし たきっと止まるところがなかったんだ わお春はこの頃宿がなくて公園でよ明かす 哀れな人がいることを聞いていまし たそれでその人もそうであろうと思ったの ですお春はお嬢さんを抱いて向こう側の ベンチに腰を下ろしまし たそして思い出したように時々その哀れな 男の様子を見ていまし た男はそんそんなことに気がつくはずも

なくいつまでもじっとしてうれていまし た仕事がないのだろうかそれとも年を取っ ていて仕事ができないのだろう か色々なことを考えながら見守っている うちにいつか自分の父親のの姿が目に 浮かんできまし た気のせいかあの男の姿のどこかに お父さんと似たところがあるよう です兄弟もない子供もない独り者なの かしらそう考えているうちにお春は故郷で 働く両親の姿がまざまざと目に見えるよう な気がし てそのうち何かお父さんやお母さんの好き そうなものを送ってあげようと思ったの でし たさあお家へ帰り ましょうそしてまた後で遊びに参り ましょうと言ってお春はお嬢さの手を引い てお家へ帰りかけまし た公園の花壇は下がれがしてい て今は赤く咲いている花もありませんでし たけれど黒い柔らかな土からは来年作草花 の目がもうプツプツと緑色に頭を見せてい たの です公園を出る時お春はもう一度振り向い てあの不老者のような男を見まし た男はやはり動かない置き物のように下を 向いてじっとしていまし たちょうどその日の昼頃のこと ですお春がお使いに出ると公園のそばで 子供たち が今不老者らしい男が倒れていたのお周り さんがが連れていったと話していたので お春はもしやさっきのお嬢さんを抱き よこしてくれた親切な男ではないかと思っ たの であなたその人を見た のと子供の1人に聞きまし た見たよ反をて短いズボンを履いて黒い 帽子をかぶっていた よとその子供は言いまし た まあその男は亡くなってしまっていた のお春は確かにさっきの男であると分かる と急に頭の中がいそうな気持ちでいっぱい になりまし た寒いのに何にも食べないからお腹が空い て倒れたんだってお周りさんが言っていた よだから無事だと 思うとその子供は答えまし たどこへ連れてて行かれた のさあどこだ か子供たちはすぐにそんなことは忘れて しまったようにタコをあげたり鬼ごっこを したりしていまし

たお春は用事を済ませてお家へ帰ると 自分がしまっておいたお給金の中から50 線銀貨を1枚取り出しまし たそして紙に包んで交番のお周りさんの ところへ持っていきまし たどうかこれを公園で倒れた気の毒な人に あげて くださいと言ってしまし たお周りさんは不思議そうにお春の顔を見 ていましたがお春が今朝からの話をして気 でならないからと言いますとお巡りさんも 頷き ながら関心なお心志しです確かに届けて 差し上げます どんなに喜ぶかしれません よと言って心よく引き受けてくださいまし たお しまい 大い森とザ森盗と 森小祝農場の北に黒い松の森が4つあり ます一番南が追い森で その次がザ 森次は黒坂森北のはれは盗と森 ですこの森がいつ頃どうしてできたのか どうしてこんな奇妙な名前がついたの かそれを1番初めからすっかり知っている ものは俺1人 だと黒坂森の真ん中の大きな岩がある日 いってこのお話を私に聞かせまし たずっと昔岩手さんが何べも噴火しまし たその肺でそこらはすっかりうまりました この真っ黒な大きな岩もやっぱり山から 跳ね飛ばされて今のところに落ちてきたの だそう です噴火がやっと静まると野原や丘には炎 ある草や炎ない草が南の方からだんだん 生えてとうとうそこらいっぱいになりそれ から柏や松も生えだししまいに今の4つの 森ができまし たけれども森にはまだ名前もなく各々勝手 に俺は俺だと思っているだけでし たするとある年の秋水のように冷たい通る 風が柏の枯派をさらさら 鳴らし岩手さんの銀の冠には雲の影が くっきり黒く移っている日でし た4人の毛皮を着た百姓たちがナやサンボ 具や道具や全て山と野原の武器を固く体に 縛りつけて東のかばった日内石の山を越え てのしのしとこの森に囲まれた小さな野原 にやってきまし たよく見るとみんな大きな刀もさしていた の です戦闘の100勝がそれらのうし絵の ような景色をみんなあちこち指さし てどうだいいとこ

だろう畑はすぐ起こせるし森は近いし綺麗 な水も流れて いるそれに日当たりも いいどうだ俺はもう早くからここと決めて おいたんだ と言いますと1人の100勝 はしかし土の状態はどうか なと言い ながらかがで1本のすすきを引き抜いて その根から土を手のひらに古い落として しばらく指でこねたりちょっと舐めてみ たりしてから言いました うん土もひどく良くはないがまたひどく 悪くもない なさあそれではいよいよここと決める かもう1人が懐かしそうに辺りを見回し ながら言いまし たよしそう決めよう 今まで黙って立っていた4人目の百姓が 言いまし た4人はそこで喜んで背中の荷物をどしん と下ろしてそれから来た方へ向いて高く 叫びまし た おい おいここだぞ早く来い すると向こうのすすきの中から荷物を たくさんしって顔を真っ赤にして女将さん たちが3人出てきまし た見ると5つ6つより下の子供が9人 ワイワイ言いながら走ってついてくるの でし たそこで4人の男たちは好きな方を向いて 声を揃えて叫びまし たここへ畑を起こしてもいい かいい ぞ森が一斉に答えまし たみんなはまた叫びまし たここに家を立ててもいいか よし森はいぺに答えまし たみんなはまた声を揃えて尋ねまし たここで火を炊いてもいい かいい ぞ森はいっぺんに答えまし た みんなはまた叫びまし た少し木をもらってもいい か よし森は一斉に答えまし た男たちは喜んで手を叩きさっきから顔色 を変えて真としていた女や子供らはにわか にはしゃぎ出して子供らは嬉し紛れに喧嘩 をしたり女たちはその子供をポカポカ殴っ たりしまし たその日晩型までにはもうかやをかせた

小さな丸田の小屋ができていまし た 子供たちは喜んでその周りを飛んだり跳ね たりしまし た次の日からは森はその人たちが狂った ように働いているのを見まし た男はみんなクをピカリピカリさせて野原 の草を取り除きました 女たちはまだリスやのネズミに持って行か れていないくの実を集めたり松を切って薪 を作ったりしまし たそして間もなく一面の冬が来たの ですその人たちのために森は冬の間一生 懸命北からの風を防いでやりまし たそれでも小さな子供らは寒がって赤く 晴れた小さな手を自分の喉に当て ながら 冷たい 冷たいと言ってよく泣きまし た 春になって小屋が2つになりまし たそしてそばとひえが畑に巻かれたよう でし たそばには白い花が咲きひえは黒い頬を 出しまし たその年の秋穀物がとにかく実り新しい畑 が増え小屋が3つになった 時みんなはあまりに嬉しくて大人までが 跳ねあきまし たところが土の固く凍った朝のことでし た9人の子供らの中の小さな4人がどうし たのか夜のに見えなくなっていたの ですみんなは狂ったようにその辺りを あちこち探しましたが子供らの影も見え ませんでし たそこでみんなは各々好きな方を向いて 一緒に叫びまし た誰か子供を知らないか 知ら ないと森は一斉に答えまし たそれなら探しに行く ぞとみんなはまた叫びまし た 来いと森は一斉に答えまし たそこでみんなは色々な農具を持ってまず 1番近い追いの森に行きまし た森に入りますとすぐ湿った冷たい風と 落ち葉の匂いとがすっとみんなを襲いまし たみんなはどんどん踏み込んでいきました すると森の奥の方で何かパチパチ音がし まし た急いでそっちへ行ってみますと透き通っ たバラ色の火がどんどん燃えていて狼が急 匹くるくるくるくる火の周りを踊って駆け あいているのでした

だんだん近くへ行ってみるといなくなった 子供ら4人ともその日を囲んで焼いたクや キノコなどを食べていまし た狼はみんな歌を歌って夏の周り通ろの ように火の周りを走っていまし た おい森の真ん中で火はドロドロパチパチ火 はドロドロ パチパチクはコロコロパチパチクは コロコロ パチパチみんなはそこで声を揃えて叫び まし た狼よ狼よ子供を返してくれ 狼はみんなびっくりしていっぺんに歌を やめて口を曲げてみんなの方を振り向き まし たすると火が急に消えてそこらはにわかに 青くシとなってしまったので火のそばの 子供らはわあと泣きだしました 狼はどうしたらいいか困ったというように しばらくキョロキョロしていましたが とうとうみんな一斉に森のも奥の方へ逃げ ていきまし たそこでみんなは子供らの手を引いて森を 出ようとしまし た すると森の奥の方で狼ど が悪く思わないでくれ栗だのキノコだの うんとご馳走した ぞと叫ぶのが聞こえてきまし たみんなはうちに帰ってから泡持ちを こらえてお礼においへ置いてきまし た春になりまし たそして子供が11人になりまし た馬が2匹来まし た畑には草や腐った小葉がこやしと一緒に 入りましたのでアやひえは真っ青に伸び まし たそして身もよく取れたの です秋の末のみんなの喜びよと言ったら ありませんでし たところがある霜柱の立った冷たい朝でし たみんなは今年も野原を起して畑を広げて いましたのでその朝も仕事に出ようとして 農具を探しますとどこの家にもナもサボ具 も遠くも1つもありませんでし たみんなは一生懸命そこらを探しましたが どうしても見つかりませんでした それで仕方なく各々好きな方を向いて一緒 に高く叫びまし たらの道具知らない か知らない ぞと森はいっぺんに答えまし た探しに行くぞとみんなは叫びまし た

こいと森は一斉に答えまし たみんなは今度は何も持たないでぞろぞろ 森の方へ行きまし た始めはまず1番近いおの森に行きまし た するとすぐ狼が9匹出てきてみんな真面目 な顔をして手をせわしく振っていまし たないない決して ない他を探してなかったらもういぺお いでみんなは最もだと思ってそれそれから 西の方のザ森に行きまし たそしてだんだん森の奥へ入っていきます と1本の古い柏の木の下に木の枝で編んだ 大きな猿が伏せてありまし たこいつはどうも怪しいぞざる盛にざが あるのは最もだが 中には何があるのかわからない1つ開けて みようと言いながらそれを開けてみますと 中には亡くなった農具がここの都も ちゃんと入っていまし たそれどころではなく真ん中には金色の目 をした顔の真っ赤な山男ががあを描いて 座っていまし たそしてみんなを見ると大きな口を開けて ばあと言いまし た子供らは叫んで逃げ出そうとしましたが 大人はびくともしないので声を揃えて言い まし た 山男これからいたずらやめてくれくれぐれ も 頼む山男は大変恐縮した様子で頭を書いて 立っておりまし たみんなは各々自分の道具を取って森を出 て行こうとしまし た すると森の中でさっきの山男 がほらにも泡持ち持ってきて くれと叫んでくるりと向こうを向いて手で 頭を隠して森のもっと奥へ走っていきまし たみんなはあっはっはと笑ってうへ帰り ました そしてまた泡持をこらえておの森とざる森 に持って行って置いてきまし た次の年の夏になりまし た平らなところはもうみんな畑 ですそしてまた小屋ができたり大きな名が できたりしまし たそれから馬も3匹になりまし たその秋の収穫のみんなの喜びはとても 大変なものでし た今年はどんな大きな泡持ちをこらえる ことになっても大丈夫だと思ったの ですそこでやっぱり不思議なことが起こり まし

た下で一面覆われたある朝ナヤの中の泡が みんななくなってしまいまし たみんなはまるで気がきでなく一生懸命 その辺りを駆け回りましたが泡はどこにも 1粒もこぼれていませんでし たみんなはがっかりして各々好きな方へ 向いて叫びまし たオの泡は知らない か知らない ぞ森はいっぺんにに答えまし た探しに行くぞとみんなは叫びまし た 来いと森は異性に答えまし たみんなは各々好きな農具を持ってまず 近くの追い森に行きまし た 狼どは9匹とももう出て待っていまし たそしてみんなを見てふっと笑って言い まし た今日も泡持ちだここには泡なんかない ない決して ない他を探してもなかったらまたここへお いでみんなは最もだと思ってそこを 引き上げて今度はざる森へ行きまし たすると赤倉の山男はもう森の入り口に出 ていてニヤニヤ笑って言いまし た泡持ちだ泡持ちだオは何にも取らない よ泡を探すならもっと北に行ってみたら いいそこでみんなはももだと思って今度は 北の黒坂森すなわちこの話を私に聞かせた 森のその入り口に来て言いました 泡を返してくれ泡を返して くれ黒坂森は形を出さないで声だけで答え まし た俺は明け方真っ黒な大きな足が空を北へ 飛んでいくのを見 たもう少し北の方へ行って みろ それだけ言って泡持ちのことなどは一言も 言わなかったそう ですそして全くその通りだっだろうと私も 思い ますなぜならこの森が私へこの話をした後 で私は財布からありったけのどかを7枚 出し お礼にやったのでしたがこの森はなかなか 受け取りませんでし たこのぐらい気象がさっぱりとしています からさてみんなは黒坂森の言うことが最も だと思ってもう少し鍛え行きまし た それこそは松の真っ黒な盗ともでし たですからみんな も名前からして盗っと くさいと言いながら森へ入っていっ

てさあ泡 返せ泡 返せと怒鳴りまし たすると森の奥から真っ黒な手の長い 大きな男が出てきてまるで避けるような声 で言いまし たなんだと俺をぬすっとだ とそういうやつはみんな叩き潰してやる ぞい体何の証拠があるん だ証人がいる証人が いるとみんなは答えまし た誰だ ちくしそんなことを言うやは誰 だと盗ともりは吠えまし た坂森だとみんなも負けずに叫びまし たあいつの言うことは全く当てになら んならんならんぞ ちくしと盗ともりは怒鳴りまし たみんなも最もだと思ったり 恐ろしくなったりしてお互いに顔を 見合わせて逃げ出そうとしまし たするとにわかに頭の上 でいやいやそれはなら んというはっきりしたおかな声がしまし た見るとそれは銀の冠をかぶった岩手さん でし た盗ともの黒い男は頭を抱えて地に倒れ まし た岩手さんは静かに言いまし た盗んだのは確かに盗ともりに違い ない俺は明け方東の空の光と西の月の明り とで確かにそれを見届け たしかしみんなももう帰って よかろうアはきっと返 させようだから悪く思わんで おけもも盗ともは自分で持をえみたくて たまらなかったの だそれで泡も盗んできたの だそして岩手さんはまたすまして空を向き まし た先ほどまでいた黒い男はもうその辺りに 見えませんでし たみはあけに取られてガヤガヤ家に帰って みましたらアはちゃんとなやに戻ってい まし たそこでみんなは笑って泡持ちをこらえて 4つの森に持っていきまし た中でも盗ともりには一番たくさん持って いきまし た その代わり少し砂が入っていたそうですが それはどうも仕方なかったこと でしょうさてそれから森もすっかりみんな の友達でし たそして毎年冬の初めには泡持ちをもらい

ました しかしその泡持ちも泡が取れづらくなって きて随分小さくなったがこれもどうも仕方 が ないと黒坂森の真ん中の真っ黒な大きな岩 がこの話のおしまいに行っていまし た お しまい

2 Comments

  1. 彩人さん彩リスの皆様こんばんは🌙昨日あたりからいきなり寒くなってきましたね❄️たくさん食べて変化に負けない身体を作っていきたいですね🍀
    24作品360分❗️❗️彩人さんの約1年の軌跡がこんなにたくさん。まるで宝箱のよう✨✨今夜はこの宝箱を開いて眠りにつきたいと思います😊
    おやすみなさい🌙🌟💤

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