自転車の利用者について損害賠償保険などへの加入を努力義務とする岩手県の条例が7月1日から完全施行となりました。
なぜ身近な乗り物に新たな条例が施行されたのか、その背景や現状について取材しました。

自転車を利用する人の損害賠償保険などへの加入を努力義務とする県の条例。
罰則規定はなく4月からの周知期間を経て7月1日に完全施行となりました。

盛岡市の自転車販売店「チャリ松」です。
取締役の及川尚宏さんは客が自転車の購入や修理で訪れた際、保険に入っているかを確認しています。

チャリ松 及川尚宏さん
「自転車が絡んだ事故の増加を客も気にしているので、私たちも声をかけている」

この条例の背景にあるのは事故による高額な賠償金です。
2013年には小学生が乗った自転車が通行人をはねて大けがをさせた事故で、神戸地裁が児童の母親に対し1億円近い賠償を命じたケースもあります。

対応するさまざまな保険がある中、チャリ松が防犯登録とともに勧めるのは自転車向けの保険が付いた点検・整備です。

チャリ松 及川尚宏さん
「新規の客はほとんど加入している。100%に近い」

納品前の自転車に及川さんが貼り付けたのは「TSマーク」と呼ばれるシール。
自転車安全整備士が点検と整備をしたことを証明するものです。

緑・赤・青とマークの色によって付帯する補償の内容は異なりますが、赤色の場合は最大で1億円の賠償責任補償などが付きます。
1年ごとの更新が必要で料金とマークの色は取り扱う店によって異なります。

女性は娘の自転車を購入してから1年が経過したため、TSマークを更新しようと来店しました。
点検・整備が終了すると新たなTSマークが貼られ保険にも再加入できました。


「事故で迷惑を掛けることがあると思う。それが心配なので加入させたい。(自転車は)プロに任せて一通り確認してもらう必要がある」

こうした条例は全国的に導入が進んでいて、県・消防安全課では「保険加入の努力義務や点検・整備の徹底、そしてヘルメットの着用について、さらに周知していきたい」と話しています。

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