【朗読】【ミステリー小説】孤島の鬼-04:江戸川乱歩 おすすめ小説朗読/ジャズ/睡眠導入/睡眠朗読/字幕

[音楽] 小藤の鬼江戸川 乱歩話かけののび大将私の 復讐探偵の仕事は今や大切な指導者を失っ てしまった残念なことには彼は生前彼の 探り得た ところ推理した事柄を少しも私に打ち明け ておかんだので私は彼の死にあって 全く途方に暮れてしまった最も彼は23 暗示めえた言葉を漏らさぬではなかった が不便な私にはその暗示を解釈する力は ないのだそれと同時に一方では私の復讐 事業は一層重大さを加えてきた今や私は私 の恋人の恨みを報いるとともに私の友人で あり先輩であった宮の敵をも打たねばなら ぬ立場に置かれたみを直接殺したものはか の目に見えぬ不思議な主人であった けれど彼をそのような危険に導いたもの は明らかに私であった私が今度の事件を 依頼さえせめば彼は殺されることはなかっ たのである私は宮にする訳のためだけにで も何がなんでも犯人を探し出さないでは すまぬことになった宮は殺される少し前に 脅迫場に書いてあった彼の死の原因となっ たところの品物を書きとめ小包にして私に 送ったと言ったがその返ってみると 果たして小包郵便が届いていたなが厳重な 荷作りの中から出てきたものは意外にも1 個の石膏像であったそれは石膏の上に 絵の具を塗って聖堂のように見せかけた どこの肖像親にも転がっていそうな乃木 大将の半神臓だった随分古いもの らしくところどころ絵の具が剥げて白い 生地が 現れ花などはこの軍神に対して失礼な ほど国慶に駆け落ちていた話かけの伸び代 象なのだロダンに似たような名前の作品が あったことを思い出して私は変な気持ちが した 無論私はこの品物が何を意味するの かなぜ人殺しの原因となるほど大切なのか まるで想像もつかなんだ宮は壊さぬように 大切に保管せよと言ったまたそれが大切な 品だということ を他人に悟られるなとも言った私はいくら 考えてもこの半神臓の意味を発見すること ができぬの でともかく死者の差し図に従って人に悟ら れぬようにわざとガクもの入れてある 押入れの氷の中へ それをそっとしまっておいたこの品のこと は警察では何も知らぬのだ から急いで届けるにも及ばなかったのだ それから1週間ばかりの 間心はイライラしながらも私は宮の葬儀の ために1日潰した他は何のなすところも なく嫌な会社勤めを続けた会社が引けると 欠かさず初世の墓地に出たそこで私は あついで起こった不思議な殺人事件の顛末 を私の泣き恋人に報告したことであった がすぐ家へ帰っても寝られぬものだ から私は墓参りを済ませると町から町を 歩き回って時間を潰したものであるその 間別段の地変もなかったが2つだけ花つら ぬようなことではあるが読者に告げておか ねばならぬ出来事があったその1つは2度 ばかり誰かが私の留守中に私の部屋に入っ て机の引き出しや本箱の中の品物を 取り乱した形跡のあったことである私は そんなに帳面な立ちではなかったから はっきりしたことは言えぬのだ がなんとなく部屋のの品物の 位置例えば本箱の棚の書物の並べ方などが 私の部屋を出る時の記憶とは違っている ように思われたのだかのものに尋ねても誰 も私の持ち物をなった覚えはないという ことであった が私の部屋は2階にあって窓の外は竹の 屋根に続いているのだ から誰かが屋根伝いに忍び込むと思えば 全くできぬことではないのだ神経のせいだ と打ち消してみてもなんとなくやからぬ 思いがするの でもしやと押入れの氷を調べてみたが霊の 話かけのの将軍はその都度別状なく元の とろに収まっていたそれからもう1つは ある日初夜のボサを済ませて いつも歩き回るバスへの町を歩いていた 時それは小鮮のウス谷に近いところであっ た がとある空地にテト張りの曲馬弾がかかっ てい て古風な楽体やグロテスクな絵看板が 好ましく私はその以前にも一度その前に たたずんだことがあったのだ がその 夕方何気なく団の前を通りかかると意外な ことにはかの諸とが木戸口から急ぎ足で出 ていく姿を認めたのである先方では私に 気づかぬようであった が格好の良いセビロ姿は紛れもなく私の 異様な友人諸と千であったのだそんなこと から何の証拠もないことであったが のもとに対する疑いはますます深められて いった彼はなぜ初夜の 死後あんなに度々木崎の家を訪れたので あるか何の必要があって問題の尻尾の花瓶 を買い取ったのであるかまた彼がちょうど 宮の殺人現場にまで気合せていたの は偶然にしては少々変ではなかったかその おの彼のいしい挙動はどうであったかそれ に気のせいか彼が彼の家とはまるで法学の 違うウイスの曲馬団を見に来ていたという の もなんとなく異様な感じがするではないか そうした外側に現れた事柄ばかりでは なく心理的にももとを疑うべき理由は十分 あった私としては非常に言いにくいことで はあるが彼は私に対してにはちょっと想像 もできないほど強い連絡を感じている らしかったそれが彼をして木初よに心にも ない吸魂運動をなさしめた原因であったと してもさして意外ではないのであるさらに この吸魂に失敗した彼が発は彼にとって 正しく恋の敵だったのだ から感情の激するままその恋がきを知れず 殺害したかもしれないという想像も全く不 可能ではなかった果たして彼が発殺しの下 主人であったとする とその殺人事件の探偵に従事 し意外に早く犯人の目星をつけた宮孝吉は 彼にとって1日も生かしておけぬ大敵で あったにそういない隠してもとは第1の 殺人罪を隠蔽するために引き続いて第2の 殺人を犯さねばならなかったと想像する こともできるではないか宮を失った私は こんな風にでももとを疑ってみる他には 全然探偵の方針が立たなかった私は行を 重ねた末 結局もう少しもとに接近してこの私の疑い を確かめてみる他はないと心を定めたそこ で の編事件があって から1週間ばかり経った 自分会社の帰りを私は諸戸の住んでいる 池袋へと心ざしたので ある再び海老人私は2晩続けて諸との家を 訪れたのであった が第1の番は諸とが不在のため虚しく玄関 から引き返す他はなかったけれど の晩には私は意外の収穫を得たのである もう7月の中旬に入っていて変に蒸し暑い 夜であった当時の池袋は今のように賑やか では なく市販学校の裏に出るともう人家もまに なり細い田舎道を歩くのに骨が折れるほど 真っ暗であったが私はその一方は背の高い 書き一方は広っぱといったような寂しい ところ を闇の中にわずかにほしく浮き上がって いる道路を目を据えて見つめ ながら遠くの方に ぽつりぽっちりと見えているとかを頼りに 心もとなく歩いていたまだ暮れたばかりで あったが人通りはほとんど なくたまさか 人があったりする と帰って何か物のようで不気味な感じがし たほどであった先に記した 通りモトの屋敷はなかなか 遠く駅から半道もあったが私はちょうど その中ほどまでたどり着いた 頃行手に当たって不思議な形のものが歩い ているのを気づいた背の高さは常人の半分 くらいしかなくて横幅は常人以上にも広い 一人物 が全身をえっちらおっちら左右に振り とかし ながら そしてその度にあるいは右にあるいは左に 張り子の虎のように彼の異常に低いところ についている頭をチラチラと見せながら何 理想に歩いていくのであると言っては一寸 のように思われるがそれは一寸防止では なく上半身が腰のところから45°の角度 で曲がっているため に後ろからはそんな背の低いものに見えた のだつまりひどく腰の曲がった老人なので あるその異様な老人の姿を見て当然私は かつて初世が見たという不気味なおじい さんを思い出した そして時が時であったしところがちょうど 私が疑っていた諸との家の付近であったの で私は思わずハットした注意して悟られぬ ように履行していくと海老人は果たして諸 との家の方へ歩いていく1つ枝道を曲がる と一層道幅が狭くなったその枝道は 諸との屋敷で終わっているのだ からもう疑う余地はなかった向こうに ぼんやりと諸の家の感が見えてきた が今夜はどうしたことかどの窓にもとかが 輝いている老人は門の鉄の扉の前で ちょっと立ち止まって何か考えているよう であった が やがて扉を押して中へ入って言った私は 急いで後を負って門内に踏み込んだ玄関と 門の間にちょっとしった神木の植込みが あってその影に隠れたのか私は老人を 見失ったしばらく様子を伺っていたが老人 の姿は現れぬ私が門に駆けつける間に彼は 玄関に入ってしまったの かそれともまだ植込みの変にうろうろして いるのかちょっと剣闘がつんだ私は先方 から見られぬように気をつけて広い前提を あちこちと探してみたが老人の姿は消えた かのようにどこの隅にも発見できなかった 彼はすでに屋内に入ってしまったので あろうそこで私は思い切って玄関のベルを 押したもに 直接彼の口から何事かを探り出そうと決心 したのだまもなくドアが開いて見越しの 若い女性が顔を出した諸とに会いたいと 言うと彼はちょっと引っ込んでいったが すぐ引き返してきて私を玄関の次の大雪前 へ通した壁紙なりどなりなかなか調和が 良く主人の豊かな趣味を語っていた 柔らかい大子に腰かけていると諸とは酒に 酔っているのか蒸気した顔をして勢いよく 入ってきた やあよく来てくれましたね この間巣鴨では本当に失敬しましたあの時 はなんだか具合が悪くってね諸とは心よい 中音で さも快活らしく言うのだったその後でもう 一度お会いしていますね ほら鎌倉の海岸で決心をしてしまうと私は 存外ズバズバと物が言えたえ鎌倉 あああの時君は気がついていたのです かあんな騒動の祭だったのでわざと遠慮し て声をかけなかったのだが あの殺された 人宮さんとか言いましたね 君あの人とはよほど好意だったのですか ええ実は木崎初代さんの殺人事件をあの人 に研究してもらっていたんですあの人は ホームズみたいな優れた素人探偵だったの ですよそれがやっと犯人が分かりかけた時 にあの騒動なんです僕本当にがっかりし ちゃいまし た僕も大方そうだとは想像していた が惜しい人を殺したものですねそれはそう と君食事はちょうど今食堂を開いたところ で珍しいお客さんもいるんだ がなんだったら一緒に食べていきませんか もとは話題を避けるよに言った いいえ食事は済ませましたお待ちします からどうかご遠慮なくですがお客さんと いうのはもしやひどく腰の曲がったおじい さんの人じゃありませんかえおじいさんで すって おい小さな子供なんですよちっとも遠慮の いらないお客だからちょっと食堂へ行く だけでも行きませんか ですかでも僕来る時そんなおじいさんが ここの門を入るのを見かけたのですが へえおかしいな腰の曲がったおじいさん なんて僕はお近づきがないんだが本当に そんな人が入ってきました かもとはなぜか非常に心配そうな様子を 見せたそれから彼はなおも私に食堂へ行く ことを進めた が私が孤児するので彼は諦めて霊の所生を 呼び出してこんなことを命じた食堂にいる お客さんにねご飯を食べさせて退屈しない ように君とバーヤとでよくお守りをして くれた前帰るなんて言い出すと困るからね 何かおもちゃがなかったかしらあ それからこのお客様にお茶を持ってくるの だ所生が去ると彼はしいて作ったような 笑顔で私の方に向き直ったその間に私は 部屋の一方の隅においてあった問題の出方 の花瓶に気づい てこんな場所にそれを放り出しておく彼の 大差に坂呆れた立派な花瓶ですねで僕どこ かで1度見たような気がするんです が私は諸との表情に注意しながら尋ねた あああれですか見たかもしれませんよ初夜 さんの家の隣の道具屋で買ってきたんだ から彼は驚くべき平成さで答えたそれを 聞くと私はちょっと立ちができない気がし てやや心おくを覚えた 意外な白音探偵僕は会いたかったのですよ 久しく君と打ち解けて話をしないんだ ものもろとは酔いに紛らして少しく甘い 言葉遣いをした蒸気した方が美しく 輝き長いまつ毛に覆われた目が生めかしく 見えたこの間巣鴨では だか恥ずかしくて言えなんだ けれど僕は君にお詫びしなければならない のです君が許してくれるかどうか分からぬ ほど僕はすまぬことをしているんですでも それは僕の情熱がさせた 技つまり僕が君を他人に取られたくなかっ たのです いやこんな自分勝手なことを言うと君は いつものように起るだろうけれ と君にだって僕の真剣な気持ちは分かって いてくれるはずだ僕はそうしないではい られなかったのです君は怒っている でしょうねそう でしょうあなたは初夜さんのことを言って いるのですか私はぶっきらぼう聞き返した そうです僕は君とあの人とのことが 妬ましくて耐えられなかったの ですそれまではたえ君は僕の心持ちを本当 に理解してくれぬにも せよ少なくとも君の心は他人のものでは なかったそれが初夜さんというものが君の 前に現れてから君の態度が一変してしまっ た覚えていますかもう先々月になりますね 一緒に劇を見物した夜のことを僕は君の あの 幻を追っているような目の色を見るに絶え なかったその上君は残酷にも平気でさも 嬉しそうに初夜さんの噂をさえ聞かせたで はありませんか僕があの時どんな心持ち だったと思います恥ずかしいことですいつ も言う通り僕はこんなことで君を責める 権利なぞあろう通りはないのですでも僕は あの君の様子を見てこの世の全ての望みを 失ってしまったような気がした本当に 悲しかった君の恋も悲しかったがそれより も 一層僕のこの人波でない心持ちが恨めしく て使用がなかったそれ以来というもの僕が 幾度手紙をあげても君は返事さえくれ なかったでしょう以前はどんなに釣れない 返事にせよ 返事だけはきっとくれたものだったの にいつになく酔っているもとは夕べ化で あった彼の目しさえ見える国事は黙って いれば果てしがないのであるそれ であなたは心にもない求婚をなったのです か私は生き おしく彼の饒舌を中断したはやっぱり怒っ ている無理はありません僕はどんなことを してでもこのつないをしたいと思います君 は土足で僕の顔を踏んづけてくれても構わ ないもっとひどいことでもいい全く僕が 悪かったのだから諸とは悲しげに言っただ がそんなことで私の怒りが和らげられる ものではなかったあなたは自分のこと ばかり言っていらっしゃるあなたはあまり 自分勝手です初夜さんは僕の一生がに たった1度出会った僕にとってかけがえの ない女性なんですそれをそれを喋っている うち に新たな悲しみが込み上げてき て私はつい涙ぐんでしまった そしてしばらく口を聞くことができなかっ た諸とは私の涙に濡れた目をじっと見てい たが いきなり両手で私の手を握って堪忍して ください堪忍してくださいと叫び続けるの であったこれが勘弁できることだと おっしゃるのですか私は彼の熱した手を 払いのけていった初夜は死んでしまったの ですもう取り返しがつかないのです私は 暗闇の谷底へ突き落とされてしまったの です君の心持ちはすぎるほど分かっている でも君は僕に比べればまだ幸せだったの ですよなぜと言って僕があれほど熱心に 求婚運動をしても義理のお母さんがあれ ほど進めても初夜さんの心は少しもゆがん だ初夜さんはあらゆる障害を見向きもせ ずあくまで君を思い続けていた君の恋は 十分すぎるほど報われていたの ですそんな言い方があるもんですか私は もう泣き声になっていた初夜さんの方でも 僕をあんなに思っていてくれたれば こそあの人を失った今僕の悲しみはばする のですあなたは吸魂に失敗したものだ からそれだけでは飽き足りないでその上 その上だが私はさすがにその次の言葉を 言いおんだ えなんですって ああやっぱりそうだった君は疑っているね そうでしょう僕に恐ろしい剣技をかけて いる私はいきなりわっと泣き出して涙の下 から途切れ途切れに叫んだ僕はあなたを殺 てしまいたい殺したい殺したい本当のこと を言ってください本当のことを言って ください ああ僕は本当にすまないことをし た諸とは再び私の手を取ってそれを静かに さすり ながら恋人を失った人の悲しみがこんなだ とは思わなんだだが美浦君僕は決して嘘は 言わないそれはとんだ間違いですよいくら なんだって僕は人殺しのできる柄じゃない じゃどうしてあんな君の悪いじいさんが ここの家へ出入りしているんですあれは 初夜さんの見たじいさんですあのじいさん が現れてから間もなく初夜さんが殺されて しまったんですそれからなぜあなたは ちょうど宮さんの殺された日にあそこにに いたんです そして疑いを受けるような素振りを見せた んですあなたはなぜウグイスにの曲馬団へ 出入りしたんです僕はあなたがあんなもの に思考を持っている なんて1度も聞いたことがないあなたは どうしてその尻尾の花瓶を買ったんです この花瓶が初夜さんの事件に関係あること を僕はちゃんと知っているんですそれから それから私は狂気のように洗いざらい喋り 立てた そして言葉が途切れると真っ青になって 劇場のあり怒りみたいにブルブルと震え 出した諸とは急いで私のそばへ回ってきて 私と椅子を分けてかけるようにし て両手で私の胸をしっかりと 抱きしめ私の耳に口を寄せて優しく囁くの だった色々な事情が揃っていたのですね君 が僕に疑いをかけたのもまんざら無理では ないようですでもそれらの不思議な一致に は全く別の理由があったのですよ ああ僕はもっと早くそれを君に打ち明けば よかった そして君と力を合わせてことに当たれば よかったのだ 僕はね美浦 君やっぱり君や宮さんと同じようにこの 事件を1人で研究してみたのですよなぜ そんなことをしたか分かりますかそれはね 君への詫びなんです無論僕は殺人事件には 少しも関係がない けれど僕は初夜さんに結婚を申し込んで君 を苦しめた その上党の初代さんが死んでしまったので は君があんまりかわいそうだと思ったの ですせめて下主人を探し出して君の心を 慰めたいと考えたのですそればかりでは ない初夜さんのお母さんは荒らぬ権利を 受けて検事局へ引っ張られたその権利を 受けた理由の1つは結婚問題について娘と 論したことだったではありませんかつまり 間接には僕がお母さんを権者にしたような ものですだからその点からも僕は下主人を 探し出し てあの人の疑いを晴らしてあげる責任を 感じたのですよしかしそれは今ではもう 必要がなくなった君も知っているでしょう が八さんのお母さんは証拠が不十分のため になくたを許されたのです 昨日お母さんがここへ見えられてのお話 でし ただが疑い深い私はこの彼のまことしやか なさも優しげな弁解を容易に信じようとは しなかった恥ずかしいことだ けれど私は諸との腕の中でまるでだっこの ように振る舞ったこれは後で考えてみると 人の前で声を出して泣いたりした恥ずかし さをごまかすためと意識はしていなかった けれど私をさほどまでも愛してくれていた 諸にかかに甘える気持ちもあったのでは ないかと思われる僕は信じることができ ませんあなたがそんな探偵の真似をする なんてこれはおかしい僕に探偵の真似が できないというのです かとはいくらかた私の様子に少し安心した らしく僕はこれでなかなか名探偵かもしれ ないのですよ法意学だって一通りは学んだ ことがあるし ああそうだこれを言ったら君も信用する でしょうさっき君はこの花瓶が殺人事件に 関係あると言いましたね実に名札ですよ君 が気づいたのですか それとも宮さんに教わったものですかその 関係がどういうものだか君はまだ知らない ようですねその問題の花瓶というのはここ にあるのではなくてこれとついになってい たもう1つの方なんですよほら初夜さんの 事件のあった日にあのフルドぐから誰かが 勝っていったあれなんですわかりましたか とすると僕がこのを勝ったのは僕が犯人で なくてむしろ探偵であることを証拠立てて いるではありませんかつまりこれを買って きてこの花瓶というものの性質を極めよう としたんですからねここまで聞くと私はも との言うところをやや成長する気持ちに なった彼の理論は偽りにしてはあまりに まことしやかであったからもしそれが本当 ならば僕はお詫びしますけれど私は非常に 決まりの悪いのを我慢していったで もあなたは全くそんな探偵みたいなことを やったのですかそして何か分かったのです か ええ分かったの ですもとはやや誇らしげであったもし僕の 想像が誤っていなかったら僕は犯人を知っ ているのですいつだって警察に突き出す ことができるのですただ残念なことには彼 がどういうわけであの二重の殺人を犯した かが全く不明ですけれど え二重の殺人ですって私は決まりの悪さも 忘れ て驚いて聞き返したでは やっぱり宮さんの主人も同一人物だったの ですかそうだと思うのですもし僕の考え 通りだったら実に前代未ものきじです この世の出来事とは思えないくらいですで は聞かせてくださいそいつはどうしてあの 出入り口のない密閉された家の中へ 忍び込むことができたのですどうしてあの 群衆の中で誰にも姿を認められず人を殺す ことができたのです ああ本当に恐ろしいことです常識で考えて は全く不可能な犯罪が安々と犯されたと いうことがこの事件の最も戦慄すべき点な のです一見不可能に見えることがどうして 可能であったかこの事件を研究するものは まずこの点に着眼すべきであったのです それが全ての出発点なのです 私は彼の説明を待ちきれなくてせっかちに 次の質問に移っていった一体下主人は何者 です我々の知っているやですか多分君は 知っているでしょう長がちょっと想像が 突きかねるでしょう ああ諸と千は果たして何事を言い伝とは するぞ私には今や 猛々とその正体が分かりかけてきたような 気がする彼の海老人は全体何者なれば諸と の家を訪れたりしたのであろう彼は今どこ に隠れているのであるか諸とが極端団の 木口に姿を見せたのはなぜであったか出方 の花瓶はいかなる意味でこの事件に関係を 持っていたのであるか今や諸とに対する 疑いは全く晴れたのであるが 彼を信用すればする ほど私は主持ざたの疑問が雲のごとく私の 脳裏に浮かび上がってくるのを感じないで はいられなかっ [音楽] た盲点の作用局面がにわかに一変した私が 前章に述べたような様々な理由によって この犯罪事件に関係があるにそういないと 睨んで そのためわざわざ質問に出かけていった諸 とちがだんだん話してみる と意外にも犯人どころ か彼もまた泣宮孝吉と 同じく一家の素人探偵であったことが 分かってきたのであるのみならず諸とは すでにこの事件の犯人を知っていると 言いそれを今私に打ち明けようとさえして いるだ生前の宮の鋭い探偵眼に驚いていた 私 はここにその宮以上の名探偵を発見して さらに一教をきしなければならなかった 長い間の交際を通じて性欲盗作者として 不気味な解剖学者として諸が甚風変わりな 人物であることは知っていた けれどその彼に核のごとき優れた探偵能力 があろうとは誠に想像だもしなかった ところである意外なる局面の転換に私は あけに取られた形であったこれまでの ところでは読者諸君にも多分そうである よう に当時私にとっても諸と千は全く謎の人物 であった彼には何かしら世の常の人間と 違ったところがあった彼の十しいた研究の 異様なことその詳しいことは後に説明する 機会が ある性欲盗作者であったこととが彼を そんな風に見せたのかもしれない がしかしどうもそれだけではなかった表面 全人らしく見えていてその裏側に得体の 知れぬ悪が潜んでいる彼の神辺には影のの ように不気味な容器が立ち上っていると いった感じなのであるそれと彼が素人探偵 として私の前に現れたの があまりにも突然であったのとで私は彼の 言葉を信じきれない気持ちであったなが それにも関わらず彼の探偵としての推理力 はいかに記述するがごとく 実に素晴らしいものであった しまた彼の人間としての全量さは表情や 言葉のはばにも見てとることができたほど で私は心の奥底にはまだいぺの疑いを残し ながらもついつい彼の言葉を 信じ彼の意見に従うことにもなっていった のである私の知っている人ですって おかしいな少しもわからん教えてください 私は再びそれを尋ねた前哨の続きである 突然言ったのでは君にはよく飲み込めない かもしれぬでね少し面倒だ けれど僕の分析の経路を聞いてくれない だろうかつまり僕の探偵苦しだだね最も 冒険をしたり歩き回ったりの いわゆる苦し断じゃないけれど諸とは すっかり安心した調子で答えた ええ聞きますこの2つの殺人事件はどちら も一見不可能に見える1つは密閉された 屋内で行われ犯人の出入りが不可能だった し1つは白中群衆の面前で行われ てしかも何人とも犯人を目撃しなかったと いうのだ からこれもほとんど不可能な事柄ですだが 不可能なことが行われるはずはないのだ からこの2つの事件は一応その不 可能そのものについて吟味してみることが 最も必要でしょう不可能の裏側を除いて みると案外つまらない手の種が隠されて いるものだからもともテジという言葉を 使った私は宮山にもかつて同じような火を 用いたことを思い合い て一層もとの判断を信頼する気持ちになっ た非常にバカバカしいことです宮も同じ ことを言っ たあまりバカバカしい想像なので僕は容易 に信じられなんだ1つだけでは信じられな んだだが宮さんの事件がったのでやっぱり 僕の想像が当たっていたことが確かめられ たのですバカバカしいというのはね義満の 方法が子供騙しみたいだということでだが そのやり方は実にずば抜けて大胆不適なの ですそれがためにこの犯罪人はかって安全 であったとも言いうるさあ何と言っていい かこの事件にはちょっと人間世界では想像 できないほどの見 にくい残忍な野獣性が潜んでいる一見 バカバカしいようではあるが人間の知恵で なくて悪魔の知恵でなければ考え出せない 種類の犯罪なのですもろとはやや興奮して さも肉しげに喋ってきたがちょっと 押し黙ってじっと私の目を覗き込んだ私は その 時彼の目の中にはいつものアブの表情が 失せて深い恐怖の色が漂っているのを感じ た私も吊り込みれて同じ目つきになってい たにそういない僕はこんな風に考えた初夜 さんの場合はね皆が信じているように犯人 は全く出入りが不可能な状態であったどの 戸口も中から女が下ろしてあった犯人が 内部に残っているかそれとも共犯者が家の 中にいたとしか考えられない事情だった それがつまり初代さんのお母さんを被疑者 にしてしまったわけなんだ が しかし僕の聞いていたところで はお母さんが下主人だとも共犯者だとも 考えられぬどんなことがあっ たって1人娘を殺す親なんてあるはずが ないそこで僕はこの 一見不可能に見える事情の裏には何か ちょっと人の気づかぬからくが隠されて いると睨んだの ですもとの熱心な話しぶりを聞いていると 私はふと変てこな何かそぐわぬものを感じ ないではいられなかった私は 初めてはてなと思った諸と千代は一体どう してこんなにも初代さんの事件に力こぶを 入れているのであろう恋人を失った私への 道場からであろう かあるいは また彼の生来の探偵好きのさせた技で あろうかだがどうも変だただそれだけの 理由で彼はこんなにも熱心になれたので あろうかそこには 何かもっと別の理由があったのではない かしら後に思い当たったことであるが私は なんと なくそんな風に感じないではいられなかっ た例えばね台数の問題を解く時にいくら やってみても解けない一晩かかっても 書きつけばかりだこれは不可能な問題に 違いないと思うねながどうかし表紙に同じ 問題をまるで違った方角から考えてみると ひょっこり何の造作もなく解けることが あるそれが解けないというの はいわば呪文にかかっているんですね思考 力の盲点といったようなものに災いされて いるんですね初夜さんの事件でもこの見方 を全く変えてみるということが必要だった と思うあの場合 出入り口が全然なかったというの は屋外からの出入り口がなかったという ことです戸締まりも完全だったし庭に足跡 もなかった し天井も 同様円の下へは外部から入れないように網 が張ってあったつまり外から入る箇所は 全くなかったこの外からという考え方が 災いしたのですよ 犯人は外から入って外へ出るものという 潜入手が行けなかったのですよ学者のもと は変に思わせぶりな学問的なものの言い方 をした私は彼の意味がいくらか分かった ようでも ありまたまるで検討がつかぬようでも ありあけに取られた形 でしかし非常な興味を持って聞き入ってい たでは外からでなければ一体どこから入っ たのだというでしょう中にいたのは被害者 とお母さんだけなんだから犯人が外から 入らなんだというのはで は下主人はやっぱりお母さんだったという 意味かと反問するでしょうそれではまだ 盲点に引っかかっているのですなんでも ないことですよこれはねいわば日本の建築 の問題ですよほら覚えていますか八代さん の家はお隣と2件で一宗になっているあの 2件だけが平屋だからすぐ気づく でしょう諸とは妙な笑いを浮かべて私を見 たじゃ犯人はお隣から入ってお隣から 逃げ出したというのですか私は驚いて尋ね たそれがたった1つの可能場合です一に なっているのだ から日本建築の常とし て天井裏と円の下は2件共通なんです僕は いつも思うのだが戸締まり戸締まりと やかましく言っても長屋建てじゃ何にも ならないおかしいね裏表の戸締まりばかり 厳重にして天井裏と円の下の抜け道を ほったらかしておくんだから日本人は呑気 ですよしかし私はムムと湧き起こる疑問を 抑えかねていったお隣は人のいい老人夫婦 の古道具屋 で しかもあなたも多分お聞きでしょう があの朝は初夜さんの死体が発見された後 で近所の人に叩き起こされたんですよそれ まではあの家もちゃんと戸締まりがして あったのですそれから老人が戸を開けた 自分にはもうだいぶ八馬が出てい てあのフルドが休憩所みたいになって しまったのだ から犯人の逃げ出す暇はなかったはずです がまさかあの老人たちが共犯者で犯人を かまったと思えませんからね君の言う通り ですよ僕もそんな風に考えたそれから もっと確かなことは 天井裏を通り抜けたとすれ ばそこの散の上に足跡とか何か残っている はずなの に警察で調べて何の痕跡もなかったでは ありませんかまた円の下にしても皆金張り なんかで通れないようになっていたでは ありませんかまさか犯人が板を 破り畳を上げて入ったとも考えられません からねその通りですだが もっといい通路があるのですまるでここ からお入りなさいと言わぬばかりのごご ありふれたそれゆえに帰って人の気づかぬ 大きな通路があるの です天井と縁の下以外にですかまさか壁 からではない でしょう いやそんな風に考えてはいけない壁を破っ たり値を剥がし たりバイクをしない で何の痕跡も残さず堂々と出入りできる 箇所があるのですエドガーポの小説にね 盗まれた手紙というのがある読んだことが ありますかある賢い男が手紙を隠すのだが 最も賢い隠し方は隠さぬことだという考え から無増さに壁の調査師へ投げ込んでおい たところ 警察がやさしをしても発見することができ なんだ話ですこれを一方から言うと誰も 知っているようなごくごくあかさな場所は 犯罪などの真剣な場合にはかって観客され 気づかれぬものだということになります僕 の言い方にすれば一種の盲点の作用なの です初夜さんの事件でも言ってしまえば どうしてそんな簡単なことを見逃したのか とバカバカしくなるくらいだ がそれが先に行った族は外からという観念 に災いされたためですよ 1度中からとさえ考えたなら直に気づく はずなんだからわかりませんね一体どこ から出入りしたのですか私は相手に からかわれているような気が少深でさえ あったほらどこの家でも長屋なんかには 台所の板の間に三尺四方 くらい上板になったところがあるね炭や巻 なんかを入れておく場所ですあの上板の下 は大抵仕切りがなくてずっと縁の下へ続い ているでしょうまさか内部からがとは考え ぬので外に面したところには金網を張る ほど用人深い人で もあそこだけは一向戸締まりをしないもの ですよじゃあその上板から初夜さんを殺し た男が出入りしたというのです か僕は度々あの家へ行ってみて台所にあげ いのある ことその下には仕切りがなくて全体の縁の 下と共通になっていことをめたのです つまり犯人はお隣の道具屋の台所の上板 から入っ て縁の下を 通り初夜さんの家の上板から 忍び込み同じ方法で逃げ去ったと考える ことができ ますこの方法によれば神秘的にさえ見えた 初殺しの秘密を実にあけなく解くことが できた私はこののとの理生前たる推理 に一応は復したのであるがただよく考えて みるとそうして通路だけが解決された ところでもっと完用な問題が色々残って いるフルドウの主人がどうしてその犯人を 傷んだのかたくさんの八馬の面前を犯人は いかにして逃げ去ることができたのか一体 とは何者であるかもとは犯人は私の知って いるものだと言ったそれは誰のことで あろう私はもとのあまりにも迂回的なもの の言い方 にイライラしないではいられなかった [音楽]

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00:00 OP
00:05 鼻欠けの乃木大将
09:41 再び怪老人
19:27 意外な素人探偵
35:40 盲点の作用

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『江戸川乱歩とは』
 明智小五郎や怪人二十面相、小林少年や少年探偵団など、
誰もが一度は聞いたことのあるヒーローキャラクターの生みの親であり、
我が国における偉大な作家です。
江戸川乱歩、本名平井太郎は、1894年(明治27年)三重県名張に生まれました。
3才の時、名古屋市へ移住。名古屋市内でも数回引っ越しを繰り返しています。
 乱歩にとって幼少期から旧制中学卒業までの15年間を過ごした名古屋は、
彼自身が語るようにその人格形成に非常に重要な時期であり、
たとえば、明治中期から盛んに開かれた博覧会での大仕掛けなパノラマ、
「八幡の藪しらず」(迷路)、精巧な生き人形で構成された見世物小屋、
乱歩作品に頻繁に描かれるモチーフは、ほとんどが乱歩が名古屋時代に体験したものなのです。
 乱歩の創作活動は旧制愛知県立第五中学校在学中から始まり、やがて大正時代末期、
『二銭銅貨』で文壇にデビュー、1925年の『D坂の殺人事件』で
早くも探偵明智小五郎を登場させています。
 昭和に入ると、『陰獣』、『孤島の鬼』、『黒蜥蜴』、『怪人二十面相』、
「少年探偵団シリーズ」など話題作を次々に発表し、
探偵小説文壇を牽引するトップバッターとして活躍します。
 晩年に至るまで旺盛な活動をみせた乱歩は、1965年(昭和40年)7月に脳出血で逝去、
享年70でした。戒名は生前に好んだ言葉から採って、智勝院幻城乱歩居士と言います。
日本の探偵小説に対しての長年の貢献を称えられ、
11月に正五位勲三等瑞宝章を追贈されました。
出典:栄町商店街振興組合
https://www.sakaemachi-shotengai.com/edogawa_ranpo/Introduction.html

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