【朗読】山本周五郎アワー『壱両千両』 作業睡眠用 ナレーター七味春五郎 発行元丸竹書房

山本清五郎
長1両占

1そにも色々あるこ拙者は杉田さんを深く
信じ杉田さんのためを思ってですねすこ
ここをよく聞いてくださいよあなたの将来
ということを思ってですねそこを割って
このご相談をするわけです
すこう池の幻十郎は叫ぶとのテラテラ光る
顔を撫でながら相変わらず無駄の多いこと
を死体らしく言うすかというのは彼の口癖
でいいですかの包まったものだ千之助は
もう飽きている別に短期な処分ではないが
厳重先生と話しているとすぐに退屈して
くるから不思議だあなたもご存知の通り
こう世の中がめちゃくちゃになっては20
人やそこらの門人の者ではとても文句を
構えてやっては参れないすこかけのない
ところをかな時世にはこっちも試案を変え
なければならぬさもないとそれこそ神島を
来て上地ということにまかりなるそう
でしょうかな杉田
さんそれでどうしようと言うんですか人に
に教える腕を別の方面に生かして使おうと
いうわけです我々には抜け商売や返し目を
する資本も体格もない正直のところですね
使うところが世間にはそういう大きな稼ぎ
をする連中がいてこれはまた我々の腕を
欲しがっているもちろん多少の危険は伴う
がそれに順じてシレもまとまっているわけ
です
つまり抜け商売の用人坊ですねようやくし
て言えば虚名を捨てて実を取るわけです
そこでもし杉田さんが腕を貸してくれれば
ですねすか嘘のないところ礼金は七部3部
ということにしてもいいもお聞きなさい
差し当たり今頼まれているのは猿大半の
条約だそうで仕事も相当大掛かりなもの
らしい何しろ今日明日という急な依頼なん
でなかねのないところをこの1つでも
せっかくですが私の柄ではないようですこ
言って千之助はそこにある加罪を取ったで
はこれは頂いてまりますからもお待ち
なさい杉田さんももし金の割がその不足
ならですねすか幻十郎は老して立ってくる
正直なところそのしいやあなたのことだ
からゴブゴブということにしてもいいと
思うんだが幻十郎は玄関までついてき
ながらくどくど未練がましいことを並べ
立てるだが千之助はもう返事もせずに
さっさと外へ出てしまっ
たとうと俺も足元に火がついてしまった
誇り立った道の上のしらしらと明るい午後
の日差しを見ると千助はふと眉を潜め
ながらため息をつい
た彼は自分の不運を世間や他人のせいに
するほど楽天化ではなかったがそれにして
も不と鞭に汚れた嫌な時代だっ
た杉田の家はでの国内の家臣では感情方に
務めていたが役所の内部の大敗不正につい
てゆけないため武行の渡辺ジ衛門と衝突し
て耐震した耐震しなかったら闇討ちにされ
たかもしれ
ない江戸へ来て3年食い詰めて池野道場の
市販台に雇われた日本橋の巻町にあるその
道場は年至難と看板を掲げているがあの
幻十郎は市内を持ったことがない稽古は
千之助にすっかり任せ自分は刀剣売買の
中継のようなことに本訴してい
ただが門人は30人たらずだから十分それ
で間に合ったがそれに順じて彼の受ける月
も2部2種というつましいものであっ
たしかししともかく1年半ばかりはそれで
暮らした上相屋の貧しい人たちにも時に
わずかながら援助ができたのであるそれが
ついに道場閉鎖ということに立ち至ったの
だ一昨年から不作共作が続いて今年はもう
春先から市中に世のおい小屋が出た無論
恐るべき書高値での先生も刀剣売買の
さとりぐらいでは好きな酒が飲めなくなっ
たと
見えるサル大半の同職の依頼大掛かりな
抜け
商売不正な仕事の用人棒
かん千之助は前をしかめる商内の感情業の
老いな顔が目に浮かぶあの連中も今頃は
そんなことをやっているんだだろうお一貫
し上に立つものほど悪徳無両親なのは
不思議だ男女橋を渡るとお救い小屋があっ
た周りにはもう夕方の世を待つ人たちが
歌詞に沿って悲しい列を作っている老人も
女房も子供もかけどんぶりやナなどを持っ
て肩をすめ頭を垂れ罪でも犯したものか
なんぞのように小前と並んで
いる千之助は速歩を向いた慣れた景色では
あるが見ればやっぱり胸が痛いまして今日
は我が身の上だ一層答えたと見えて足早に
通りすぎると向こうから来た娘に呼びかけ
られた
あら今日はもうお帰りですか先生小柄では
あるがどより足の長い俗に小のれ
という体つきで浅黒い細の目鼻たちが履行
で聞かぬ気象を掘りたように見える年は
もう役のジ名はおという同じ路地内に住む
娘だったああもうお帰りだそっちは遅い
じゃないかお医者さんが来ていたもんです
からごめんなさいまし行こうとして
振り返ったとさんが場へ行きゃしません
でした
か2いや来なかったねとべどうかしたのか
おめにかかるんだってバカに急いでました
けれどではおタかもしれませんわあいつは
いつも急いだろま行っておいで八丁堀長沢
町に孫棚と呼ばれる一角がある一宗に5件
ずつある長屋が18宗
5つの路地にひしを並べ接して100幾十
かの書体がゴタゴタと暮らして
いる北の橋の路地を入った奥の胸の3件目
が杉田千之助の住まいだっ
たここでもお救い小屋へ出かけたものが
多いのだろうどぶ板の上に傾いた日の光が
明るく遊んでいる子供たちも数は少ない
千之助は自分の住を通り越して5件目の端
にあるいか屋のまきの戸口を訪れたおが
さんるか金さん声を潜めて呼ぶと赤子に
そじょうがエリを書きあわせながら出てき
たまあ先生ですかお会が違ったからどなた
がだと思いましたこんないい格好でごめん
なさいまし今朝話したものだ足しにもなる
まいが千之助は懐から包んだものを出して
そこへ置いたなんとかできたらまたする
からお金はまあと言って顔を伏せた言葉が
出ないのだろう千之助は照れたように急い
で自分の住まへ帰っ
たところが上がって刀を奥なり飛び込んで
きた若者があった双子島の思い切って身幅
の狭い着物にひけを閉めていっぱし商売人
を気取った格好だが目尻の下がった七花の
個人物らしい顔を見るとせっかくの作りが
まるで長きになっている縦で縄富蔵向こう
長屋の橋に住んでいるが家はいつも閉
めっぱなし仕事もそっちのけで下手な家事
に夜も日もない男だおなさいましはよう
ござしたね愛はいいなどうしたんだこう
言いながら千之助は台所へ行き水瓶から
半蔵へ水を取って肌を脱ぐ困ったるじゃ
ありませんがちょいと開けましよまるでつ
でも来るみたに無視ていけねえ開けますよ
先生富蔵は部屋を抜けて裏を開ける弱で向
の裏口が見えるすだれを降らすとのに釣っ
た風林にあたってチリチリとなった千のす
は肌を入れ濡れ手ぬいで瓶の辺りを吹き
ながら出てくるお願があるんですがね先生
富蔵は揃えて座った膝の上へ真面目に両手
を突っ張るよいしょ今度こそ身を固めます
ごた暮らしにゃ自分ながらがつきました
よりがましいこと言ないびっくりする冗談
ことじゃねえんです本気ですせ先生なお
びっくりだ千之助は日の火を書き起こして
炭を継ぐようというのはそのことか先生は
こおしゃらね随分迷惑をおかけ申している
が苦い顔を一度なすったことがねえけれど
もこってものは言われねえ方が答えるもん
だ本当ですぜでさっぱりと今度こそ足を
洗います
それについてお願があるんだもう1ぺん
だけ1つ黙って一部貸しておくなさいそう
来るだろうと思ったトイが座れば言うこと
は決まっているこれもつまでにどうしても
いるんですカカがあればカカを七に置いて
作らなくちゃならねギリギリ決着まった
なしなんですからこの前はお袋を七に置く
と言ったぜ千之助は台所から米の仕掛けて
あるを持ってきて日へ
かける一層前自分を七に入れたらどうだ
もう本当にこっきりこれで長尻を閉めます
何しろ鶴の135番135の株で飛びの字
の3つ重ねという演技揃い当たること疑い
なしって札なんですからなんだと思ったら
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てきたんですよ富あかの富に富くじの富
それに足の名前と富の字の3つ重ね番号が
ちょうどカブと来るんですからこいつを
買わなきゃ生涯の恨みだこっちは今の恨み
だ千之助は言われたものをそこへ出す
しかしこれで寄せようやっぱり先生だかち
けにこの鳥ですあだったら足はやれを残り
はそっくり先生に差し上げますからね先に
霊を行っておこうか商事を閉めて行って
くれ飛蔵は横飛びに出ていっ

3形ばかりの遊の前後次をして座る途端に
台所を開けるものがあったえ先生もう飯は
お済みですかという隣にいる魚屋の熊だ
こっちから返事をするより先にその隣の
台所が空い
てお前さんお帰りかえ遅かったねという声
がするこれは女房の虎だしれでも誹謗でも
ない本当に亭主は熊五郎で女房は虎という
なであるあったるなベラぼめ俺は先生に物
を申してるんねまだ家へ帰ったんじゃねえ
突っ込んでろ先生もうお住ですか今始める
ところだが之は台所へ立っていくなんだ
それじゃあちょいと待ってくんねメジの
いいのがあるから刺身にしてあげようと
思ってね少しばかり残して持ってきたんね
何霊を言われるほどありゃしねえほんの猫
の否定だお手数だがさら1枚頼みますや
せっかくもらっても今じゃ刺身がなくな
床上げの午前ともやご祝儀のうちだ手
バイク作って熊五郎はえお待ちだとどめて
く千之助は全員へ戻って食事を始めた隣の
話し声が霊によって筒抜けに聞こえてくる
ここに手ぬいと何がらしてあるからねお前
さんちょっと一風浴びてきてくださいベラ
ポミこんなに遅くなってあくせよえ入れる
かいそれより腹が減って目が回りそうなん
ねすぐ飯にしてくれあら困ったお前さんお
さはこれから作るんだけれど決まって
やがれ1日中トを巻いてやがって亭主が腹
を減らして蹴るのに飯の支度もできちゃい
ねえ足笑ってるんだ雑巾をよしなあいよ
お前さんそれは分かってるけど作り立ての
温かいところをあげようと思ってさお前
さんご体そうなこと言いやがって何を食わ
せよってんだキンピラなのよお前さん起き
やがれ塩漬の焼いたのやキンピラ冷たく
なってからがうめえもんだ売っちゃっとけ
を焼くようなぬたでもこいかねで着物は
こいつかおい3弱がねえぜあらそこへ出し
といたよお前さん足元にないかしらお前
さんここにゃ女の腰ひっきりありゃしね
まあやだお前
さんバカだわ私自分のお出しちゃったのよ
お前さん私どうかしてんのねお前さんどう
するものがいてめえのバカとのまは
生まれつきだあちょっとお前さん手ぬいを
貸してお前さんエリのここんところがまだ
濡れてるじゃないのお前
さんよさねえかくすぐって自分でふかうん
忘れてた人団体の中に減ってるものがある
から大事なもったいねえがてに持ってきて
やったんだあらなんだろうねお前さん
あらあら草屋だわこれ果に買えお前さん
もったいないわよお前さんこんな高いもの
口がが曲がりはしないかねお前さんその
甘ったるい声を良さねえか夫婦になって8
年も経つのにお前さんお前さんて下文が
悪いばかりか頭がガンガンすらめじまだか
はいもうすぐよお前さん星年だって10年
だってお前さんお前さんは私にとっては
お前さんなんだものしょうがないじゃない
のお前さんが悪ければお前さんの代わりに
お前さんをなんと呼んだらえうるせえ勝手
にしろよら水がくなってきた隣の会議は
千之助にとっては慰安の1つである彼は心
を楽しく遊を済ませたしかし後を片付けて
さてアドの前に座ると明日からのことが
また胸に使えてくる世間はひどい不景気だ
手食を持ちながらお救い小屋で路面をつい
でいるものが少なくない内食などもある
ことはあるが奪い合いで自然手まなども話
にならない安さである雇い人足はもちろん
ボテ振り行商の類いも同業が多くて共食い
の形だこんな中へ何1つ芸のない彼がどう
まかり出たらいいだろう辻に立って太平器
でも読むかこう呟いてみてすぐ首を振る
これもほとんど氾濫状態なのだ太平読み
などは恐時代のことでにせ爵へ発展解消し
ていたが半年ほど前に浅草で浪人もが三河
ごを読み出して以来あっちにもこっちにも
真似るものが現れ現在ではちょいとハガな
辻には大抵立ってやっているこう考えて
くると息が詰まりそうになったこれは始末
におけない千之助はたまらなくなってたっ
た米でも見舞ってやろうあんまりめんど
くけるばこの世におさばだこんなことを
つぶやきながら湧き出しだけで外へ出て
行ったが向こう長屋の橋に6米の住まが
ある元は飾り食をやっていたが2年前に
痛風で寝たっきり起きられない孫娘のお米
が大根菓子のやうという料理ジエに勤めて
その稼ぎで辛くも整形を立てて
いる長吉という
は10年ほど前房に死なれてからぐれ出し
て土地にいられなくなり髪型へ出したまま
消息がなかっ
た声をかけて上がると六兵衛は真っ暗がり
に寝てい
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られるってねつまりは高い薬の押し売りで
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は決まってます
よ4
なが人間てないいもんですね先生六名は息
をついて
言う四重しでしょうその医者もう白髪
まじりでみかの川みてな花をしてましたっ
けこう容大ぶってがら通風は骨の病だ
なんてねあしすっかり嬉しくなりましたよ
千之助は思わず苦しした塞がっていた胸が
わずかに軽くなる兵はちょっと寝具を直し
ため息をついてまた続けたこうして寝て
いるといろんな人間のことを歓まさ65年
身月日じゃなかったそれも誠にしがねえ
恥ずかしいような教ですがね生まれて来ね
方が良かったなんて親を恨んだことも度々
でしたがそれでも思い返してみると無駄
じゃなかった生きて来たればこそあいつに
も会えたあの男とは兄弟の約束をした
こいつとは喧嘩もしたがよく飲みもしたお
互いに苦しい中で心配したりされたり限る
とみんな懐かしい気に食わねゲジゲジだと
嫌ったやつにもやっぱりいいとこがあの
思い出すってわけでさあが親方んところを
出て小町へ初めて飾り屋の店を持った時の
こってさ兄分に当たる男が地金の世話を
すってんでごりばかり預けたどもにゃ一
信生ですげにハ狩りで店を持った
しょっぱなのそれこそ血の出るような金
でしたがそれを持って逃げられた
ばかり吉のようになって歩きましたよ口を
飲んでね同人の調子はまるで楽しいことを
改装するかのように名古屋かな温かい感じ
だ深いため息をついてまた続けるながその
男にも事情があったんでさずっと後で
分かったんですが死ぬほど思い合った女が
あってそれと駆け落ちをしたんですね様
なきゃ真住するところだったそうですごり
口駆け落ち
人間ってないいもん
です一時ほど話してうへ帰ると千之助は
ずっと楽な気持ちになっていたこれまでに
も米から色々話を聞いたみんなありふれた
平凡な話題でおまけに大抵がヒやヒコや
フグと絡み合っているにもかわらずその
貧乏や不幸せのに言いよもないかい味わい
があり人の世に生きることのしみじみとし
た喜びが感じ
られる最も数の多い人たちは皆そのように
生きているのだ物や金には恵まれない
わずかな砂鉄にも親子兄弟が離散したり心
にもないほりをしたりするしかしそれでも
人は互いに身を寄せ合い力をかしい
励まし合って生きているといい親戚より
近い他人とか渡る世間に鬼はなしとかいう
言葉はこの人たちの涙から生まれたものだ
千之助は老人の話を聞くたびにそのまま
飾らない生き方本当に人間らしい生き方が
分かるように
思うあの病人を抱えてのおで生きていく
どうだい先生千之助は苦笑しながら自分に
こう問いかけた体満足な男が何もそう
慌てふためくことはないじゃないか茶でも
入れようと思っていると路地を入ってきた
足音がこの家の前で止まり戸口へどしと体
をぶつける音がした振り向くとガラガラと
戸がいて誰かがどへ転げこんだならだ貞子
かこう言ったが返事がない言って生子を
開けるとくのなりに体を追って苦しそうに
あえているよく見るとおである千之助は肩
を持って助けをこそうとしたがひどい酒の
匂いをさせてクゲのように力がない両手を
脇の下へ入れて抱き上げるように部屋へ
入れた図示を閉めて戻ると横になったまま
すいません少し休ませてくださいましと
いう下がれている千之助は座布団を折って
頭の下へ入れてやったぞやろか苦しい
だろう先生そんことパチがありますよ彼は
立って湯呑みへ水を組んできてやったおは
く通り息もつかずに飲みちょっと頂いて
おくとまた横になって目をつっ
た橋のところまで来たら急に酔いが出てき
ちゃってそんなことをつぶやくおじいさん
に心配させるのが嫌ですから少しさめる
まで休ましていただこうと思って千之助は
我知らず目を背け
たこんな格好お見せしてば配をつかされる
わね先生しばらくしておはや言ったでも
しょうがないもうどっちでもいいんだもの
夢もおしまいみんなおしまいになっちゃっ
たんだから同じことだわ千之助はそっと
振り向いたおえは目をつっているつって
いるその目尻から涙が頬へ糸を引いて
いる
先生先生と呼ぶので答えるとそろっと片方
の手を出した千之助がそれを握ってやると
急にりを打ち男の手のひらへ顔を伏せて
泣き出したうつ伏せになった背中が激しく
波を打ち彼の手はヒタヒタと涙で濡れ

5珍しいじゃないか坊がなく
なんてはざと笑いながら言う店で何かあっ
たんだね話してごらん誰かに悪口でも言わ
れたのかいおは答えなかった市販時ばかり
も立つと起き上がって座り涙を吹きながら
こちらを見た笑おうとするらしい唇が震え

歪むすいませんすっかり甘えてしまって
驚きなすったでしょう先生魔をついたこと
は私が
少しはさっぱりしたかい
もう大丈夫ですわおかげ様でじゃあ話して
ごらん千之助はさりげない目つきで言った
一体何がどうしたんだなんでもないんです
よただ甘えてみたくなっただけおはガをじ
て笑う先生をびっくりさせてあげようと
思っ
てでも本当に泣いちまってば私の負けねさ
追いとしましょう話せないんだね今度の
目つきは厳しかった本当になんでもないん
ですよお湯は帯を直しながら
立つ何にもあるわけがないじゃありません
かあらまだ
ふらふらごめんなさいましね
先生腑に落ちないものがあった普通の様子
ではないいくら勤めが勤めとはいえ酔う
ほど飲むというのもおかしいし漏らした
言葉にも隠れた意味がありそう
だ寝苦しい夜であるけれども夜半すに降り
出した雨の音でいつか眠りに引き込まれて

た朝になるとすっかり雨は上がった彼は芋
を仕掛けておいて久方ぶりの朝湯に出かけ
たクと虎が来ていて挨拶をした嘘ではない
熊吉に虎ぞ向こう路地に住んでいる大工の
手間取りで13の年から同じ頭領の下で
育ち同じ時一緒に頭領の家を出た長屋一軒
を借りて2年一緒に暮らし去年の11月
それぞれ女房をもらって隣同士に体を分け
たどっちも大柄の超えたであるが虎が胸
から手足から顔まで毛深いのと熊が滑らか
な肌ですね毛もなく髪もまだし眉毛も薄い
ところだけ違っている仲の良いことはもう
断るまでもないだろうしかし長屋数件かの
うちでこの2人ほど喧嘩をするものもない
最もそのきっかけは大抵馬鹿げたつまら
ないものでいつも長えを笑わせて蹴りが
つくという風だつい最近の1つを紹介する
と竜モドというのがある熊吉がりってやつ
は何を食うだろうというのが始まりだった
ドゾはあれは蛇の甲を経たものだからが
ゲロだろうと言っただがいえりは110の
王と言われるくらいのものだそんな
しみったれたものを食う通りがねえ第一
蛇が甲を経たのはオロチかみになるんだ竜
たまるっきり人別が
違わおめえ体操学があるなえらもんだ
おったまげたええ竜と蛇とは人別ちかい
じゃあ聞くが竜は何から湧くんだボフみて
なことを言やがる竜は湧くとは言わねえ
商店すろってんだ商店とはなんだ竜が
生まれることよボフは枠人間はお誕生で竜
は商店百の王だから建ってあるんだざみれ
ちょいと待ちねお前さっきから110の王
ってことを言うが公爵で聞いてみねえ
110のおってな士残ったぜうん伊と突き
上がったなるほどのは士よりはそのあれだ
それ何よ万物の霊ってんだりして鼻でも
出すななんだがよそで聞いたような苗字だ
がまあいいやそれはそうとして餌の話に
しようガマケロでなけりゃ何を食うん
だきったらサコのよサクもとどんなサイク
もだサクならすげ嫌いわねなんでも食お
いやタバコもなんズも食うか食わなくって
よタスだの文庫だのはどうだ調和合しだの
ゼマだの机だの長持ちだのみんな食うかタ
で持ち出しやがったな安心しねえみんな
食うから証拠あるのがあるのねえのって
バンタでも知ってら最高はりりってよこの
野郎というなりポカッと原稿が飛んで
とっくみ合いになっ
た珍しいござすね先生稽古はお休みですか
う休みだお前たちはどうしたこち刀つきの
げすゾが顎を撫でるほんなせ人間リゴで
ねえとつまりませんのさまた喧嘩かよく
飽きないもんだいえこうなんで熊吉が頭へ
乗せた手ぬいよとるよば夜中に振り出した
でしょうすると虎の野郎が壁越しにこの雨
は朝まで続くか続かねえかと言やがるんで
わはちょうど山の神と
とっととでい何したもんですからベラぼめ
人を見くびるな朝まで続いたらどうするっ
てどなったんでそうしたらこの野郎もし
続かなかったらどうするってやがるどう
するものが1日分の日をそっくりくれて
やると言ったんでさそうなるとこっちも
意地だ山の神にも因果を含めまして
ねどなもんだぜ先生トラはゲラゲラ笑い
出すの野郎まるっきりカゲをやらかし
やがって朝起きたつってものは青病たに目
でさほぺたなんざげっそりそげちまって
ふがふがてやがっ
た6なんだと言ったら俺のおかじだって
こっちはまだ気がつかねえ目を開いてよく
見ろおテト様が出て青空だ雨や上がったぜ
こう言ってやると野郎妙なつし上がってだ
ふがふがフがってやがる情けね声でしたぜ
夕べな雨の話かっておめえなんだと思った
んだこう聞きますとねふし目つきをして雨
なら上がるとか晴れるとか言がいい
いっぱい食ったって怒ってやがるそうじゃ
ありませんか先生くきはブルンと湯で顔を
洗う晴れるとか上がるかならわかりまさ
それをいかしうろんなことを抜かすから
俺には何のことかさっぱりわからない
千之助は苦笑しながら雑口を出
たどっちにしろそれが2人の楽しみなん
だろうま1日ゆっくりやるがいい風呂から
出てくると土口にある夏目の木の若に目を
引かれた晴れ上がった大空へ高く抜いた枝
に朝の柔らかそうな細かい歯がキラキラと
音もなく風にいでいる眺めていると教習に
似た思いが胸に湧くはかに遠く誰かの呼ぶ
声が聞こえるようでもあっ
た何か幸せなことでも起こりそうな豊かな
気持ちでうへ帰るとちょうどいかけ屋の
女房が来て台所を開けようとしていた
いたずらにこんなものを作ってみたんです
がお金は前かけの下から蜂を出したお口に
会うかどうですかうちの故郷の方でよく
するんですって上がってみてくださいまし
それはどうもあさんはいくらがいいかい
はは昨日は先生お金はご頭を下げた目が
上げられないおかげ様で今朝はずっと楽だ
と言ってますの後で玄がさんが来て
くださるはずですからそれはよかったま
大事に
お金は明るい目つきになっていた亭主の
まきは15日ほど前に仕事先で屋根から
落ち常をくじいて寝ていたのである親方
なしの受けおいだし仕事先が白場な家で
薬代の一文も出そうとはしなかったおまけ
に初めにかかった骨が下手で原案という
医者にやり直してもらったがそこの肉が
くじいた骨へどうとかしたそうで560日
は働けまいということなので
ある朝飯にもらったものをつまむと木の歯
を佃煮にしたものだった東北の強度料理で
商内にいた頃はよく食べたではまたきは北
の方の生まれなのだろうふさ遠く止む佃煮
のほろ苦い味の中に千之助はふという言葉
を噛みあてるような気持ちがし
た後片付けをして残った芋を人しし小皿に
取って壁際へ置くと待っていたように
ネズミが1匹ちょろちょろと出てきた裏の
戸袋の隅に穴があってそこから来る初めは
まだ足付きも危ないほど小さかった黒いつ
な目でこっちを見ながら落ちている粒を
噛んでいた退屈紛れに少しずつ鳴らしたら
今では皿に取ってやるのを待ちかねて出て
くるおかしなことに朝と決まっているし他
のネズミは決して姿を見せないもう
すっかり大きくなって千之助が何か指で
つまんでやるとそばへ来て両手で指から直
に取って食べるネズミは小皿の前まで来て
泊まりの山道のような黒い目でこっちを見
た千之助は横になってついニと
するお前まだ神さんや子供はないのかうん
そろそろ嫁取りの年頃なんだろうが嫁を
持ったら他の家へ行くんだぞ俺もやがてお
救い小屋の仲間だからなうん人間なんて
こんなことを呟いていたがふと口をつぐん
だ隣でお米の声がするひそひそ声なので
帰って耳についたのだろう
えお願いしますことによると今夜は帰れ
ないかもしれませんからこれだけ聞くと
千之助は起った夜かと思ったがおえはその
まま行こうとする彼は戸口へ出て酔い止め
たおえねぼ
夕べの忘れ物がある
おりおはぎょっとしたちょっと躊躇する
しかし千之助の厳しい目を見ると俯いて
しよしよとこっちへ戻ってきた
上がりこう言って彼は部屋へあげ座るのを
待って静かに行った夕べの忘れ物どうして
あんなに酔ったのかどうしてあんなに泣い
たのか冷めてみたら聞くつもりでいたんだ
話してごらんこっておくが今日はゴムは
聞かないよおはしばらく俯いていた言い
たくないらしい千之助は怖い目をし唇を
引きてんで黙っている嘘やごまかしでは
すまないおえにはそれがよくわかっ

私お客様のものを盗んだんです
いきなりこう口を切ったいつも私に
しつこいことを言う客でしたおけでもう
路人の方ですすぐ見つかっ
て初めから話してごらん水の通るように
話さなくちゃわからないおえはちょっと
考えてから話し出した見ほど前からやへ
来る侍い客があった
船様と呼ばれてアキド風の男と来て人を
遠ざけて密談をし派手に飲み食いをしその
割にはしみったれた心付けを置いて帰る
先月ありからだろう宴が終わってから1人
居残ってお米を相手に長いこと粘っていく
ようになっ

7上やしの模様を黒く聞く調子やそぶりに
いらしさが見え始めたと思ったら祖父の
面倒も見てやるからめかけになれという
いつも名指しで休に呼ばれ酒にも料理にも
うるさくて文句の多い上に長場や配に
恥ずかしいほどしか心付けを置かないそれ
でめかけが聞いて呆れるとこっちは真面目
に返事をする気さえなかった昨日またその
船様が来て3人の客と飲み食いをして帰っ
た後座敷を片付けていると座布団の下から
紙入れが出てきた船様の席で
ある長しとか出来心とかそんな逃げ工場は
言いません私お金が欲しかった紙入れの中
を見ると12両ありますいつもわがままを
言うくせに気恥ずかしいほどの心付けしか
おか客ぬけぬけめかけになれなどとらしい
ことを言う
客たった1両でいいそのくらいはかぶに
なってるくらいだ
ええ果し抜きました小番も1枚言いかけて
おはガタガタと身をふわせたその時の同点
した気持ちが帰ってきたのだろう袖口を
ぎゅっと噛んで青くなってしばらく息を
沈める風だっ
たその途端に帰ってきたんですそのお客が
まるでどっかから見てでもいたようにすっ
入ってきて私の前に立ちましたそしてバカ
のように立っている私の手から紙入れを
取り中のものをそこへすっかり開けて単年
に金を調べるんです私は口も聞けずに見て
ましたがもう我慢できなくなって帯の間
から5番を出し管理してくださいと言い
ながら千之助は胸をえぐられてもしたよう
に眉と目を1つに絞って脇へ背いた侍客は
難題を吹っかけてきた重量足りないという
これまでにも3度あった訴えるというので
あるおはもう逆気味でどうか認してくと
繰り返すばかりだそこで客は座り直した
改めて酒を運ばせおにも飲ませた切り出し
た話は言うまでもあるまいおは承知した
そして酔ったので
あるそのエジは薬大だね千之助がしゃがれ
た声で言ったそれで今日からその逆に身を
任せるつもりだったんだね出女いや工女と
いうやつ
かうは歯を食いしっている千之助は速歩を
向いたまま
続けるおは金がいりようだったおじいさん
のために一両という金がどうしてもいりよ
だったあるところには唸っているしかし根
にはその欲しい一両という金がない普通の
ことでは3弾のつかない暮らしだその客は
料理ジへしげしげ通い右から左へ使い捨て
ている1両ぐらいの金は何でもあるま骨が
1枚抜気になったのは無理がないかもしれ
ないだがなよぼお前だってそれがいいこと
だと思ってしたわけじゃないんだろう悪い
と知ったら見つかった時どうして腹を吸え
なかったんだどうして突き出してください
とと言わなかったんだ千之助はちょっと
そこで言葉を切るおは引きられるように耳
を済まこんな調子で千之助が物を言った
ことはなかった一言一言が針を打れるよう
に痛いだがそれはもっと強くもっと激しく
ビシビシ打ってもらいたいような痛さだお
は息が弾んできた
貧乏人の弱さそういう時腹の座らない
ところにある他人のものを取るということ
は玉石だしかし貧窮するとどうしてもそう
しなければならない場合がある根もそうし
なきゃならなかったんだだとそれば私が
悪かったどうか訴えてくださいとなぜ言え
ないその時になって内分にしようとか世間
に恥をさらしたくとか考えるそこが彼らの
けめなんだ貧乏人ほど世間を恐れ悪いこと
をはじるものはない彼らはそれをよく知っ
ているそこをけめに闇をかけるその客も
初めからそこを狙って仕組んだんだこ言っ
て千之助はおを見たこんな子供魂の手に
かかってグズグズべそを書くような坊とは
知らなかったそれなら俺がとくにくくん
だったよその客はいつ頃来るん
だくれてからと言ってました先へ行ってお
いでくれる前に俺が行く侍なら行ってやる
ことがあるんだ綺麗に話をつけてやるよ
千之助は腹を立てた恐ろしく腹を立てて
いる商内で感情業と衝突した時の何十倍も
腹が立つどこの侍か知ら
がおそらく役目を利用して流行の抜け商売
でもやり銭を掴んだ上の脳天気だろうそれ
にしても細腕に病人を抱えた貧しい娘を
悪どい仕掛けで流せようとは男の風かにも
置けないやつで
あるどういってつの川を剥いでやろう
ほとんど半日彼はそのことだけを思い
巡らしていた
大根菓の矢は2階作りのかなり大きい建物
だ千之助が行ったのはまだ早かったが路地
作りの入り口には内水森上がしてあり濡れ
た飛び石の表に清々しく植込みの竹が影を
落としてい

8知らない豊島の女中に案内されたのは
狭い座敷だ窓を開けると堀が見える多分彼
の来ることが話であったのだろう茶を運ん
できたのは根だった着替えて薄化粧をして
いるいつも見慣れたのとは段違いに
美しいやだわそんなにご覧になっておは目
の隅で睨んだ顔に何かついてますか鏡を
見るんだねまだ来ないんだろう酒でも
もらおうかきでもないのにそんな
酒は好きだよ飲めないから飲まなかった
までのことさ千之助はニコとするせっかく
やめに上がったんだこの家の自慢のもので
いっぱいやっていこうおは詫びな目で見て
立つ千之助はまへ腰をかけた堀の向こうは
銀座一丁目歌詞には印のついた白の倉が
並んでいる倉と倉の間から黄昏時の忙し
が見え大きな柳の枝に人が集まって騒いで
いる富岡八の占領と大当たりはなどと
わめくのが聞こえる富くじの当たりぶれ
らしい大当たりをもう一度ええずるのと
いう声に千之助はちょっと耳をすすつるの
100
番はっきり届かないが鶴の105番かで
あるさすがにドキリとするドキリとして
自分で照れ舌打ちをして空を見る濃い紫色
に暗刻のふりをした棚雲がある何かの鳥が
渡っている捨ててきた故郷のサガが目に
浮かび吐息をつきながら腕組をし
た白キスの糸作りに
で酒が出た1人がいいおを去らせて久し
ぶりの逆月を手datでしみじみと
すするそれだけで豊かな気持ちだ不思議に
心が軽くなるつるの1075番かとべ
きっと青くなったろこんなことをつぶやく
何自分だってドキリとしたくせにアドへ
明りが入った前の上にはシワや焼き物の皿
が並び酒は2本目で心よく酔いが出てき
たお米が何も持たずに入ってきて座る目を
見ると頷いて感どっくりを取りシをする
連れがあるのか
ええおけらしい方が1人今お染を置いてき
たところです隣はれるかええ開いています
家のものにも一通り行ってありますからお
は微傷するおっしゃる通りにしましたのお
丁場でみんなに残らず恥を話しましたいい
気持ちです当たり前さ大したことじゃない
まもなく席を移した海花へ降りて中下を
行き当たると一見ばかりの渡りがあって別
の座敷に続くこっちは平屋で座敷が3つ4
つあるらしい之の通のは控のような畳だっ
た座って逆月を取ると隣の話声がよく
聞こえる1人は風を引いていると見えて
かん高い席をし鼻をかみガサガサ枯れた声
で話す片方は聞き役で産むほさよなると
相槌を打つばかり時々大きな追笑いを
する話は抜け商売のことだ大阪へある海門
線の一層を荒川へ潜らせてある2票下ろし
てさくのだが霊の中の手が邪魔になると
いうような生殺
だそいつらは拙者を引き受けます相手が
初めて口らしい口を聞く中の手というのは
猿島屋ですよわかっとります彼らならです

すこう猿島ならもうご心配はゴよですよ
千之助は思わずニヤニヤとした池の年齢
先生である去る大半の重役から差し迫った
仕事を頼まれていると言ったこれがその
仕事なるものに違いない聞いているとしり
とスカスカとやっているそこへおが酒を
持ってきた千之助はそっとさく船様という
のはどっちだ今喋ってる方か席をしている
方ですわほらあの席そうだろうまさか年齢
先生のはずはない頷いておを行かせ
しばらくしてそっと襖際へすり寄ったさる
大半の重役というのが見たくなったのだ
しかし襖は重くびっしりと合わさっている
やめにして戻って逆月を取ったまもなく
女中が隣の客を案内してき
侍であるやれやれ千之助は逆月を置いて横
になった当人が1人にならなければ具合が
悪い年雄先生を驚かすのは罪だ彼は目を
積っ
たどうなさいましたおが来てそっとさいた
お酔いになったんですか1人になったら
知らせてくれそれまで一眠りしよういやは
たくさんだ水でも持ってきといてもらおう
別の女中が水を持ってきた一口飲んでまた
横になったがすぐにぎょっととして頭を
上げた後から来た客の声に聞き覚えがある
声も声であるがその名は忘れられない
懐かしい参画と切り離すことのできない
生内なりだ千之助は座り直し
た血が騒ぎ出すそうだ確かに商内の侍だ
間違いはないするとあの席はあのガサガサ
した声は血はもっと騒ぎ出す3年前の興奮
が帰ってくる握りしめた拳が震える感情部
教だあの席もしゃがれ声も渡辺ちものもの
だ紛れないあの古田の決め江戸になったの

千之助はむずとあをかい

9お米が知らせに来た時彼は肘枕で横に
なっていたこれから座敷へ行くと言って
お米が去ると起って水を飲ん
ださっきの興奮はもう静まっているシレの
1つも言いたいくらいで
ある隣へお米が入った
今日はまろで姿を見せなかったなまあ
こっちえ
よれ修の逆月だまだ酔ってはいない酔った
ふりをしているが声は確かであるどうした
塾にもなればそううじうじする年でもある
まいとにかく
一杯これは女から飲もの
だろ住んだらかを読んでな家は島だ
世はやがせるなわしは気が短い手でも取っ
たのだろうあれという声がした千之助は刀
を左手に下げ間の襖を開けて入ると
ずかずか行って生体に座った向こうは60
近い年頃であるが中肉の性感な体格で髪も
舞もつやつやと黒い正しく渡辺神門細い目
でぎりと見たがの手をつっぱしれへ左の肘
を持たせてなんだというこっちを忘れて
いるらしい千之助はぐっ落ち着いて相手を
見たおから詳しいことを聞いたので挨拶に
来たんです女は単純だから話にならない
あなたの冗談を本当にしているんです
何しろ子供のように泣いているんですから
ね私は冗談は嫌いだと相手も落ち着いた
ものである女の泣く姿も悪くはないものさ
私はまた女の泣くのと年寄りの色狂い
くらい嫌いなものはありませんねそれも刀
を刺して武だと言わる人間がブライムを
はじるような罠を仕掛けて娘の首の根を
取って抑えるなんかはひれものだおやめ
なさいよした方がいいですよ
それより俺が亭主だと言わないのかいこ
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肩をつつけるなら早くしてくれいくら
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相手ですあなたにとっては嫌なやつだった
やっぱり闇討ちにしなくちゃいけなかった
これなら分かるでしょう老人の唇が歪んで
歯が見えた過ぎた過ぎた
千之助それだけで驚いちゃ困ります反の
海面線を一層弾いて荒川から横へさく話も
聞いているん
です渡辺さん一両のヤをついて大変な蛇を
出しましたね待ってくれ杉田話があるいや
話は商内でついていますよ千之助はおいを
促して立った最も断っておきますが2票の
米は半の方からもらいますそのくらいの
値打ちはあるでしょうからねあなたもこれ
が最後だ1つ試しにジタバタしてみるん
ですね千之助はさっさと廊下へ出たが
振り返って笑いながら言ったあなたは誤解
しているようだから言いますがねおえは
決して私の女房じゃありませんそんなこと
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じ衛門はジタバタした老人はその年の2月
江戸屋敷の感情武行になった不正な金を
ばらまいて味方につけたものが少なくない
しかし千のじた師は意外に大きな波紋を
起こし老人は役を解かれて道と共に厳命中
同者ということになっ
たながそんなことはどっちでもよかろう5
日目に千之助200票の米が無償で
払い下げになった彼は150票をお救い
小屋の世用に権能し残りの50票を孫たの
長屋へ配った
米田が長屋へ運び込まれた時の長屋の騒ぎ
はご想像に任せよう4箇所で俵を開き
すっかり配り終わった時はもう夜になって

た千之助はどうし
たろう彼は家で酒を飲んでいる長屋の
持ち主で七生のき孫左表通りの三河や
コメドの大という人物が酒魚じで昼から
押しかけていたやっぱりけだそう言っても
できないこったご入国以来こんな話は
初めてだ決まり文句であるしかし下待ち人
のいざとなれば肌を脱ぐ気持ちが嘘でなく
現れている彼らの感動を線路は素直に
受け取っ
たそうだこれが何のきっかけになるかも
しれない何かが新しく転換するかもしれ
ない人間というものはいいものだ生きると
いうことはいいもの
だ8時になると客は帰って行った休をして
いたおは一度祖父を見に家へ行ったがすぐ
に戻ってきて後片付けにかかったお疲れ
でしょう先生横におんなさいましな
米は配り終えたんだねえもうすいました
みんな夢じゃないかしらて中には泣いて
いる人もいましたわ明日は俺に来る人で
大変ですよじゃ夜が開けたら逃げ出すこと
にしようあらよれ物を台所へ持っていった
お米がびっくりしたように声をあげる誰
そこにいるの誰よどうしたんだなんだよば
大所に誰か寝てあら嫌だとみさんじゃない
の先生こんなところにとみさんが寝ている
んですようっちゃっといてくれ富蔵の声で
あるドレがよく回らないようだら死ぬんだ
人を馬鹿にしやがってクソくい千之助が
立っていく流し前のス子のところへ富蔵が
丸くなっているおいとべ
と呼ぶとビクッと足を縮めたそんなところ
で祝ってもしょうがないこっちへ上がれ酒
がある
ぜ先生ですか富蔵は顔をあげるあ先生
だ妙な声を出すな笑うのか泣くのか
あしゃだめです先生行けませんこのよは神
も仏もね
や死んじゃいますくだらないことを言うな
富が外れたくらいでいえ当たったんだ外れ
たんならいいが当たっちゃったんです
当たった寝言っちゃいけないしっかり
しろう根音でも嘘でもねえ鶴の135番
線量の大当たりなんていいだから
や線量刀にあたってなぐやつがあるかい
そこが神も仏もねえと言うんださシ先生に
当たると言った富のじ3つ揃い印がつで
135のカ当たること間違いなしと言い
ましたところがそれ
をっちまった売ったってその富札をかあの
ある朝でさサムで買おうと言われたもんで
どうせ当たるねと思ってちまってこれまで
一ぺも当たったことがねえんですからそれ
にあまり演技が揃いすぎてるんでこいつは
今日に帰るだろうと思ったんですさそいつ
がいいえもうだめですためれで送んなさい
なんで人馬鹿にしやがって
あしゃ死に
ますおがまず吹き出し千之助も笑った笑い
ながら部屋へ戻ったそのまま寝かしておけ
冷めたら起きてくるだろうそう言って彼も
ごろっと肘枕で横になったおいはそれを見
て枕を取り出しそっと頭の下へ入れて
やる罪な真似そら台所で富蔵がまく持っ
てりゃ外れてうりゃ当たるそんなちょぼが
あるかい何が富岡8万だ8万なんざ怖がね
今もコンピラもクソくらえたいやい俺に
占領消し
やがれおはかけてあった合わせを取り
千之助の足から腰へそ
着せる先生と小さな声で呼ぶ千之助が目を
あげるおはその目をじっと見つめつと背き
ながらくような声で
さく私
怒りなんかしませんわよ

1948年(昭和23年)4月 『講談雑誌』撮り下ろし
 気の利いた落語のような楽しい作品です。
 正義感の強い千之助は、上役の不正を見逃すことが出来ず、脱藩して江戸へとおちていく。貧乏長屋にころがりこむ。剣術道場の雇われ師範の身の上だが、その暮らしは思いのほか気に入ることになり。
 「人情裏長屋」と対を為す、傑作短編です

■登場人物
杉田千之助……浪人。藩内の頽廃不正についてゆけず退身し、江戸にて剣術の師範代をしている。
およね……千之助と同じ長屋の娘。料理茶屋「八百梅」の女中。
六兵衛……元飾職。およねの祖父。
熊吉……大工。
虎造……大工。
又吉……千之助と同じ長屋の鋳掛屋。
お兼……又吉の女房。
富三……千之助と同じ長屋の建具職。
熊五郎……千之助と同じ長屋の魚屋。
とら……熊五郎の女房。
池野源十郎……池野道場の主。
渡辺仁右衛門……庄内の勘定奉行。千之助の元上司。
杵屋孫兵衛……質商。長屋の持ち主。

■用語集
頽廃……タイハイ・道徳や健全な気風が崩れること。その結果の病的な気風。
汚吏……オリ・汚職や不正な事をする役人。
施粥……セガユ・炊き出し。せじゅく。
添乳……ソエヂ
庇間……ひあわい
露命……ロメイ・露のように、はかない命。
蹉跌……サテツ・事が見込みと食い違って、うまく進まない(失敗の)状態になること。
よくせき……手だてを尽くした最後に、やむを得ずそうするさま。よくよく。よっぽど。
暗紅……アンコウ・黒みを帯びた紅色。黒ずんだ赤。
ちょぼ一……いんちき。 でたらめ。

■目次
0:00 壱両千両 一
7:33 壱両千両 二
13:07 壱両千両 三
20:03 壱両千両 四
26:49 壱両千両 五
33:39 壱両千両 六
40:50 壱両千両 七
47:45 壱両千両 八
54:48 壱両千両 九

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■銭形平次 中・長篇

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