【知らないことの方が多いことを知っている~埼玉県小川町の旅~】書に通ずること

《書&主演/CAST》
書家 鈴木 猛利 (Mohri Suzuki)

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≪訪問先≫
▶東武鉄道東上本線 高坂駅 高坂彫刻プロムナード
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▶東松山市立図書館
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▶小川和紙センター
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▶小川和紙体験学習センター
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【テロップ】(2022年2月)
2022年、今年は自転車の旅を決行。

はじめは、東武東上線の高坂駅。私の大学1、2年時に通った駅。
当時は、書道をする同年代と様々な経験ができたと思う。
しかし、この通学路に高田博厚という彫刻家の
高坂彫刻プロムナード、という彫刻群があることを知ったのは
大学を卒業して15年以上経ってからだった。

東武東上線高坂駅西口から西に延びる歩道には、
およそ1キロメートルにわたって高田博厚の彫刻作品が
32体並んでいる。
彫刻の台座には作者の著作から抜粋された短文が添えられ、
作者の作品に対する思いを感じることもできる。
澄んだ空の方を向いて、凛とした立ち姿。
最初に目を止めた、「女のトルソ」。

「真の彫刻とは心ある者が立ち止まって、ひとり見るとき。
語りかけてくるものである。 装飾や建築に従属していた大昔から、
彫刻の本質はそうであったのである。」

と、添えられていた。
私は、15年前の私を思い返し、
またここに戻って来られたことに感謝した。

東松山市立図書館。
ここには、高村光太郎の書や書簡がある。
元東松山市教育長の田口弘が高田博厚や高村光太郎と親交があり、
今でも図書館が大切に管理されている。

入ってすぐ、左手に「正直 親切」の文字。
数年前に岩手の高村光太郎記念館を訪ねた時も
目にすることが叶わなかった書。
岩手県花巻市の小学校に贈ったもの。
横書きで書かれ、当時新しい教育制度で周知されつつあった、
左書きと児童たちの読みやすさを意識し、
大きくふりがなもふってある。
東松山市にあるものは複製であるが、精密なものであった。
半紙代の大きさの和紙に、丁寧に一文字ずつ書かれ、
その和紙は横並びに糊付けされている。
即興で書いたため、その場に大きな紙がなかったのでは、
と想像させる。
私は思わず声が出た。予想もしない出来事が起きると、
自然と「あ!」と出るものだと気付く。
この感覚も久しぶりだったように振り返ると思う。
こういった作品が今でも見られるのは、
“作る人”と“残す人”が存在するからであることを強く思う。

図書館の階段の踊り場に活けられる花も然り。
図書館が出来てから30年間、
近所の奥様方が毎週交代で庭に咲いた花を持って、
図書館に活けているという。

道の途中、大きく「和紙」と書かれた看板。
埼玉県比企郡(ひきぐん)小川町は有名な和紙の産地。
小川町で作られる細川紙は2014年、ユネスコ無形文化遺産に登録。
私にとって、お宝の宝庫。
大切に漉かれ、年月が経ち、よく枯れた紙達。
中には、手書きの絵が添えられた便箋や
5桁の郵便番号枠入りの葉書などがあり、
1日あっても足りないくらい、心がウキウキとした。

案内していただいたお店の方に、近くで紙漉きをしていて、
今の時期にしか見れない作業をしているからと
小川町和紙体験学習センターを紹介していただいた。

小川町和紙体験学習センターは、
昭和11年(1936年)に和紙の研究施設として
埼玉県が建設した建造物。
平成11年に埼玉県から小川町に移管され、
現在では手漉き体験ができる他、
和紙で作成された展示物なども見学することができる。

冬は、紙を漉くための準備時期。
施設内では紙の原料となる楮を均一な長さに整える作業をしていた。
楮は紙作りに適した繊維で、且つ、一年で3メートルも成長するため、原料の確保にも良いそう。
寒い中の作業は本当に重労働。
書に向かうときも“書き損じ”というものが無くなる。
一枚一枚の紙が生きていて、きちんと向き合えば、
良い字が書けるのでは?と思えてくるようでもある。
神頼み、ならぬ、紙頼み。

喫茶店に入り、購入した手漉き葉書に、今日のことを書く。
送り先はその時に思い浮かんだ方々と、自分宛に。

コーヒーを啜りながらのこの時間がなんとも至福。
旅の醍醐味である。

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